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第2章 憂虞、高揚、危機
第1話
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季節は六月。
ただ夏を感じる様な、日々。
日も長く、昼間は日差しも眩しく暑い日が多かった。
山の中とはいえ、日差しが照りつける中川辺で黙々と石を探す毎日。
既に暑さとの戦い。汗だくになり後頭部から首筋にかけて日焼けする。
下を見続けている為、後ろの首筋は常に日差しに照らされ続けていた。
相変わらず『瑠璃黒曜』は、見つからない。少しでも『瑠璃』の痕跡位あれば、まだいいものの全く気配すら無い。
場所を変え、時には川の中の石を漁り。
黒曜石はあるものの……
暑さとあまりの『瑠璃』を見つける事の難しさで、最近は早めに切り上げる事が多かった。
早めに切り上げ、ナカさんの所に行き陶芸の手伝いをする時間の方が長かった。
陶芸をやっている所を今迄、見た事が無かったので自分にとって新鮮で面白そうと思ってしまったので、ナカさんの手伝いも楽しかった。
「何だ~~ 『瑠璃』探しよりも陶芸の方が面白くなったのか? 随分、楽しそうに手伝ってくれてるけど」
ナカさんが嫌味たっぷりに言う。
「そんな事無いですけど。暑くなってきたので長時間、石探しすると流石に堪えるんです」
「ぷははは。根性無いなぁ! そんなんじゃいつまで経っても見つからんぞ! それに陶芸だって熱い窯使うんだぞ。暑い位で文句たれてたら、な~~にも手に入らんぞ」
「わかってますよ~~ 気晴らしも兼ねて手伝っているんです。手伝わない方が良いですか?」(笑)
「生意気な事言って。まぁいいさ、手伝ってくれるならこっちは有り難いしな」
すっかりナカさんとも打ち解けた間柄になっていた。
『まぁ、でもナカさんの言う通りだな。このままだと…… 本当に何も見つけられないだけだなぁ…… 』
「ナカさんは、もう『瑠璃』探しはしないんですか? 」
「うーーん、どうだろうな。流石に最近は少し諦めもあるかな? 体も辛くなってきたからな。歳には勝てんよ」
「『瑠璃』を実際、見つけた事は…… 無いんですか? 」
「…… ない事は、……無い」
「ん? え? 有ると言う事ですか? 」
「欠けらだよ、欠けら。……でも綺麗だった」
「その『瑠璃黒曜』は、何処に? 」
「捨てた」
「え~~ 勿体無い。どうしてですか? 」
「……前にも話しただろ。『瑠璃』を手にするとろくな人生送れないって。……俺も『瑠璃』手に入れたら大事な物、失った。かあちゃん、奥さんの事な。突然病気であの世に逝っちゃって…… 腹が立って『瑠璃』を川にぶん投げた」
「そ、そうだったんですか。やはりヤバイんですかね? 『瑠璃黒曜』と言う石は」
「どうだろうな。わからん。迷信と言えばそうだし、かあちゃん死んじゃった事と『瑠璃』は関係無いかも知れん。ただ、アキラの爺様や俺の爺様は良くは思って無かった」
「ナカさんのお爺さんもですか? 」
「あ~~。うちの爺様は、ここの開拓時代から居たんだがよく言っていた。ここは山の神様と川の神様が、ここらの自然を守っていると。だからむやみに荒らしたら駄目だと。だからここらの川は、人の手がつけられていない自然のままの川だろ? 堤防を造るとか色々あったが、その度に爺様達が反対して守ってきたんだそうだ」
「なるほど。あの古い神社も関係あるのですかね? 」
「そうだな。あの神社は少し変わってるからな」
「変わってる? 」
「祀られてる物がな。一度見た事あるけど、木の様な岩の様な物。何か云われのあるもんだろうけど。俺の爺様が言う事では、その御神木の様な物を『瑠璃』の様な特別な石と、山の守り神の使いと云われる熊が守っているそうだ」
「そんな云われが…… 」
「神社登ったのか? 」
「はい。石探し始める前に、お参りしました」
「それは、正解だったな。この地は神様等の云われが結構ある所だからな。あの神社、登るの大変だけど行っといて無駄は無い。特に石探しするなら尚更」
「なんか…… 急に『瑠璃』探しするのが怖くなってきた」
「ははは、なら止めればいいだろ! 止めれるもんならな! 皆んな、俺もタケ爺も分かっていながら止められなかった。それが『瑠璃』の魅力。
アキラは…… どうかな? 『瑠璃』の誘惑を断ち切れるかな? 」
ナカさんが話した事が、暫く頭から離れなかった。
夜、一人で考えてみた。
『何故、『瑠璃黒曜』に興味が惹かれたのだろうか。石好きなタケ爺の遺伝?
