4 / 19
第1章 幻の石
第4話
しおりを挟む
初日から挫折してしまいそうな程の疲れと、祖父の事を知っていたオジさんの言葉にグッタリとしてしまった。
ヨシばあの家に帰って来て座り込む。
その姿を見て
「随分、頑張ってきたみたいだね~~ 良い石、取れたかい? 」
良い石、取るどころか…… やる気すら取られて帰って来た様なもんですよ……
思わずそう言いたかったが、その言葉を言ってしまうと本当にやる気が無くなりそうなので、敢えて口にする事を止めた。
話題を変えるつもりで、
「ヨシばあ。町外れに住んでいるオジさん知ってる? タケ爺の事、知ってる人なんだけど」
「ん? 外れ? あ~~ 赤い橋の方かね。
ナカちゃんかい? 陶芸やってる」
「ナカちゃん? えっ、陶芸やってるの? 陶芸家なの? 気がつかなかった」
「はは、陶芸家ってほどじゃないよ。趣味でやってて、たまに隣町の土産物屋に置いて貰ってるみたいよ。売れてるのか売れて無いかは知らんけど」
「へぇ~~ 黒曜石、沢山あったから見に行ったら声かけられて…… 」
「ナカちゃんも兄さんと一緒に昔、石探ししてたからね。色々詳しいから教えてもらえば? 」
やっぱりあのオジさん(ナカちゃん)も石探しやっていたのか。どうりで、あんなに沢山黒曜石が……
『瑠璃黒曜』探していた人が、「もう無い」と言い切る位だから…… 本当に無いのかな~~。
まだ夕陽が残っているうちに晩御飯。
ただヘトヘトになる程、体力を使ったので有り難かった。
ヨシばあも自分に気を遣ってくれて肉やら色々、おかずを作ってくれた。普段はお婆ちゃんなので野菜中心の食事だろうに。まぁ昔から料理上手なヨシばあ なので、どんな物でも美味しいのだが。
ご飯を食べ、風呂に入り明日からの作戦を練り直そうと思っていたが……
お約束通り、そのまま…… 爆睡。
作戦の練り直しも無く、見事に朝を迎える。相変わらずヨシばあは、既に起きていて外で草むしりをしている。
「何時起きなんだ、ヨシばあは? 」
ご飯も用意されている。
「ん~~ 何だかな? ただヨシばあ のご飯を食べに来ているだけに思える」
そう思うとあんなに昨日、やる気が失われそうだった自分だが、少し意欲が湧いた。
「ヨシばあ の所に居候して、ただ飯食って…… 何の為に親にウソまでつき此処に来たのか! くそっ。意地でも見つけてやる~~ 」
つい声が漏れて。
「な~~に? ご飯、不味かったか? 」
外で草むしりしてたヨシばあが、窓越しに言った。
早速、出かける事に。
朝っぱらからスクーターに乗り、まず向かった先は……
「おはようございます~~ 」
「なんだ、タケ爺の孫か。何だ、朝っぱらから」
「あの、えーとナカさん。ですか? 」
「おーー そうだ。ヨシさんから聞いたのか? 」
「はい。実は…… やっぱり『瑠璃黒曜』探したいんです。出来れば…… アドバイス的な…… 何か、有りませんかね? 」
「ねぇな。馬鹿だなぁ兄ちゃん。あったら俺が教えて欲しいくらいだぁ~~ 」
うう、やっぱりか。ある程度予想はしてたが……
「兄ちゃん、名前は? 」
「は、はい。彰《アキラ》です。野上《ノガミ》 彰《アキラ》です」
「アキラか。良い名前だな。まあ、アドバイスでは無いが忠告だけするぞ。あそこの赤い橋あるだろ、その下流に白い橋あるけどその橋から下流は危ないから行くなよ! 」
「白い橋ですか? 知らなかった」
「古い白い橋だ。その先は渓谷になっていて川から上がれないぞ。急に流れも速くなって岩もゴロゴロだからな。川に落ちたら命、落とすぞ」
息を呑んだ。水量が多い川ではあるが、命を落とすって。白い橋の先は、違う雰囲気の川になるって事か。
