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獣王との戦い
新たな試練
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「敵もだいぶ強くなってきたな」
シン達は世界樹の試練を67階層まで進めている。
50階層を超えた辺りから、敵として出現する魔獣や世界樹により作られた生物が、その強さを増してきていた。
窮地に陥るほどではないのだが、以前のように簡単に倒す事が出来なくなっていた。
以前には強力な魔獣であれば、単体での出現だったのだが、この所は2体から5体ほどまで出現する。
中には魔獣同士で連携をとる場合もあり、不意を突かれる事や追い詰められる事も少なくない。
敵が強力になるにつれ、シン達の攻略速度は遅くなり、30階層を突破してからここまで3ヶ月程度の時間を要してしまっている。
「そろそろ、買い出しに行かないといけないよ」
食料や消耗品などを管理するエルリックは、3週間に1度、ティナを連れて買い出しに向かっている。
魔導具の袋に入れておけば、時間が凍結される為、食料などが腐敗する事はない。
しかし、それほど許容量が大きい訳ではないので、ナナの事を考えると、何度も買い込まなくてはならない。
「なら、今日の攻略はここまでにしよう」
今現在、シン達は1日に試練を2つほど突破している。
下層の時のようなペースを継続する事は難しく、慎重を期す為にも、休息を多めにとっていた。
「では、僕達は下に行ってくるよ」
エルリックは、ティナを連れユグンへと向かう。
ティナの生命探知の能力により、獣王の手の者を回避し、最新の注意を払いエルリック達は買い物をする。
残ったシン達は各々、武器の整備や疲労の回復に努める。
装備の手入れは、シンとナナ、エルリックには必要がないが、ユナやアイナに関しては必須の行動だ。
エルリック達が戻る事には、休眠の準備まで進めており、一同は翌日の攻略に備える。
世界樹の前室は、階層を進める事に居心地が良くなり、そこでの宿泊に苦痛を感じる事はなかった。
翌日、試練に挑んだシン達の敵となるのは、森の世界を代表する複数の魔獣達である。
以前の試練ではそれぞれが、単体でシン達と戦った魔獣達である。
しかし、初見で戦う時と違い、その魔獣達の特徴を知るシン達は、冷静に連携を取り、1匹ずつ討伐していく。
シンにユナ、アイナを中心とし、ナナとメリィの遠距離攻撃による牽制で、近接戦闘の補助をする。
続く69階層も同様の試練であり、相反する2つの属性を持つ飛竜との戦闘であった。
炎と水、飛竜の操る攻撃は、時に反発しあい、試練の間を水蒸気で包み込み、シン達の視界を奪う。
だが、メリィの翼により発生した突風で水蒸気を振り払い、飛竜に向けユナとアイナが斬りかかる。
それぞれの持つ最高級の武器は、重厚な飛竜の鱗を易々と斬り裂き、致命的な一撃を与える。
試練の間は大部屋とはいえ、行動範囲の限られた室内では、飛竜最大の武器である自由な飛行は失われ、脅威は半減している。
「今回はそう苦戦しなかったな」
試練の敵により、攻略速度は変動する。
シン達と相性の良い、魔術などの遠距離攻撃を主とする敵であれば、討伐にそう時間はかからない。
シンやロイズにより、魔術などは簡単に無効化出来る。
無効化する隙に、ユナやアイナ、ナナの速攻により、終わらせる事が出来るからだ。
それとは逆に搦め手を使う敵には苦戦する事が多い。
シン達は基本的に力押しで戦闘に勝利する事が出来る。
だが、氷の世界で”双蒼の烈刃”のミアに、シンは罠にかけられたように、そういった敵を苦手としていた。
今回の飛竜はシン達にとって、相性が良く簡単に突破する事が出来たが、続く70階層は簡単には行かないであろう事が予想される。
「次はどうするの?私はこのまま行っても問題ないけど」
