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森の世界
世界樹の試練
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第1の試練を乗り越えたシン達はそのまま次の試練へと向かっていた。
転移により意識だけが取り残される感覚のあとシン達が目にしたのは先ほどと同じ巨大な両開きの扉だった。
「また同じような試練なのか?」
第1の試練にはシン達は嫌な記憶を植え付けられた。
また似たような試練だと思うと足が進まないのだ。
「止まってても仕方ないじゃない。行くわよ」
そんな中でもユナとナナは堂々と扉を開ける。
その後ろ姿に頼もしさを感じつつシン達は部屋の中へと入り込んだ。
「何よ、これ?」
先ほどと同じような円形の部屋でシン達とは反対側に巨大な木で作られた4本腕の人形が案山子のように動かずに立っていた。
『汝らの力を示せ』
部屋に入り込んだシン達に試練を知らせる声が響き渡る。
直後巨大な木製の人形が動き出す。
力を示せという事はあの人形と戦うと言うことだろう。
リリアナを後ろに下がらせエルリックとシンは武器を取り出す。
『よかろう、汝らの力は証明された』
「へっ?」
戦闘を始めようとしていたシン達に試練に合格したとまたもや声が響き渡る。
「何よ、弱いじゃない」
戸惑うシン達の前には真紅の刀を鞘に戻し歩いて戻ってくるユナの姿だ。
彼女の後ろにある巨大な人形はユナがこちらに向き直り歩き出したと同時に綺麗に真っ二つにその体を割き轟音を立て崩れだした。
「すごい」
初めて目にしたユナの本気の一撃にシーナは驚きの声を出した。
瞬殺と言った言葉が相応しいユナの攻撃にシン達はその場から動く事なく試練が終わりを告げた。
「これで1対1ね、リリアナ」
未だ硬直したリリアナにユナは宣言した。
先手をリリアナに許してしまったユナは力を示せとの言葉に木製の人形が動き出した事から試練の内容を瞬時に把握し誰よりも速く人形を破壊したのだ。
「さっ早く次行きましょう」
第1の試練で溜まった鬱憤を晴らしたユナは早々と転移魔法陣へと移動する。
ユナ以外の者達は試練が終わったと実感の持てぬまま次の試練へと向かって行った。
**
『汝らの数への力を示せ』
次の試練へと向かったシン達を待ち受けていたのは、100体ほどの木製の人形の群れだった。
形は同じだが大きさは人間大に小さくなっており部屋を埋め尽くしていた。
『よかろう、数への力は示された』
またしても一瞬で試練は終わりを告げた。
部屋を埋め尽くしていた木製の人形は斬られ押し潰されバラバラになっている。
人形の代わりに部屋を埋め尽くしているのは無数の剣や斧などの武器である。
終わらせたのは”国滅”と呼ばれるナナだった。
たった1人で小国を壊滅させるほと対多数の戦闘を得意としているナナにとっては100体程度の人形では相手にならないのだ。
試練を告げる声が響いた直後部屋の天井や壁から無数の武器が人形へと射出され轟音と共に人形達は破壊された。
「これで、私も1回」
ユナとリリアナに向けナナは指を立て言葉を出す。
その意味をユナとリリアナはすぐさま理解し強敵が現れた事を喜ぶように次は負けないと話している。
**
『汝らの精確な一撃を示せ』
次の試練べ待ち受けていたのは腕が8本に増えた木製の人形だ。
人間の心臓の位置にあたる所に赤く的のような塊が張り付いている。
「僕に任せてくれ」
人形へと向かったのはエルリックだ。
純白と漆黒の槍を1つの長槍へと変化させ、うねうねと動き的を隠す腕の隙を見逃さずエルリックは幾度となく繰り返し洗練させた突きを放ち見事に一撃で赤い的を破壊する。
『よかろう、汝らの精確さは示された』
またも試練は直ぐに合格となり次の試練へと足を進める。
次の試練は巨大な人形1体と小さな人形50体の群れだった。
ユナが同じように巨大な人形を一撃で葬り小さな人形はナナの攻撃により1体も残らず破壊される。
赤姫の団長と副長は何度も一緒に戦った事があるのだろう。
ナナの無差別に繰り出された武器達をユナは掠りもせず巨大な人形を倒していた。
「手応えがないわね」
すぐに終わる試練にユナはそう感じていた。
だがこの人形はこんなに容易く倒せる存在ではない。
事実この試練を乗り越えられる挑戦者は少ない。
人形以前にユナとナナが強すぎるのだ。