「はい、気をつけます」
「で、やっぱり『瑠璃』探しは諦められないのか? あまり勧められねぇ~~けどな」
ナカさんが、少し表情を曇らせながら言った。
「なにか? 危険とかですか? 」
「いや、見つからないとは思うけど…… あの石は、取らない方がいいのかもしれない。『瑠璃』に魅了される奴は多いけど、手にした奴は皆んな不幸になる。だからお前…… アキラの爺様もすぐ手離したんだ。資料館にあるだろ? 『瑠璃』。
あれ取った奴も不幸が重なって、それで寄付したんだ~~ 」
「え~~、そんな云われが、あるんすか?だからタケ爺は『瑠璃』の事、自分に言わなかったのかな? 」
「だな。……ただな、一度『瑠璃』に魅了されると分かっていても探したくなる。俺みたいに…… ふふふ、まぁどうせ取れんから、やるだけやってみろ。タケ爺の孫なら尚更、止められんだろ」
ビビりの自分が、益々ビビった。
ナカさんの言葉が、いい加減な言葉に思えなかったし。
しかし…… ビビりながらも心の奥底でワクワク感の様なドキドキ感の様な感じもあった。
『やはり…… 自分は、タケ爺の孫なんだな。タケ爺も『瑠璃黒曜』に魅了された様に自分も既に…… 』
「アドバイスありがとうございます。気をつけて、やるだけやってみます。タケ爺の孫なので…… 」
「爺様だって見つけたんだから、もしかしたらもしかするかも知れんぞ!
ははは、見つけたら見せてくれよ。大事なアドバイスしてあげたんだからな! 」
勿論、ナカさんが言った事が本当かどうかはわからない。
ただそれだけ『瑠璃黒曜』が妖しげで、人を魅了させ、そして幻の石と言われる事だと。
いい加減な石探しでは、駄目だ。
背筋が伸び、引き締まった気持ちで 赤い橋の上から川を見下ろしてた自分が居た。
「じっちゃんの名に懸けて!
ん? 違うか…… 」
第4話 終
ヨシばあの家に帰って来て座り込む。
その姿を見て
「随分、頑張ってきたみたいだね~~ 良い石、取れたかい? 」
良い石、取るどころか…… やる気すら取られて帰って来た様なもんですよ……
思わずそう言いたかったが、その言葉を言ってしまうと本当にやる気が無くなりそうなので、敢えて口にする事を止めた。
話題を変えるつもりで、
「ヨシばあ。町外れに住んでいるオジさん知ってる? タケ爺の事、知ってる人なんだけど」
「ん? 外れ? あ~~ 赤い橋の方かね。
ナカちゃんかい? 陶芸やってる」
「ナカちゃん? えっ、陶芸やってるの? 陶芸家なの? 気がつかなかった」
「はは、陶芸家ってほどじゃないよ。趣味でやってて、たまに隣町の土産物屋に置いて貰ってるみたいよ。売れてるのか売れて無いかは知らんけど」
「へぇ~~ 黒曜石、沢山あったから見に行ったら声かけられて…… 」
「ナカちゃんも兄さんと一緒に昔、石探ししてたからね。色々詳しいから教えてもらえば? 」
やっぱりあのオジさん(ナカちゃん)も石探しやっていたのか。どうりで、あんなに沢山黒曜石が……
『瑠璃黒曜』探していた人が、「もう無い」と言い切る位だから…… 本当に無いのかな~~。
まだ夕陽が残っているうちに晩御飯。
ただヘトヘトになる程、体力を使ったので有り難かった。
ヨシばあも自分に気を遣ってくれて肉やら色々、おかずを作ってくれた。普段はお婆ちゃんなので野菜中心の食事だろうに。まぁ昔から料理上手なヨシばあ なので、どんな物でも美味しいのだが。
ご飯を食べ、風呂に入り明日からの作戦を練り直そうと思っていたが……
お約束通り、そのまま…… 爆睡。
作戦の練り直しも無く、見事に朝を迎える。相変わらずヨシばあは、既に起きていて外で草むしりをしている。
