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空の世界
ナナの力
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対神戦闘兵器コードネーム”ナナ”、彼女はかつて砂の世界で君臨していた地の神ミアリスが他の世界の神を打倒すべく生み出した存在である。
ミアリスが創り出そうとした戦闘兵器は、人族をベースにして生み出されている。
ナナは名前の通り、ミアリスが成功と称した戦闘兵器の7番目の存在という意味である。
この戦闘兵器の創造は、世界が7つに分かれる前から行われていた。
試作品とされている対神戦闘兵器は、ノアの暴走により引き起こされた全面戦闘でも導入されている。
ミアリスが導入した戦闘兵器は7人の神による全面戦闘でも猛威を振るった。
数こそ少ないものの、戦闘兵器が戦場に降り立つと人族軽くを凌駕する働きを見せ、争いを支配し瞬く間に敵を滅ぼしていったのだ。
しかし、当時作られた戦闘兵器は試作段階、つまり未完成の物だった。
戦闘能力的に問題はなかったが、長時間の運用に適合しなかったのだ。
当時の戦闘兵器はまさに使い捨てと言った表現が正しいものであったのだ。
完全に無から生命を作り出す事は不可能に近かったのだ。
世界を支配する神の1人であるミアリスですら完成させるに至っていなかったのだから他の者が同じ事をしても結果は同じだろう。
ノアが封じられ、唯一神クラウ・ディアスにより世界が7つに分断された後もミアリスは戦闘兵器の研究を続けていた。
しかし、何年もの月日を重ねても以前の問題点は解決の糸口すら掴めなかった。
研究の神として名を挙げていた空の神エウリスと協力したならば、可能だったかもしれないがミアリスはそれをしなかった。
何としても自分自身の手で完成させたかったのだろう。
長年に及ぶ研究の末、ミアリスはある決断を下す。
砂の世界の人族を使う事にしたのだ。
これまでの戦闘兵器が成し得なかった長時間の運用に、自らの意思で戦場を駆け巡る力。
人族をベースに使う事でこれらの問題を一気に解決しようとしたのだ。
結果は成功と言ってもいいものだった。
まだ生まれたばかりの赤子を定位的に攫い、研究所に送り込む。
赤子の成長と共に、身体機能の向上に繋がる薬物を投与し、遺伝子を操作して特殊な力、魔力を無理矢理待たせた。
人体実験は初期段階で死亡する赤子がほとんどであった。
皆余る力は、持ち主の身体を壊していくのだ。
しかし、ミアリスは諦めなかった。
度重なる赤子の失踪に砂の世界の人族達は不信感を募らせていたが、気にも止めない。
他の神との戦いに勝つ事だけをミアリスは欲していたのだ。
何百年にも及ぶ研究の末、ミアリスは遂に戦闘兵器の創造に成功する。
その間犠牲になった赤子の数は数え切れない。
そして、それはここからも増え続けていく。
対神戦闘兵器、その最初の成功例となった者は人族には持ち得ない卓越した身体能力を手に入れた。
走る速度は音を軽く置き去りにし、ひとたび武器を振るえば周囲一帯を更地にした。
余りの威力に、手にしている武器すら破壊されてしまうほどであった。
だが、成功と言っても完成した訳ではなかった。
人族の許容を超えた力に、第1号の身体は定期的に休養と治療が必要であり、また思考能力も一般的な人族よりも数段に劣ったものだったのだ。
第1号に続いて2号、3号と生み出されたが、何故かその者たちは思考能力が低下してしまっていた。
原因は神であるミアリスにすら解きあかせなかった。
しかし、必然なのか偶然なのか、理由は解明されなかったが、初めて通常の人族と同程度の思考能力を持った個体が生まれたのだ。
それが対神戦闘兵器コードネーム”ナナ”、つまり序列7位”国滅”ナナ・イースヴァルである。
彼女は変哲も無い人族から攫ってきた娘であった。
何かが適合したのか、それとも彼女に特別な才能があったのか、彼女がたまたまミアリスが投与した様々な物質に適合したのか、それは未だに解明されていない。
しかし、思考能力を持ち合わせていても、自身の力にナナは押し潰されそうになっていた。
そこで、ミアリスはナナにある神技を使う。
神技と言っても特別なものではない。
ただ、ナナに洗脳をかけただけだ。
その洗脳は、単純に自身の力を忘れさせるものだった。
普段は力を抑えさせ、戦闘時のみ内なる力を解放させる。
これにより、コントロール出来なかったナナの力はようやく私生活に問題がない程度に抑える事が出来た。
これにより、力をコントロールし始めたナナは、手始めとして砂の世界の小国をたった1人で滅ぼすまで成長し、”国滅”の異名を持つまでになった。
何故、もっと早くこの神技を使わなかったのか、ミアリスは己のミスを悔やんだ。