ユナは今回の試練が、物足りなかったのであろう。
疲れた様子もなく、次の試練に進むか一同に訪ねて行く。
「まだ、早いしな。俺もユナに賛成だ」
時間がかからなかった為、まだ時刻は昼時であった。
それに、活躍の機会のなかったシンはユナの提案を受け入れる。
他の面々も、ユナの意見には賛成のようであり、70階層の試練に挑戦する事になった。
「ねえ、次はどんなのかな?」
3ヶ月も世界樹の中に篭り続け、シン達は倦怠感を感じていた。
ユナなどは試練にも飽きが出てしまっており、10階層ごとの試練に期待を持っていた。
「我は、戦闘以外が良いです」
アイナとしても、冒険者として活動していた事からわかるように、物珍しい事を欲していた。
**
70階層に転移したシン達は、扉を開け試練の開始を待つ。
独特の緊張感が漂う試練の間は、いつもと変わらず何もない空間であった。
だが、試練の開始を告げる声が聞こえる前に、シン達は転移独特の感覚を襲った。
「どこだ?ここは」
辺りを見渡したシンは違和感を覚える。
かつて偽の世界に飛ばされた時と違い、仲間は全員揃っており、見渡す限り一面は草原であった。
「これは、懐かしいの」
転移した場所を、ティナのみが知っていたらしい。
「知ってるのか?」
見た事もない場所を知っていると言う事は、この転移した場所は現実のものであるとシンは考えた。
「ここは、シン達は知らぬのは当たり前だろうの」
戸惑うシン達に向け、ティナは言う。
冒険者として活動していたアイナでさえも見た事もない世界であったからだ。
「この場所は、ネラス草原、世界分断で失われた幻の大地。つまり、この世界は創世期、世界が7つに分かれる前の世界だ」
失われた世界にシン達は、世界樹の試練で足を踏み入れていた。
未知の世界を訪れた事に、シン達の士気は自ずと高まる事となる。
『世界の始まりを知れ』
高揚するシン達の耳に試練の開始を告げる声が、響き渡る。
7つに分かれた世界の秘密が、世界樹の試練により、明かされる事となる。
シン達は世界樹の試練を67階層まで進めている。
50階層を超えた辺りから、敵として出現する魔獣や世界樹により作られた生物が、その強さを増してきていた。
窮地に陥るほどではないのだが、以前のように簡単に倒す事が出来なくなっていた。
以前には強力な魔獣であれば、単体での出現だったのだが、この所は2体から5体ほどまで出現する。
中には魔獣同士で連携をとる場合もあり、不意を突かれる事や追い詰められる事も少なくない。
敵が強力になるにつれ、シン達の攻略速度は遅くなり、30階層を突破してからここまで3ヶ月程度の時間を要してしまっている。
「そろそろ、買い出しに行かないといけないよ」
食料や消耗品などを管理するエルリックは、3週間に1度、ティナを連れて買い出しに向かっている。
魔導具の袋に入れておけば、時間が凍結される為、食料などが腐敗する事はない。
しかし、それほど許容量が大きい訳ではないので、ナナの事を考えると、何度も買い込まなくてはならない。
「なら、今日の攻略はここまでにしよう」
今現在、シン達は1日に試練を2つほど突破している。
下層の時のようなペースを継続する事は難しく、慎重を期す為にも、休息を多めにとっていた。
「では、僕達は下に行ってくるよ」
エルリックは、ティナを連れユグンへと向かう。
ティナの生命探知の能力により、獣王の手の者を回避し、最新の注意を払いエルリック達は買い物をする。
残ったシン達は各々、武器の整備や疲労の回復に努める。
装備の手入れは、シンとナナ、エルリックには必要がないが、ユナやアイナに関しては必須の行動だ。
エルリック達が戻る事には、休眠の準備まで進めており、一同は翌日の攻略に備える。
世界樹の前室は、階層を進める事に居心地が良くなり、そこでの宿泊に苦痛を感じる事はなかった。
