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二章
五十二話
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「初めまして。じゃないよね? 前にも会ったよね?」
開口一番、彼女はそう言った。
病室の前ですれ違っただけだが、俺はよく覚えていた。彼女も覚えてくれていたと知り、少し嬉しくなる。
「ああ……」
「こちら柿市翼なのだ。身どもと同じく高い志を有し、美術部で日々夢に向かって邁進しておる」
頼んでもないのに岸本が紹介を始めた。鼻の下を伸ばしきっている。だらしのないヤツだ。
雪村さんは口元に手を当て、鈴のような笑い声を立てた。病室で出会った時と、印象は変わらない。人形のような愛らしさがありながらも、そこには確固たる生気が存在している。
「雪村凜奈と言います。板垣さんの中学での同級生」
「そうなんだ。だからお見舞いに来ていたんだね」
板垣から聞いた、とは言えずに満面の笑みで相槌を打つ。
(お節介な子。来なくていいって言ってるのに)
彼女の言葉を反芻する。そういえば、板垣と雪村さんは仲がいいのだろうか? おそらくある程度は仲がいいのだろう。
「急に来てごめんなさい。驚かせてしまったでしょう」
雪村さんは申し訳なさそうだった。
「いや、謝る必要はないけれど。ただ」
どんな目的だろうか? 決して疑っている訳ではないが、今一つ彼女の目的が読めなかった。
雪村さんが口を開きかけたのに、また岸本が口を挟んでくる。
「一緒にお見舞いに行かないかという提案があったのだ」
岸本はやけに嬉しそうだった。俺からの返事を待たずして、言葉を紡いでいく。
「実はこの前一人で行った時に、たまたま雪村さんと会ってな」
「ああ」
思い出した。土偶もどきが置いてあった日のことか。なるほど、その時には雪村さんもいたのか。それで俺と入れ違いになったということか。
何故か不快感に襲われる。見舞いに行くのはいいことであるはずなのに。
しかし、結果的に雪村さんとの接点ができた。
俺は難なく笑顔を作り、頷いてみせた。
開口一番、彼女はそう言った。
病室の前ですれ違っただけだが、俺はよく覚えていた。彼女も覚えてくれていたと知り、少し嬉しくなる。
「ああ……」
「こちら柿市翼なのだ。身どもと同じく高い志を有し、美術部で日々夢に向かって邁進しておる」
頼んでもないのに岸本が紹介を始めた。鼻の下を伸ばしきっている。だらしのないヤツだ。
雪村さんは口元に手を当て、鈴のような笑い声を立てた。病室で出会った時と、印象は変わらない。人形のような愛らしさがありながらも、そこには確固たる生気が存在している。
「雪村凜奈と言います。板垣さんの中学での同級生」
「そうなんだ。だからお見舞いに来ていたんだね」
板垣から聞いた、とは言えずに満面の笑みで相槌を打つ。
(お節介な子。来なくていいって言ってるのに)
彼女の言葉を反芻する。そういえば、板垣と雪村さんは仲がいいのだろうか? おそらくある程度は仲がいいのだろう。
「急に来てごめんなさい。驚かせてしまったでしょう」
雪村さんは申し訳なさそうだった。
「いや、謝る必要はないけれど。ただ」
どんな目的だろうか? 決して疑っている訳ではないが、今一つ彼女の目的が読めなかった。
雪村さんが口を開きかけたのに、また岸本が口を挟んでくる。
「一緒にお見舞いに行かないかという提案があったのだ」
岸本はやけに嬉しそうだった。俺からの返事を待たずして、言葉を紡いでいく。
「実はこの前一人で行った時に、たまたま雪村さんと会ってな」
「ああ」
思い出した。土偶もどきが置いてあった日のことか。なるほど、その時には雪村さんもいたのか。それで俺と入れ違いになったということか。
何故か不快感に襲われる。見舞いに行くのはいいことであるはずなのに。
しかし、結果的に雪村さんとの接点ができた。
俺は難なく笑顔を作り、頷いてみせた。
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