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助けてくれたのはイケメンさんでした
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気付いたら見知らぬ街のど真ん中にいて、宛もなく歩いていたら誰かの背中にぶつかってしまった。
その瞬間、頭から地面に倒れこんでしまって……そのままブラックアウト。
「そして目が覚めたら、ふかふかのベッドの上……」
痛む頭を押さえながら、起き上ったら服はそのままで、どこかのお姫様が使っていそうなベッドの中にいた。
ぶつかった人は怪我とかしてないといいんだけど…謝罪をする暇もなく、気を失ってしまったから。
まさか前方不注意で人にぶつかって、私が気を失うって……今考えても本当に恥ずかしい。
てか、こんな豪華なベッドを使わせてくれた人は一体どんな人なんだろう?
見ず知らずの私なんかをこうして介護してくれる人だから、絶対優しい人に間違いなしだろう。
「どうしよう……」
とりあえず、助けてくれた人にお礼を言いたいが、このままベッドの上で待たせてもらうのは落ち着かない。そろりと、ベッドから足を下ろして近くにあった椅子に腰掛ける。
改めて部屋の中を見渡してみるが、置いてある物全て高級そうな品ばかりだ。もっと近くで見てみたい気がするが、触れて壊したりしたらシャレにならない。
ふぅとため息を吐き出した時だった。
トントンと控えめにノックされ、返事をする間もなく扉が開かれた。
ビクリと体を震わせて、入ってきた人物に視線を送る。
その人物は、高身長で爽やかなイケメンさんだった。
サラリとした金髪に、アイスブルーの瞳。まるでおとぎ話に出てくる白馬に乗った王子様のような外見に息を呑んだ。
だが、私のそんな様子にイケメンさんは気付かず、ゆっくりと近寄ってくる。
「っ、気がついたのですね、良かった…」
そして私の目の前まで来ると、心底安心したように安堵のため息を吐き出した。
ちなみに、声もかなり素敵でした。
聞き心地の良いテノールボイスで、ついウットリとしてしまった。
「…貴方が、私を助けてくれたんですか?」
「そ、そうです。私の背中に当たって気を失ってしまわれましたので…道中で放置することなど出来るわけもありません。ですので、恐れながら、私がここまで運ばせていただきました」
私が前方不注意でぶつかってしまったのに、なぜかイケメンさんがすごい哀愁を漂わせているから、私が何かしてしまったのかと不安になってしまう。
「いや、私が前を見ないで歩いてたのが悪いので…お手を煩わせてしまって、すみません。お怪我はありませんでしたか?」
「い、いえ。私は小さい頃から体は丈夫ですので、ご心配していただき、ありがとうございます。ですが、私よりも貴方は…お怪我はありませんか?じょ、女性は傷つきやすいと聞いておりますので…」
何だろう、なんだか今まで体験したことがないような扱いを受けている。
てか、こんなイケメンさんにこんなお姫様のような扱いをされるなんて…これは夢か?私の都合のいい夢なんじゃないか??
無言でイケメンさんを見つめていると、何を思ったのかイケメンさんはその場で跪いて、両手で私の手を握ってきた。
何故かその手は震えており、まるで壊れ物かのように優しい手つきで手の甲を撫でられた。
「やはり、どこかお怪我を…?私で良ければ手当をさせてください」
「へっ!?怪我なんてしてないですよ!ほら、この通り!」
手を離してもらって、椅子から立って元気なことをその場で一回転してアピールする。
何故一回転したのかは、自分自身不明である。なんとなく、こうするのが手っ取り早いと思っての行動だったわけだが…。
イケメンさんは私の行動に、ポカーンと口を半開きの状態で硬直してしまった。
「きゅ、急に動いて大丈夫ですか!?」
「え?あ、大丈夫ですよ?私も、こう見えても身体は丈夫なので」
ワタワタとするイケメンさんに、安心させるようにニッコリと微笑む。
「そ、そうですか…それなら、良かったです」
私の言葉にイケメンさんは、ホッと胸をなでおろす。
と言うか、このイケメンさん…女性にあまり慣れてなさそうである。
こんなにカッコ良ければ女性から逆ナンとかされそうなのに…まるで女性すら見たことが無いような反応をする。
「すみません、お名前を伺ってもいいですか?あ、私の名前は卯坂ユヅキと言います」
「す、すみません…!あまりの動揺に名前も名乗らずに…。私の名前は、リーリエ・ジオ・ブラスティと申します。以後お見知りおきを」
そう名乗ると、リーリエは優雅にお辞儀をして見せた。
「えっと、リーリエ、さん?ブラスティアさん?どうお呼びすれば…?」
「ああ、嫌でなければ是非、リーリエとお呼び頂きたいです。私は、何とお呼びすればよろしいでしょうか?」
「なら、リーリエと呼ばせてもらいますね。私の事も、ユヅキで大丈夫です」
名前からしてここは、外国のようだ。
外国でも、こんなイケメンいるか不明だが……。
それにしても、見た目に反し、名前は随分と女性的である。だが、リーリエには何故か似合っているとすら思えてしまうから不思議だ。
「ユヅキ……とても素敵な響きな名ですね」
うっとりと私の名前を繰り返すリーリエは、まるで恋をする乙女のように見えた。
「ありがとうございます。私も自分の名前気に言っているんです!」
褒められたことが素直に嬉しくて、笑顔でお礼を言う。すると、リーリエは片手で顔を隠すように覆った。
隙間からは赤く色づいた顔が見えて…どうやら、照れているらしい。
なんだか、初々しい反応を見せるリーリエに、ほんわかと心が温かくなった。
その瞬間、頭から地面に倒れこんでしまって……そのままブラックアウト。
「そして目が覚めたら、ふかふかのベッドの上……」
痛む頭を押さえながら、起き上ったら服はそのままで、どこかのお姫様が使っていそうなベッドの中にいた。
ぶつかった人は怪我とかしてないといいんだけど…謝罪をする暇もなく、気を失ってしまったから。
まさか前方不注意で人にぶつかって、私が気を失うって……今考えても本当に恥ずかしい。
てか、こんな豪華なベッドを使わせてくれた人は一体どんな人なんだろう?
