標識上のユートピア

さとう

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三章

六十五話

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 ひどく静かだ。辺りが妙に暗い。
そうか。俺は、捕まったのか。
目の前にいる中年の刑事がじっと俺を睨んでいる。ただ、こうした事件にはもう慣れっこなのか、表情に緊迫感は感じられない。
刑事がもそもそ何か言った。しかし、耳が遠くて聞こえない。
聞き返す気分にもなれなかったので、話したいことを話すことにした。
妻が死んだ今、もう何もかもがどうでもよかった。
「自分でも何が何だか分かりません」
 刑事がまた口を開いた。意味はよく分からなかった。
「私の頭はおかしいのです」 
 刑事の言葉を遮り、俺は一方的に喋り続けた。
「きっかけは妻の不貞行為でした。息子は勘違いしているようですが、浮気をしたのは妻です」
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