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18話 心に蓋をしたままで3
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18話 心に蓋をしたままで3
おっとりしてそうで優しくて。でも時々子供っぽくて。それでいてどこか大人で。
また、俺の心を掻き乱すのが上手くて。でも俺はそれがすごく心地よくて。もっとそうして欲しい反面、独占したいっていう気持ちもあって――
多分、俺。暖子(はるこ)さんのこと――
そこまで思って俺は軽く頭を振った。
『暖子さんのこと』。その次は何を言うつもりだ?
その得体の知れない想いは心にしまい込んで蓋をした筈だろ。暖子さんとは友達以上になる気はない。ただ趣味の合う気のいいおばちゃんってだけだ。
心の奥底にある溢れ出しそうな感情を押し殺すようにして、
「……そっか。暖子さんって七海(ななみ)と仲良かったっけ?」
「え?! 七海さん?」
暖子さんと一緒に工場から駐車場に向かう最中、俺は前から少し気になっていた事を聞いてみた。
――七海と付き合うようになってから、例の噂好きおばちゃんから聞いた『ある噂』。表面上は『いい子』を演じている七海が、影では俺と仲良くする女性たち(そこに歳は関係なく)に陰湿な嫌がらせをしているとの事。
これは、誰彼関係なしに気さくに話しかけてしまう俺も悪いのだが、特に俺と良くお喋りをする女性たちは七海の標的の的になっているらしく、暖子さんも例外ではなくて――
「うん……。あいつの噂、暖子さんも知ってるだろうけど」
「噂って……?」
不思議そうに目を丸くする暖子さん。
「七海のこと、おばちゃんたちが噂してるでしょ。俺と仲のいい人たちに嫌がらせしてるって」
「そうなの?」
暖子さんは何も知らないようで、首を傾げて殊更不思議そうな顔をしている。
暖子さんには何もしていないのか?
――まあ七海と付き合いだしてから暖子さんとは全然喋ってないからな。
「私ーー七海さんと喋ったことあるけど」
「え?!」
暖子さんの予想だにしない言葉に俺はびっくりして素っ頓狂な声をあげた。
「え、なに? そんなに驚くこと?」
びっくりした俺に暖子さんもびっくりして少し困った笑いを浮かべている。
「雪斗くんのこと、すごく好きなんだね。いい子だよね」
暖子さんはそう言い残し、『じゃあね』と俺より先に帰ってしまった。
相変わらず独特な感性をしてるよなぁ、と変なとこで感心しつつ俺は遠ざかっていく暖子さんの後ろ姿を見送った。
おっとりしてそうで優しくて。でも時々子供っぽくて。それでいてどこか大人で。
また、俺の心を掻き乱すのが上手くて。でも俺はそれがすごく心地よくて。もっとそうして欲しい反面、独占したいっていう気持ちもあって――
多分、俺。暖子(はるこ)さんのこと――
そこまで思って俺は軽く頭を振った。
『暖子さんのこと』。その次は何を言うつもりだ?
その得体の知れない想いは心にしまい込んで蓋をした筈だろ。暖子さんとは友達以上になる気はない。ただ趣味の合う気のいいおばちゃんってだけだ。
心の奥底にある溢れ出しそうな感情を押し殺すようにして、
「……そっか。暖子さんって七海(ななみ)と仲良かったっけ?」
「え?! 七海さん?」
暖子さんと一緒に工場から駐車場に向かう最中、俺は前から少し気になっていた事を聞いてみた。
――七海と付き合うようになってから、例の噂好きおばちゃんから聞いた『ある噂』。表面上は『いい子』を演じている七海が、影では俺と仲良くする女性たち(そこに歳は関係なく)に陰湿な嫌がらせをしているとの事。
これは、誰彼関係なしに気さくに話しかけてしまう俺も悪いのだが、特に俺と良くお喋りをする女性たちは七海の標的の的になっているらしく、暖子さんも例外ではなくて――
「うん……。あいつの噂、暖子さんも知ってるだろうけど」
「噂って……?」
不思議そうに目を丸くする暖子さん。
「七海のこと、おばちゃんたちが噂してるでしょ。俺と仲のいい人たちに嫌がらせしてるって」
「そうなの?」
暖子さんは何も知らないようで、首を傾げて殊更不思議そうな顔をしている。
暖子さんには何もしていないのか?
――まあ七海と付き合いだしてから暖子さんとは全然喋ってないからな。
「私ーー七海さんと喋ったことあるけど」
「え?!」
暖子さんの予想だにしない言葉に俺はびっくりして素っ頓狂な声をあげた。
「え、なに? そんなに驚くこと?」
びっくりした俺に暖子さんもびっくりして少し困った笑いを浮かべている。
「雪斗くんのこと、すごく好きなんだね。いい子だよね」
暖子さんはそう言い残し、『じゃあね』と俺より先に帰ってしまった。
相変わらず独特な感性をしてるよなぁ、と変なとこで感心しつつ俺は遠ざかっていく暖子さんの後ろ姿を見送った。
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