翌日、試練に挑んだシン達の敵となるのは、森の世界を代表する複数の魔獣達である。
以前の試練ではそれぞれが、単体でシン達と戦った魔獣達である。
しかし、初見で戦う時と違い、その魔獣達の特徴を知るシン達は、冷静に連携を取り、1匹ずつ討伐していく。
シンにユナ、アイナを中心とし、ナナとメリィの遠距離攻撃による牽制で、近接戦闘の補助をする。
続く69階層も同様の試練であり、相反する2つの属性を持つ飛竜との戦闘であった。
炎と水、飛竜の操る攻撃は、時に反発しあい、試練の間を水蒸気で包み込み、シン達の視界を奪う。
だが、メリィの翼により発生した突風で水蒸気を振り払い、飛竜に向けユナとアイナが斬りかかる。
それぞれの持つ最高級の武器は、重厚な飛竜の鱗を易々と斬り裂き、致命的な一撃を与える。
試練の間は大部屋とはいえ、行動範囲の限られた室内では、飛竜最大の武器である自由な飛行は失われ、脅威は半減している。
「今回はそう苦戦しなかったな」
試練の敵により、攻略速度は変動する。
シン達と相性の良い、魔術などの遠距離攻撃を主とする敵であれば、討伐にそう時間はかからない。
シンやロイズにより、魔術などは簡単に無効化出来る。
無効化する隙に、ユナやアイナ、ナナの速攻により、終わらせる事が出来るからだ。
それとは逆に搦め手を使う敵には苦戦する事が多い。
シン達は基本的に力押しで戦闘に勝利する事が出来る。
だが、氷の世界で”双蒼の烈刃”のミアに、シンは罠にかけられたように、そういった敵を苦手としていた。
今回の飛竜はシン達にとって、相性が良く簡単に突破する事が出来たが、続く70階層は簡単には行かないであろう事が予想される。
「次はどうするの?私はこのまま行っても問題ないけど」
ユナは今回の試練が、物足りなかったのであろう。
疲れた様子もなく、次の試練に進むか一同に訪ねて行く。
「まだ、早いしな。俺もユナに賛成だ」
時間がかからなかった為、まだ時刻は昼時であった。
それに、活躍の機会のなかったシンはユナの提案を受け入れる。
他の面々も、ユナの意見には賛成のようであり、70階層の試練に挑戦する事になった。
「ねえ、次はどんなのかな?」
3ヶ月も世界樹の中に篭り続け、シン達は倦怠感を感じていた。
ユナなどは試練にも飽きが出てしまっており、10階層ごとの試練に期待を持っていた。
「我は、戦闘以外が良いです」
アイナとしても、冒険者として活動していた事からわかるように、物珍しい事を欲していた。
**
70階層に転移したシン達は、扉を開け試練の開始を待つ。
独特の緊張感が漂う試練の間は、いつもと変わらず何もない空間であった。
だが、試練の開始を告げる声が聞こえる前に、シン達は転移独特の感覚を襲った。
「どこだ?ここは」
辺りを見渡したシンは違和感を覚える。
かつて偽の世界に飛ばされた時と違い、仲間は全員揃っており、見渡す限り一面は草原であった。
「これは、懐かしいの」
転移した場所を、ティナのみが知っていたらしい。
「知ってるのか?」
見た事もない場所を知っていると言う事は、この転移した場所は現実のものであるとシンは考えた。
「ここは、シン達は知らぬのは当たり前だろうの」
戸惑うシン達に向け、ティナは言う。
冒険者として活動していたアイナでさえも見た事もない世界であったからだ。
「この場所は、ネラス草原、世界分断で失われた幻の大地。つまり、この世界は創世期、世界が7つに分かれる前の世界だ」
失われた世界にシン達は、世界樹の試練で足を踏み入れていた。
未知の世界を訪れた事に、シン達の士気は自ずと高まる事となる。
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7つに分かれた世界の秘密が、世界樹の試練により、明かされる事となる。
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