「何時起きなんだ、ヨシばあは? 」
ご飯も用意されている。
「ん~~ 何だかな? ただヨシばあ のご飯を食べに来ているだけに思える」
そう思うとあんなに昨日、やる気が失われそうだった自分だが、少し意欲が湧いた。
「ヨシばあ の所に居候して、ただ飯食って…… 何の為に親にウソまでつき此処に来たのか! くそっ。意地でも見つけてやる~~ 」
つい声が漏れて。
「な~~に? ご飯、不味かったか? 」
外で草むしりしてたヨシばあが、窓越しに言った。
早速、出かける事に。
朝っぱらからスクーターに乗り、まず向かった先は……
「おはようございます~~ 」
「なんだ、タケ爺の孫か。何だ、朝っぱらから」
「あの、えーとナカさん。ですか? 」
「おーー そうだ。ヨシさんから聞いたのか? 」
「はい。実は…… やっぱり『瑠璃黒曜』探したいんです。出来れば…… アドバイス的な…… 何か、有りませんかね? 」
「ねぇな。馬鹿だなぁ兄ちゃん。あったら俺が教えて欲しいくらいだぁ~~ 」
うう、やっぱりか。ある程度予想はしてたが……
「兄ちゃん、名前は? 」
「は、はい。彰《アキラ》です。野上《ノガミ》 彰《アキラ》です」
「アキラか。良い名前だな。まあ、アドバイスでは無いが忠告だけするぞ。あそこの赤い橋あるだろ、その下流に白い橋あるけどその橋から下流は危ないから行くなよ! 」
「白い橋ですか? 知らなかった」
「古い白い橋だ。その先は渓谷になっていて川から上がれないぞ。急に流れも速くなって岩もゴロゴロだからな。川に落ちたら命、落とすぞ」
息を呑んだ。水量が多い川ではあるが、命を落とすって。白い橋の先は、違う雰囲気の川になるって事か。
「はい、気をつけます」
「で、やっぱり『瑠璃』探しは諦められないのか? あまり勧められねぇ~~けどな」
ナカさんが、少し表情を曇らせながら言った。
「なにか? 危険とかですか? 」
「いや、見つからないとは思うけど…… あの石は、取らない方がいいのかもしれない。『瑠璃』に魅了される奴は多いけど、手にした奴は皆んな不幸になる。だからお前…… アキラの爺様もすぐ手離したんだ。資料館にあるだろ? 『瑠璃』。
あれ取った奴も不幸が重なって、それで寄付したんだ~~ 」
「え~~、そんな云われが、あるんすか?だからタケ爺は『瑠璃』の事、自分に言わなかったのかな? 」
「だな。……ただな、一度『瑠璃』に魅了されると分かっていても探したくなる。俺みたいに…… ふふふ、まぁどうせ取れんから、やるだけやってみろ。タケ爺の孫なら尚更、止められんだろ」
ビビりの自分が、益々ビビった。
ナカさんの言葉が、いい加減な言葉に思えなかったし。
しかし…… ビビりながらも心の奥底でワクワク感の様なドキドキ感の様な感じもあった。
『やはり…… 自分は、タケ爺の孫なんだな。タケ爺も『瑠璃黒曜』に魅了された様に自分も既に…… 』
「アドバイスありがとうございます。気をつけて、やるだけやってみます。タケ爺の孫なので…… 」
「爺様だって見つけたんだから、もしかしたらもしかするかも知れんぞ!
ははは、見つけたら見せてくれよ。大事なアドバイスしてあげたんだからな! 」
勿論、ナカさんが言った事が本当かどうかはわからない。
ただそれだけ『瑠璃黒曜』が妖しげで、人を魅了させ、そして幻の石と言われる事だと。
いい加減な石探しでは、駄目だ。
背筋が伸び、引き締まった気持ちで 赤い橋の上から川を見下ろしてた自分が居た。
「じっちゃんの名に懸けて!
ん? 違うか…… 」
第4話 終
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる