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十章
56話 旅の道中1
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56話 旅の道中1
――ジャスティスたちは、カインが示した通り星殿(せいでん)ゼルサニアに向かうための陸路を徒歩で移動することになった。
今向かっているのは、天帝国ドゥラコーンの南側にある国境となる『レオル村』。そこで今後の旅に必要であろう食料や物資、馬車の調達をするためだ。
マーベラス城から続く主要道はカインが目立つために使わず少し離れた獣道(けものみち)を進むことになった。
「カーくんの剣もウーちゃんの盾もジャスティスが作ったのよね」
今回からルキナも旅についてくることになり、元々寡黙なウルーガやおしゃべりが好きとは思えないカインの中で場は少しだけ明るくなった。
「作ったと言うか、そういった事をするのが大好きなだけで趣味みたいなもんです」
数歩先を歩くカインとウルーガの後ろでジャスティスとルキナは隣立って歩みを進めている。
「……ん?」
先を歩くカインが急に足を止める。視線は前方を向いていてジャスティスたちも倣(なら)ってそちらを見ると何やら小さな影がちらほらと見えた。
「あれは?」
ジャスティスが目を凝(こ)らしてみると、行き道を塞ぐように数体のビッグラットとその少し真上(まうえ)を数匹のディーバットが群れを成(な)しているようだった。
「魔物(モンスター)か?」
「いや、待て」
すぐさま盾を構え迎撃(げいげき)しようとするウルーガを止めるカイン。
「なにをやってるんだろ?」
ジャスティスが少し首をかしげる。
ビックラットとディーバットはジャスティスたちに気づく事はなく、呻き声や鳴き声を発しつつ互いを牽制(けんせい)しあっているようだった。
「あ! カインさんあれ!」
ジャスティスが突然大声をあげて魔物の群れの中心を差す。カインたちがそこを見れば、一匹の子犬が身を縮(ちぢ)こませてか細く鳴いていた。
「……『餌(エサ)』を取り合っているのか」
「エサってそんな……」
カインが静かに言うとジャスティスが少し戸惑いつつ困ったような表情をみせる。
「それが『自然に摂理』と言うものよ、ジャスティスちゃん」
ジャスティスに言い聞かせるように言うルキナ。
「弱肉強食とも言うわね」
冷静に。ルキナはジャスティスを見てそう言った。
「でも……」
『子犬がかわいそうだ』と言わんばかりのジャスティスは、『大人』であるカインやルキナに自分の弱さを指摘された気がして少しいじけるように俯いた。
「ーーとはいえ、」
そんなジャスティスがいじらしくもありルキナは軽くため息をはいて、
「道の真ん中じゃあ、邪魔(じゃま)だわね」
顔をあげたジャスティスにウインクひとつして、ルキナは腰につけていた扇(おうぎ)のようなものを取り出す。
それは、薄緑色で先の尖った葉を五枚くらい重ねてあり持ち手部分で左右に開けるように固定してあった。『葉扇(はおうぎ)』と呼ばれる、ルキナ専用の武器でもある。
――ジャスティスたちは、カインが示した通り星殿(せいでん)ゼルサニアに向かうための陸路を徒歩で移動することになった。
今向かっているのは、天帝国ドゥラコーンの南側にある国境となる『レオル村』。そこで今後の旅に必要であろう食料や物資、馬車の調達をするためだ。
マーベラス城から続く主要道はカインが目立つために使わず少し離れた獣道(けものみち)を進むことになった。
「カーくんの剣もウーちゃんの盾もジャスティスが作ったのよね」
今回からルキナも旅についてくることになり、元々寡黙なウルーガやおしゃべりが好きとは思えないカインの中で場は少しだけ明るくなった。
「作ったと言うか、そういった事をするのが大好きなだけで趣味みたいなもんです」
数歩先を歩くカインとウルーガの後ろでジャスティスとルキナは隣立って歩みを進めている。
「……ん?」
先を歩くカインが急に足を止める。視線は前方を向いていてジャスティスたちも倣(なら)ってそちらを見ると何やら小さな影がちらほらと見えた。
「あれは?」
ジャスティスが目を凝(こ)らしてみると、行き道を塞ぐように数体のビッグラットとその少し真上(まうえ)を数匹のディーバットが群れを成(な)しているようだった。
「魔物(モンスター)か?」
「いや、待て」
すぐさま盾を構え迎撃(げいげき)しようとするウルーガを止めるカイン。
「なにをやってるんだろ?」
ジャスティスが少し首をかしげる。
ビックラットとディーバットはジャスティスたちに気づく事はなく、呻き声や鳴き声を発しつつ互いを牽制(けんせい)しあっているようだった。
「あ! カインさんあれ!」
ジャスティスが突然大声をあげて魔物の群れの中心を差す。カインたちがそこを見れば、一匹の子犬が身を縮(ちぢ)こませてか細く鳴いていた。
「……『餌(エサ)』を取り合っているのか」
「エサってそんな……」
カインが静かに言うとジャスティスが少し戸惑いつつ困ったような表情をみせる。
「それが『自然に摂理』と言うものよ、ジャスティスちゃん」
ジャスティスに言い聞かせるように言うルキナ。
「弱肉強食とも言うわね」
冷静に。ルキナはジャスティスを見てそう言った。
「でも……」
『子犬がかわいそうだ』と言わんばかりのジャスティスは、『大人』であるカインやルキナに自分の弱さを指摘された気がして少しいじけるように俯いた。
「ーーとはいえ、」
そんなジャスティスがいじらしくもありルキナは軽くため息をはいて、
「道の真ん中じゃあ、邪魔(じゃま)だわね」
顔をあげたジャスティスにウインクひとつして、ルキナは腰につけていた扇(おうぎ)のようなものを取り出す。
それは、薄緑色で先の尖った葉を五枚くらい重ねてあり持ち手部分で左右に開けるように固定してあった。『葉扇(はおうぎ)』と呼ばれる、ルキナ専用の武器でもある。
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