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14話
しおりを挟むミコトが言った。
「あなたの人生は、誰のものでもない。あなたのものよ。
…あなたが、この私がみえるということは、もうすでに、あなたが私に心を向けているということ。
それで十分。…個々に意志ある人間の、好き勝手出来そうな人を狙いその心身を勝手に乗っ取って、乗っ取った側の願いを勝手に満たすなんて、それはもう神ではないわ」
私は、ミコトと言うの。改めてよろしくね、と彼女が続けた。
「…あ、そうそう、心だけで伝わるから、私に言葉はいらないわ。マリーさん」
「…。」
ふと、マリーの目前に、口を開いたまま、信じられないというように唖然とマリーをみているエラが入った。
「…」
そんな彼女に、これ以上なんて言葉をかけていいのかわからない。
「…」
「…」
エラ、マリーと、ふたりとも何も話さない、気まずい空気が流れた。
『あなた、この私がみえるのでしょ。
…ということは、あなたもこの私みたいに心が綺麗な部分があるということ』
「…」
エラにも、この美しい綺麗な女神、いや神見習いのミコトがみえるのだろうか。
ふと気になった。
無言のまま、食い入るように探るように、警戒しながらも自分をみているエラに、マリーが問いかけた。
「……ところであんた、ミコトがみえる?…今、私の隣にいる神見習い」
続く
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