しかし、後悔しても仕方ないと次の戦闘兵器の開発に乗り出そうとした。
だが、そこで想定外の事態が起こる。
砂の世界最強と謳われる傭兵団”赤姫”による研究所の襲撃である。
秘密裏に行われていたはずの研究が明るみに出るはずがなかったが、襲撃された事は事実だ。
ミアリスは己に砂の世界の人族達の怒りが向く事を恐れ、各地の研究所から自身の名前を消した。
神による完璧な隠蔽工作により、事実が明るみに出る事はなかったが、それ以上研究を続ける事が出来なくなった。
最高傑作として育てるつもりであったナナは赤姫によって連れ去られた。
しかし、ミアリスはこれを好機と見た。
ナナがどこまで己の力で成長するか、見物する事にしたのだ。
結果はある程度は満足いくものだった。
言葉すら覚えていなかったナナは、赤姫により育てられ、序列8位にまで上り詰めたのだから当然だ。
ナナ本人が燃費が悪いと言う通り、長時間の戦闘に支障は残っているが些細な問題だ。
特殊な鋼鉄創造の魔術に加え、人族とは思えないほどの膂力を持っているのだからそのような問題も仕方ないだろう。
その後、紆余曲折を経てミアリスはノアとその代行者であるシンに敗れる事となり研究が再開される事はなかったが、ナナの成長は止まる事がなかった。
直接ナナと会話した事は少なかったが、その成長を見届けたミアリスは、ナナに真実を告げた。
その時もナナの表情は変わる事なく、ミアリスの言葉を聞いていたが、まさかここまで早く封じられたいた力を使う事になるとは思ってはいなかっただろう。
序列2位”天帝”ラドラス・エルドラスを前に、ナナはミアリスから伝えられた言葉を言う。
神技により封じられた本来の力を解放するために。
ナナの力がどれほど封じられているのか、本人ですら知り得ない。
かつてない強敵を目の前に、ナナは溢れ出る力に唇を噛みしめる。
持続時間は決して長くはないだろう。
既にナナの身体は、悲鳴を上げようとしている。
だが、身体が壊れようとナナは立ち止まらない。
己を救い、敬愛するユナとずっと着いていこうと決めたシンの為、ここでラドラスに殺されてやるつもりはない。
「エル君、あとは任せて」
ナナの言葉はいつも短い。
しかし、その声からは、今までに感じた事のない決意が感じ取れた。
「わかった。 けど無理はしないでくれよ」
ナナを失えばシン達は悲しみを堪えられないだろう。
小さな背中を頼もしく思いながら、エルリックも気を引き締める。
「何としても、ここを脱出しよう。 そうしたら、美味しいものを幾らでも作ってあげるからね」
「エル君、忘れたら怒る」
”天帝”との戦いは、さらなる激戦へと突入する。
ミアリスが創り出そうとした戦闘兵器は、人族をベースにして生み出されている。
ナナは名前の通り、ミアリスが成功と称した戦闘兵器の7番目の存在という意味である。
この戦闘兵器の創造は、世界が7つに分かれる前から行われていた。
試作品とされている対神戦闘兵器は、ノアの暴走により引き起こされた全面戦闘でも導入されている。
ミアリスが導入した戦闘兵器は7人の神による全面戦闘でも猛威を振るった。
数こそ少ないものの、戦闘兵器が戦場に降り立つと人族軽くを凌駕する働きを見せ、争いを支配し瞬く間に敵を滅ぼしていったのだ。
しかし、当時作られた戦闘兵器は試作段階、つまり未完成の物だった。
戦闘能力的に問題はなかったが、長時間の運用に適合しなかったのだ。
当時の戦闘兵器はまさに使い捨てと言った表現が正しいものであったのだ。
完全に無から生命を作り出す事は不可能に近かったのだ。
世界を支配する神の1人であるミアリスですら完成させるに至っていなかったのだから他の者が同じ事をしても結果は同じだろう。
ノアが封じられ、唯一神クラウ・ディアスにより世界が7つに分断された後もミアリスは戦闘兵器の研究を続けていた。
しかし、何年もの月日を重ねても以前の問題点は解決の糸口すら掴めなかった。
研究の神として名を挙げていた空の神エウリスと協力したならば、可能だったかもしれないがミアリスはそれをしなかった。
何としても自分自身の手で完成させたかったのだろう。
長年に及ぶ研究の末、ミアリスはある決断を下す。
砂の世界の人族を使う事にしたのだ。
これまでの戦闘兵器が成し得なかった長時間の運用に、自らの意思で戦場を駆け巡る力。
人族をベースに使う事でこれらの問題を一気に解決しようとしたのだ。
結果は成功と言ってもいいものだった。
まだ生まれたばかりの赤子を定位的に攫い、研究所に送り込む。
赤子の成長と共に、身体機能の向上に繋がる薬物を投与し、遺伝子を操作して特殊な力、魔力を無理矢理待たせた。
人体実験は初期段階で死亡する赤子がほとんどであった。
皆余る力は、持ち主の身体を壊していくのだ。
しかし、ミアリスは諦めなかった。