次の試練では巨大な人形が2体待ち受けていた。
だがそれもユナは一撃で葬り試練は突破される。
「これはわたくしにおまかせ下さい」
9階の試練では部屋の中央には、対角に穴の空いた大きめな台座があった。
その台座の上には小さな四角い石板が幾つもバラバラに転がっており、その石板の表面には直線や直角に折れ曲がっり曲線が描かれていた。
意味のわかっていないシン達をよそにリリアナは素早く石板を並べ替えていく。
「出来ましたわ」
石板を並べ替えたリリアナはシン達に向き直る。
台座を覗くと対角にある穴が石板に刻まれた模様によって繋がっていた。
試練の終わりを告げる声が響きシン達は部屋を後にする。
「今日はもう遅いですしこれで終わりにしましょう」
リリアナの言葉にシン達は同意し転移魔法陣で1階であるユグンに戻る。
「今の所は私が勝ってるわね」
ここまで8個の試練を終わらせユナは3つの試練を、リリアナは2つ、ナナは2つの試練を攻略した。
途中ユナとナナが共闘したので両方の功績にしたのだ。
「いえ、まだまだ先はあるのです。せいぜい僅かな優位を喜んでいて下さいね」
自信ありげに言うユナにリリアナはまだまだと対抗する。
こうして言い争いをするのもシン達は見慣れた物だ。
「この人達、めちゃくちゃだ」
最初の試練以外あっさりと攻略するシン達にシーナは驚いてばかりだ。
戦闘になった途端敵を一瞬で葬り試練を乗り越えるユナとナナ。
悩むそぶりも見せず問題を解くリリアナ。
的を狙わせないように動く8本の腕を物ともせず一撃で的を精確に射抜くエルリック。
世界樹の試練を乗り越える挑戦者が少ない事を知っているシーナからすればこの仲間達の実力に驚くと共に頼もしさを感じている。
この人達がシーナの獣王選定に力を貸してくれる事が嬉しいのだ。
「おにぃさん」
「何だ?」
「おにぃさんを待ってて良かった」
「そりゃどうも」
シンはシーナの頭を撫でる。
虐げられながらも自分を待っていたシーナに待ってて良かったと言われるのはシンにも嬉しいのだ。
普段感情を表に出さないシーナが笑顔を見せた事もだ。
「けどおにぃさん」
「何だね」
「おにぃさん、何もしてなくない?」
偉そうに何だねと答えてしまったシンにシーナは言ってはいけない事を言ってしまう。
シン自身も思っていたのだ、そして何とか隠そうとしていた。
今日の世界樹の攻略で自分が何もしていない事を。
転移により意識だけが取り残される感覚のあとシン達が目にしたのは先ほどと同じ巨大な両開きの扉だった。
「また同じような試練なのか?」
第1の試練にはシン達は嫌な記憶を植え付けられた。
また似たような試練だと思うと足が進まないのだ。
「止まってても仕方ないじゃない。行くわよ」
そんな中でもユナとナナは堂々と扉を開ける。
その後ろ姿に頼もしさを感じつつシン達は部屋の中へと入り込んだ。
「何よ、これ?」
先ほどと同じような円形の部屋でシン達とは反対側に巨大な木で作られた4本腕の人形が案山子のように動かずに立っていた。
『汝らの力を示せ』
部屋に入り込んだシン達に試練を知らせる声が響き渡る。
直後巨大な木製の人形が動き出す。
力を示せという事はあの人形と戦うと言うことだろう。
リリアナを後ろに下がらせエルリックとシンは武器を取り出す。
『よかろう、汝らの力は証明された』
「へっ?」
戦闘を始めようとしていたシン達に試練に合格したとまたもや声が響き渡る。
「何よ、弱いじゃない」
戸惑うシン達の前には真紅の刀を鞘に戻し歩いて戻ってくるユナの姿だ。
彼女の後ろにある巨大な人形はユナがこちらに向き直り歩き出したと同時に綺麗に真っ二つにその体を割き轟音を立て崩れだした。
「すごい」
初めて目にしたユナの本気の一撃にシーナは驚きの声を出した。
瞬殺と言った言葉が相応しいユナの攻撃にシン達はその場から動く事なく試練が終わりを告げた。
「これで1対1ね、リリアナ」
未だ硬直したリリアナにユナは宣言した。
先手をリリアナに許してしまったユナは力を示せとの言葉に木製の人形が動き出した事から試練の内容を瞬時に把握し誰よりも速く人形を破壊したのだ。
「さっ早く次行きましょう」
第1の試練で溜まった鬱憤を晴らしたユナは早々と転移魔法陣へと移動する。
ユナ以外の者達は試練が終わったと実感の持てぬまま次の試練へと向かって行った。
**
『汝らの数への力を示せ』
次の試練へと向かったシン達を待ち受けていたのは、100体ほどの木製の人形の群れだった。