見ず知らずの私なんかをこうして介護してくれる人だから、絶対優しい人に間違いなしだろう。
「どうしよう……」
とりあえず、助けてくれた人にお礼を言いたいが、このままベッドの上で待たせてもらうのは落ち着かない。そろりと、ベッドから足を下ろして近くにあった椅子に腰掛ける。
改めて部屋の中を見渡してみるが、置いてある物全て高級そうな品ばかりだ。もっと近くで見てみたい気がするが、触れて壊したりしたらシャレにならない。
ふぅとため息を吐き出した時だった。
トントンと控えめにノックされ、返事をする間もなく扉が開かれた。
ビクリと体を震わせて、入ってきた人物に視線を送る。
その人物は、高身長で爽やかなイケメンさんだった。
サラリとした金髪に、アイスブルーの瞳。まるでおとぎ話に出てくる白馬に乗った王子様のような外見に息を呑んだ。
だが、私のそんな様子にイケメンさんは気付かず、ゆっくりと近寄ってくる。
「っ、気がついたのですね、良かった…」
そして私の目の前まで来ると、心底安心したように安堵のため息を吐き出した。
ちなみに、声もかなり素敵でした。
聞き心地の良いテノールボイスで、ついウットリとしてしまった。
「…貴方が、私を助けてくれたんですか?」
「そ、そうです。私の背中に当たって気を失ってしまわれましたので…道中で放置することなど出来るわけもありません。ですので、恐れながら、私がここまで運ばせていただきました」
私が前方不注意でぶつかってしまったのに、なぜかイケメンさんがすごい哀愁を漂わせているから、私が何かしてしまったのかと不安になってしまう。
「いや、私が前を見ないで歩いてたのが悪いので…お手を煩わせてしまって、すみません。お怪我はありませんでしたか?」
「い、いえ。私は小さい頃から体は丈夫ですので、ご心配していただき、ありがとうございます。ですが、私よりも貴方は…お怪我はありませんか?じょ、女性は傷つきやすいと聞いておりますので…」
何だろう、なんだか今まで体験したことがないような扱いを受けている。
てか、こんなイケメンさんにこんなお姫様のような扱いをされるなんて…これは夢か?私の都合のいい夢なんじゃないか??
無言でイケメンさんを見つめていると、何を思ったのかイケメンさんはその場で跪いて、両手で私の手を握ってきた。
何故かその手は震えており、まるで壊れ物かのように優しい手つきで手の甲を撫でられた。
「やはり、どこかお怪我を…?私で良ければ手当をさせてください」
「へっ!?怪我なんてしてないですよ!ほら、この通り!」
手を離してもらって、椅子から立って元気なことをその場で一回転してアピールする。
何故一回転したのかは、自分自身不明である。なんとなく、こうするのが手っ取り早いと思っての行動だったわけだが…。
イケメンさんは私の行動に、ポカーンと口を半開きの状態で硬直してしまった。
「きゅ、急に動いて大丈夫ですか!?」
「え?あ、大丈夫ですよ?私も、こう見えても身体は丈夫なので」
ワタワタとするイケメンさんに、安心させるようにニッコリと微笑む。
「そ、そうですか…それなら、良かったです」
私の言葉にイケメンさんは、ホッと胸をなでおろす。
と言うか、このイケメンさん…女性にあまり慣れてなさそうである。
こんなにカッコ良ければ女性から逆ナンとかされそうなのに…まるで女性すら見たことが無いような反応をする。
「すみません、お名前を伺ってもいいですか?あ、私の名前は卯坂ユヅキと言います」
「す、すみません…!あまりの動揺に名前も名乗らずに…。私の名前は、リーリエ・ジオ・ブラスティと申します。以後お見知りおきを」
そう名乗ると、リーリエは優雅にお辞儀をして見せた。
「えっと、リーリエ、さん?ブラスティアさん?どうお呼びすれば…?」
「ああ、嫌でなければ是非、リーリエとお呼び頂きたいです。私は、何とお呼びすればよろしいでしょうか?」
「なら、リーリエと呼ばせてもらいますね。私の事も、ユヅキで大丈夫です」
名前からしてここは、外国のようだ。
外国でも、こんなイケメンいるか不明だが……。
それにしても、見た目に反し、名前は随分と女性的である。だが、リーリエには何故か似合っているとすら思えてしまうから不思議だ。
「ユヅキ……とても素敵な響きな名ですね」
うっとりと私の名前を繰り返すリーリエは、まるで恋をする乙女のように見えた。
「ありがとうございます。私も自分の名前気に言っているんです!」
褒められたことが素直に嬉しくて、笑顔でお礼を言う。すると、リーリエは片手で顔を隠すように覆った。
隙間からは赤く色づいた顔が見えて…どうやら、照れているらしい。
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