度重なる赤子の失踪に砂の世界の人族達は不信感を募らせていたが、気にも止めない。
他の神との戦いに勝つ事だけをミアリスは欲していたのだ。
何百年にも及ぶ研究の末、ミアリスは遂に戦闘兵器の創造に成功する。
その間犠牲になった赤子の数は数え切れない。
そして、それはここからも増え続けていく。
対神戦闘兵器、その最初の成功例となった者は人族には持ち得ない卓越した身体能力を手に入れた。
走る速度は音を軽く置き去りにし、ひとたび武器を振るえば周囲一帯を更地にした。
余りの威力に、手にしている武器すら破壊されてしまうほどであった。
だが、成功と言っても完成した訳ではなかった。
人族の許容を超えた力に、第1号の身体は定期的に休養と治療が必要であり、また思考能力も一般的な人族よりも数段に劣ったものだったのだ。
第1号に続いて2号、3号と生み出されたが、何故かその者たちは思考能力が低下してしまっていた。
原因は神であるミアリスにすら解きあかせなかった。
しかし、必然なのか偶然なのか、理由は解明されなかったが、初めて通常の人族と同程度の思考能力を持った個体が生まれたのだ。
それが対神戦闘兵器コードネーム”ナナ”、つまり序列7位”国滅”ナナ・イースヴァルである。
彼女は変哲も無い人族から攫ってきた娘であった。
何かが適合したのか、それとも彼女に特別な才能があったのか、彼女がたまたまミアリスが投与した様々な物質に適合したのか、それは未だに解明されていない。
しかし、思考能力を持ち合わせていても、自身の力にナナは押し潰されそうになっていた。
そこで、ミアリスはナナにある神技を使う。
神技と言っても特別なものではない。
ただ、ナナに洗脳をかけただけだ。
その洗脳は、単純に自身の力を忘れさせるものだった。
普段は力を抑えさせ、戦闘時のみ内なる力を解放させる。
これにより、コントロール出来なかったナナの力はようやく私生活に問題がない程度に抑える事が出来た。
これにより、力をコントロールし始めたナナは、手始めとして砂の世界の小国をたった1人で滅ぼすまで成長し、”国滅”の異名を持つまでになった。
何故、もっと早くこの神技を使わなかったのか、ミアリスは己のミスを悔やんだ。
しかし、後悔しても仕方ないと次の戦闘兵器の開発に乗り出そうとした。
だが、そこで想定外の事態が起こる。
砂の世界最強と謳われる傭兵団”赤姫”による研究所の襲撃である。
秘密裏に行われていたはずの研究が明るみに出るはずがなかったが、襲撃された事は事実だ。
ミアリスは己に砂の世界の人族達の怒りが向く事を恐れ、各地の研究所から自身の名前を消した。
神による完璧な隠蔽工作により、事実が明るみに出る事はなかったが、それ以上研究を続ける事が出来なくなった。
最高傑作として育てるつもりであったナナは赤姫によって連れ去られた。
しかし、ミアリスはこれを好機と見た。
ナナがどこまで己の力で成長するか、見物する事にしたのだ。
結果はある程度は満足いくものだった。
言葉すら覚えていなかったナナは、赤姫により育てられ、序列8位にまで上り詰めたのだから当然だ。
ナナ本人が燃費が悪いと言う通り、長時間の戦闘に支障は残っているが些細な問題だ。
特殊な鋼鉄創造の魔術に加え、人族とは思えないほどの膂力を持っているのだからそのような問題も仕方ないだろう。
その後、紆余曲折を経てミアリスはノアとその代行者であるシンに敗れる事となり研究が再開される事はなかったが、ナナの成長は止まる事がなかった。
直接ナナと会話した事は少なかったが、その成長を見届けたミアリスは、ナナに真実を告げた。
その時もナナの表情は変わる事なく、ミアリスの言葉を聞いていたが、まさかここまで早く封じられたいた力を使う事になるとは思ってはいなかっただろう。
序列2位”天帝”ラドラス・エルドラスを前に、ナナはミアリスから伝えられた言葉を言う。
神技により封じられた本来の力を解放するために。
ナナの力がどれほど封じられているのか、本人ですら知り得ない。
かつてない強敵を目の前に、ナナは溢れ出る力に唇を噛みしめる。
持続時間は決して長くはないだろう。
既にナナの身体は、悲鳴を上げようとしている。
だが、身体が壊れようとナナは立ち止まらない。
己を救い、敬愛するユナとずっと着いていこうと決めたシンの為、ここでラドラスに殺されてやるつもりはない。
「エル君、あとは任せて」
ナナの言葉はいつも短い。
しかし、その声からは、今までに感じた事のない決意が感じ取れた。
「わかった。 けど無理はしないでくれよ」
ナナを失えばシン達は悲しみを堪えられないだろう。
小さな背中を頼もしく思いながら、エルリックも気を引き締める。
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