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21話
――お腹の、鳩尾(みぞおち)あたりがズグンズグンと締め付けられるように痛い。
地面に膝をついた僕は胃から再び込み上げてきた吐き気で軽くむせた。
「……ゴホッ、ゴホ」
咳をするたびに左頬の内側がズキズキして口の中は血の味がした。殴られた拍子に口の中を切ったんだろうな。
なんで鈴木はいつも僕を殴るの?
なんでいつも僕に執着するの?
なんでいつも――
堂々巡りになるような言葉が頭の中で浮かんでは消えた。
僕はただりゅうちゃんと仲良くしてるだけなのに。好きだって感情は置いといて、仲がいいのは前からだったし。
そういえば。
僕がりゅうちゃんと仲良くなってから鈴木は僕に絡んでくるようになった。もしかしてりゅうちゃんを僕に取られたのが気に入らない?
そんなの鈴木の個人的な感情じゃん。
そこまで考えたら僕はだんだんと腹が立ってきた。お腹と左の頬が痛いのと同じくらい苛々してきてしまい、僕は少しふらつく身体を足で踏ん張って立ち上がる。
「……もしかして」
小さく呟いて僕はそこにいるであろう鈴木の顔をキッと睨みつけた。
「僕とりゅうちゃんが一緒にいるのが、そんなに気に入らない?」
「ー…ッ!」
はっきりした口調でそう言えば鈴木は怒ったように眉をひそめて口を噤(つぐ)んだ。
「……う、うるせーよッ!」
一言そう言って鈴木は僕の視線から逃れるように顔を背けた。
「僕にだって」
言いながら少し身をかがめてズボンについた土を払い落とす。
「りゅうちゃんと仲良くする権利はある」
今度は睨まずに、(殴ったことは許さないけど)、真っ直ぐに鈴木を見る。
「それは鈴木も同じじゃん」
「なに?」
鈴木が訝しげに僕を見る。
「鈴木にもりゅうちゃんと仲良くする権利はあるし、僕はそれを奪ってはいないでしょ?」
すごく当たり前なこと。
僕は鈴木に殴られたくないし、できれば嫌いにはなりたくない。友達にはなれないかもだけど、もう僕に執着してほしくない。
「だから僕に構わずに普通にりゅうちゃんと仲良くすればいいじゃん」
「うるせぇって言ってんだろッ?!」
僕がそこまで言うと鈴木は急に怒鳴ってきて、僕の左腿(ひだりもも)を蹴ってきた。そこを庇おうと僕が身をかがめた瞬間――
「お前がッ、知ったような口聞いてんじゃねーよッ!!」
間髪入れず立て続けに僕の脇腹や腿や脛(すね)を何度も何度も踏み蹴りしてきた。
突然のことだったから僕は逃げることも出来ずに地にうずくまって鈴木からの暴行に耐えるだけだった。身体をギュッと小さく縮めて頭だけは蹴られないように両腕で抱えるように覆った。痛いし悔しいし情けなくて自然と涙が溢れた。
なんでこんな風になるの?
本当のこと言っただけだし。
もう――
もう、嫌だ。
何もかもがどうでも良くなって考えることを放棄した僕は頭が真っ白になりそうになったその時――
「何してんの?」
一番聞きたくて一番聞きたくなかった声が聞こえた気がした――
――お腹の、鳩尾(みぞおち)あたりがズグンズグンと締め付けられるように痛い。
地面に膝をついた僕は胃から再び込み上げてきた吐き気で軽くむせた。
「……ゴホッ、ゴホ」
咳をするたびに左頬の内側がズキズキして口の中は血の味がした。殴られた拍子に口の中を切ったんだろうな。
なんで鈴木はいつも僕を殴るの?
なんでいつも僕に執着するの?
なんでいつも――
堂々巡りになるような言葉が頭の中で浮かんでは消えた。
僕はただりゅうちゃんと仲良くしてるだけなのに。好きだって感情は置いといて、仲がいいのは前からだったし。
そういえば。
僕がりゅうちゃんと仲良くなってから鈴木は僕に絡んでくるようになった。もしかしてりゅうちゃんを僕に取られたのが気に入らない?
そんなの鈴木の個人的な感情じゃん。
そこまで考えたら僕はだんだんと腹が立ってきた。お腹と左の頬が痛いのと同じくらい苛々してきてしまい、僕は少しふらつく身体を足で踏ん張って立ち上がる。
「……もしかして」
小さく呟いて僕はそこにいるであろう鈴木の顔をキッと睨みつけた。
「僕とりゅうちゃんが一緒にいるのが、そんなに気に入らない?」
「ー…ッ!」
はっきりした口調でそう言えば鈴木は怒ったように眉をひそめて口を噤(つぐ)んだ。
「……う、うるせーよッ!」
一言そう言って鈴木は僕の視線から逃れるように顔を背けた。
「僕にだって」
言いながら少し身をかがめてズボンについた土を払い落とす。
「りゅうちゃんと仲良くする権利はある」
今度は睨まずに、(殴ったことは許さないけど)、真っ直ぐに鈴木を見る。
「それは鈴木も同じじゃん」
「なに?」
鈴木が訝しげに僕を見る。
「鈴木にもりゅうちゃんと仲良くする権利はあるし、僕はそれを奪ってはいないでしょ?」
すごく当たり前なこと。
僕は鈴木に殴られたくないし、できれば嫌いにはなりたくない。友達にはなれないかもだけど、もう僕に執着してほしくない。
「だから僕に構わずに普通にりゅうちゃんと仲良くすればいいじゃん」
「うるせぇって言ってんだろッ?!」
僕がそこまで言うと鈴木は急に怒鳴ってきて、僕の左腿(ひだりもも)を蹴ってきた。そこを庇おうと僕が身をかがめた瞬間――
「お前がッ、知ったような口聞いてんじゃねーよッ!!」
間髪入れず立て続けに僕の脇腹や腿や脛(すね)を何度も何度も踏み蹴りしてきた。
突然のことだったから僕は逃げることも出来ずに地にうずくまって鈴木からの暴行に耐えるだけだった。身体をギュッと小さく縮めて頭だけは蹴られないように両腕で抱えるように覆った。痛いし悔しいし情けなくて自然と涙が溢れた。
なんでこんな風になるの?
本当のこと言っただけだし。
もう――
もう、嫌だ。
何もかもがどうでも良くなって考えることを放棄した僕は頭が真っ白になりそうになったその時――
「何してんの?」
一番聞きたくて一番聞きたくなかった声が聞こえた気がした――
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