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8話 独特な感性を持つ女性(ひと)2
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8話 独特な感性を持つ女性(ひと)2
「……佐藤くんさぁ」
鈴村さんは何故、そんなに考え込んでいるのか気になった俺より先に彼女が口を開いた。
「な、何?」
何を言われるのか身構えてしまった俺は極端に声のトーンを落とす。そんな俺に臆さず鈴村さんは続ける。
「何に対して謝ってるの?」
「……え?」
素直なのか、首をきょとんと傾げる鈴村さんに俺の方こそ何を聞かれてるのか分からなくて唖然としてしまう。
「えっと。八つ当たりしたから?」
彼女の質問の意図が理解できず言葉を選びながら自分に同意を求めれば、
「それは分かる」
と、端的に切り返されてしまう。
「や、八つ当たりしたし、すごい機嫌悪かったと思うし」
「うん。まあ機嫌は悪かったんだろうね」
言い訳じみて言い返せば、ど正論で返される。
……う。くそっ!
なんかこれじゃあ俺の一人相撲みたいじゃないか。
「機嫌が悪い時なんてみんなあるよ」
そんな俺の心境を見透かしたように鈴村さんが少し顔を覗き込んでくる。その視線に耐えきれなくて俺は逃れるように目線を横にずらした。
「……お、怒って、ないの?」
「ううん、別に」
イタズラをした少年のような俺の言葉に、鈴村さんは首を横に振るう。
「でも……、なんか悪いからごめん」
「うん。でも佐藤くん、そんな事気にするの?」
少し呆れたように笑う鈴村さん。そんな彼女に俺は大人げもなくムッとしてしまい、
「気にするよっ」
少し声を荒げてしまったが時はすでに遅し。次は堰を切ったように口を開いてしまう。
「だって、あれからあんまり口聞いてくれないし避けられてるみたいだしっ。…嫌われたのかなぁって…!」
捲し立てるように言い切ってハッと我に帰る。
恐る恐る鈴村さんの顔を見れば、彼女は目を見開いて唖然としているようだった。
「…あっ…、ご、ごめん……!」
「ううん。私の方こそごめんなさい」
後悔しつつ謝れば鈴村さんも同じ様に俺に頭を下げてきた。
「す…鈴村さんが謝る必要ないよ……」
「違う」
鈴村さんは首を横に振った。
「佐藤くんの気持ち考えずに笑っちゃったから」
そう言って彼女は再び『ごめんね』と、小さく呟いた。
「いや……俺の方こそ捲し立てちゃって。大人げない……」
「気にしなくてもいいよ。佐藤くん感情豊かだよね、良いことだよ」
そう言う鈴村さんは微かに笑う。
ふわりと総てを包む様な笑顔にまたひとつ心臓が鳴った。
俺は自然に、鈴村さんと親しくなりたいそう思った。そこに特別な感情はないが、仲良くなりたいな、と思ったのは事実。
「ねぇ、『暖子(はるこ)さん』って呼んでいい?」
鈴村さんの同級生である秋野(あきの)さんがそう呼んでるんだから俺が呼んでも特に違和感はないだろう。他のおばちゃん達もそうやって呼んでいるし。
「え、いいけど」
鈴村さんの了解を得た事だし、彼女の事は名前で呼ぼう。しかし俺だけ苗字ってのは納得いかない。
「じゃあ俺の事は『雪斗(ゆきと)くん』でいいから」
少し困惑した表情をしている暖子さんに妥協案を出してみた。本当は妥協と言うより、仕事先に俺と同じ苗字のやつが自分含め四人もいるからだ。一番多い苗字って言われるだけはあるな。
「へへ。じゃあお言葉に甘えて『雪斗くん』って呼ぶね」
照れた様に微笑む暖子さん。その笑顔が少し可愛いと思ったが別に恋愛意識はない――筈だった、この頃までは。
「……佐藤くんさぁ」
鈴村さんは何故、そんなに考え込んでいるのか気になった俺より先に彼女が口を開いた。
「な、何?」
何を言われるのか身構えてしまった俺は極端に声のトーンを落とす。そんな俺に臆さず鈴村さんは続ける。
「何に対して謝ってるの?」
「……え?」
素直なのか、首をきょとんと傾げる鈴村さんに俺の方こそ何を聞かれてるのか分からなくて唖然としてしまう。
「えっと。八つ当たりしたから?」
彼女の質問の意図が理解できず言葉を選びながら自分に同意を求めれば、
「それは分かる」
と、端的に切り返されてしまう。
「や、八つ当たりしたし、すごい機嫌悪かったと思うし」
「うん。まあ機嫌は悪かったんだろうね」
言い訳じみて言い返せば、ど正論で返される。
……う。くそっ!
なんかこれじゃあ俺の一人相撲みたいじゃないか。
「機嫌が悪い時なんてみんなあるよ」
そんな俺の心境を見透かしたように鈴村さんが少し顔を覗き込んでくる。その視線に耐えきれなくて俺は逃れるように目線を横にずらした。
「……お、怒って、ないの?」
「ううん、別に」
イタズラをした少年のような俺の言葉に、鈴村さんは首を横に振るう。
「でも……、なんか悪いからごめん」
「うん。でも佐藤くん、そんな事気にするの?」
少し呆れたように笑う鈴村さん。そんな彼女に俺は大人げもなくムッとしてしまい、
「気にするよっ」
少し声を荒げてしまったが時はすでに遅し。次は堰を切ったように口を開いてしまう。
「だって、あれからあんまり口聞いてくれないし避けられてるみたいだしっ。…嫌われたのかなぁって…!」
捲し立てるように言い切ってハッと我に帰る。
恐る恐る鈴村さんの顔を見れば、彼女は目を見開いて唖然としているようだった。
「…あっ…、ご、ごめん……!」
「ううん。私の方こそごめんなさい」
後悔しつつ謝れば鈴村さんも同じ様に俺に頭を下げてきた。
「す…鈴村さんが謝る必要ないよ……」
「違う」
鈴村さんは首を横に振った。
「佐藤くんの気持ち考えずに笑っちゃったから」
そう言って彼女は再び『ごめんね』と、小さく呟いた。
「いや……俺の方こそ捲し立てちゃって。大人げない……」
「気にしなくてもいいよ。佐藤くん感情豊かだよね、良いことだよ」
そう言う鈴村さんは微かに笑う。
ふわりと総てを包む様な笑顔にまたひとつ心臓が鳴った。
俺は自然に、鈴村さんと親しくなりたいそう思った。そこに特別な感情はないが、仲良くなりたいな、と思ったのは事実。
「ねぇ、『暖子(はるこ)さん』って呼んでいい?」
鈴村さんの同級生である秋野(あきの)さんがそう呼んでるんだから俺が呼んでも特に違和感はないだろう。他のおばちゃん達もそうやって呼んでいるし。
「え、いいけど」
鈴村さんの了解を得た事だし、彼女の事は名前で呼ぼう。しかし俺だけ苗字ってのは納得いかない。
「じゃあ俺の事は『雪斗(ゆきと)くん』でいいから」
少し困惑した表情をしている暖子さんに妥協案を出してみた。本当は妥協と言うより、仕事先に俺と同じ苗字のやつが自分含め四人もいるからだ。一番多い苗字って言われるだけはあるな。
「へへ。じゃあお言葉に甘えて『雪斗くん』って呼ぶね」
照れた様に微笑む暖子さん。その笑顔が少し可愛いと思ったが別に恋愛意識はない――筈だった、この頃までは。
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