形は同じだが大きさは人間大に小さくなっており部屋を埋め尽くしていた。
『よかろう、数への力は示された』
またしても一瞬で試練は終わりを告げた。
部屋を埋め尽くしていた木製の人形は斬られ押し潰されバラバラになっている。
人形の代わりに部屋を埋め尽くしているのは無数の剣や斧などの武器である。
終わらせたのは”国滅”と呼ばれるナナだった。
たった1人で小国を壊滅させるほと対多数の戦闘を得意としているナナにとっては100体程度の人形では相手にならないのだ。
試練を告げる声が響いた直後部屋の天井や壁から無数の武器が人形へと射出され轟音と共に人形達は破壊された。
「これで、私も1回」
ユナとリリアナに向けナナは指を立て言葉を出す。
その意味をユナとリリアナはすぐさま理解し強敵が現れた事を喜ぶように次は負けないと話している。
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『汝らの精確な一撃を示せ』
次の試練べ待ち受けていたのは腕が8本に増えた木製の人形だ。
人間の心臓の位置にあたる所に赤く的のような塊が張り付いている。
「僕に任せてくれ」
人形へと向かったのはエルリックだ。
純白と漆黒の槍を1つの長槍へと変化させ、うねうねと動き的を隠す腕の隙を見逃さずエルリックは幾度となく繰り返し洗練させた突きを放ち見事に一撃で赤い的を破壊する。
『よかろう、汝らの精確さは示された』
またも試練は直ぐに合格となり次の試練へと足を進める。
次の試練は巨大な人形1体と小さな人形50体の群れだった。
ユナが同じように巨大な人形を一撃で葬り小さな人形はナナの攻撃により1体も残らず破壊される。
赤姫の団長と副長は何度も一緒に戦った事があるのだろう。
ナナの無差別に繰り出された武器達をユナは掠りもせず巨大な人形を倒していた。
「手応えがないわね」
すぐに終わる試練にユナはそう感じていた。
だがこの人形はこんなに容易く倒せる存在ではない。
事実この試練を乗り越えられる挑戦者は少ない。
人形以前にユナとナナが強すぎるのだ。
次の試練では巨大な人形が2体待ち受けていた。
だがそれもユナは一撃で葬り試練は突破される。
「これはわたくしにおまかせ下さい」
9階の試練では部屋の中央には、対角に穴の空いた大きめな台座があった。
その台座の上には小さな四角い石板が幾つもバラバラに転がっており、その石板の表面には直線や直角に折れ曲がっり曲線が描かれていた。
意味のわかっていないシン達をよそにリリアナは素早く石板を並べ替えていく。
「出来ましたわ」
石板を並べ替えたリリアナはシン達に向き直る。
台座を覗くと対角にある穴が石板に刻まれた模様によって繋がっていた。
試練の終わりを告げる声が響きシン達は部屋を後にする。
「今日はもう遅いですしこれで終わりにしましょう」
リリアナの言葉にシン達は同意し転移魔法陣で1階であるユグンに戻る。
「今の所は私が勝ってるわね」
ここまで8個の試練を終わらせユナは3つの試練を、リリアナは2つ、ナナは2つの試練を攻略した。
途中ユナとナナが共闘したので両方の功績にしたのだ。
「いえ、まだまだ先はあるのです。せいぜい僅かな優位を喜んでいて下さいね」
自信ありげに言うユナにリリアナはまだまだと対抗する。
こうして言い争いをするのもシン達は見慣れた物だ。
「この人達、めちゃくちゃだ」
最初の試練以外あっさりと攻略するシン達にシーナは驚いてばかりだ。
戦闘になった途端敵を一瞬で葬り試練を乗り越えるユナとナナ。
悩むそぶりも見せず問題を解くリリアナ。
的を狙わせないように動く8本の腕を物ともせず一撃で的を精確に射抜くエルリック。
世界樹の試練を乗り越える挑戦者が少ない事を知っているシーナからすればこの仲間達の実力に驚くと共に頼もしさを感じている。
この人達がシーナの獣王選定に力を貸してくれる事が嬉しいのだ。
「おにぃさん」
「何だ?」
「おにぃさんを待ってて良かった」
「そりゃどうも」
シンはシーナの頭を撫でる。
虐げられながらも自分を待っていたシーナに待ってて良かったと言われるのはシンにも嬉しいのだ。
普段感情を表に出さないシーナが笑顔を見せた事もだ。
「けどおにぃさん」
「何だね」
「おにぃさん、何もしてなくない?」
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