本当に『瑠璃黒曜』を手にしたいのだろうか? もし…… 手に入れたら、どうなるんだろう。不幸な事が起こるのだろうか』
その夜は、珍しく暫く寝付けなかった。
朝、ヨシばあに
「『瑠璃黒曜』を手にしたらよく無い事が起こると思う? 」
と、訊いてみた。
「さあね、私には石ころの事は、わからんよ。やるだけやって見つけた時に考えればいいんじゃないのかね。
何事も中途半端が一番良くないよ。
何かあったら神様に謝ればいいさ」
ポジティブだ。流石、長い事生きてるだけあって、どっしりしてる。
ヨシばあの言う通りだ。
まだ見つけてもいないのに、ビビっていても仕方がない。
「よし! また一からやるつもりで。
……あっ、メロンパン買って行こ~~ 」
「ヨシばあ、じゃ行ってくるね~~ 」
第1話 終
ただ夏を感じる様な、日々。
日も長く、昼間は日差しも眩しく暑い日が多かった。
山の中とはいえ、日差しが照りつける中川辺で黙々と石を探す毎日。
既に暑さとの戦い。汗だくになり後頭部から首筋にかけて日焼けする。
下を見続けている為、後ろの首筋は常に日差しに照らされ続けていた。
相変わらず『瑠璃黒曜』は、見つからない。少しでも『瑠璃』の痕跡位あれば、まだいいものの全く気配すら無い。
場所を変え、時には川の中の石を漁り。
黒曜石はあるものの……
暑さとあまりの『瑠璃』を見つける事の難しさで、最近は早めに切り上げる事が多かった。
早めに切り上げ、ナカさんの所に行き陶芸の手伝いをする時間の方が長かった。
陶芸をやっている所を今迄、見た事が無かったので自分にとって新鮮で面白そうと思ってしまったので、ナカさんの手伝いも楽しかった。
「何だ~~ 『瑠璃』探しよりも陶芸の方が面白くなったのか? 随分、楽しそうに手伝ってくれてるけど」
ナカさんが嫌味たっぷりに言う。
「そんな事無いですけど。暑くなってきたので長時間、石探しすると流石に堪えるんです」
「ぷははは。根性無いなぁ! そんなんじゃいつまで経っても見つからんぞ! それに陶芸だって熱い窯使うんだぞ。暑い位で文句たれてたら、な~~にも手に入らんぞ」
「わかってますよ~~ 気晴らしも兼ねて手伝っているんです。手伝わない方が良いですか?」(笑)
「生意気な事言って。まぁいいさ、手伝ってくれるならこっちは有り難いしな」
すっかりナカさんとも打ち解けた間柄になっていた。
『まぁ、でもナカさんの言う通りだな。このままだと…… 本当に何も見つけられないだけだなぁ…… 』
「ナカさんは、もう『瑠璃』探しはしないんですか? 」
「うーーん、どうだろうな。流石に最近は少し諦めもあるかな? 体も辛くなってきたからな。歳には勝てんよ」
「『瑠璃』を実際、見つけた事は…… 無いんですか? 」
「…… ない事は、……無い」
「ん? え? 有ると言う事ですか? 」
「欠けらだよ、欠けら。……でも綺麗だった」
「その『瑠璃黒曜』は、何処に? 」
「捨てた」
「え~~ 勿体無い。どうしてですか? 」
「……前にも話しただろ。『瑠璃』を手にするとろくな人生送れないって。……俺も『瑠璃』手に入れたら大事な物、失った。かあちゃん、奥さんの事な。突然病気であの世に逝っちゃって…… 腹が立って『瑠璃』を川にぶん投げた」
「そ、そうだったんですか。やはりヤバイんですかね? 『瑠璃黒曜』と言う石は」
「どうだろうな。わからん。迷信と言えばそうだし、かあちゃん死んじゃった事と『瑠璃』は関係無いかも知れん。ただ、アキラの爺様や俺の爺様は良くは思って無かった」
「ナカさんのお爺さんもですか? 」
「あ~~。うちの爺様は、ここの開拓時代から居たんだがよく言っていた。ここは山の神様と川の神様が、ここらの自然を守っていると。だからむやみに荒らしたら駄目だと。だからここらの川は、人の手がつけられていない自然のままの川だろ? 堤防を造るとか色々あったが、その度に爺様達が反対して守ってきたんだそうだ」
「なるほど。あの古い神社も関係あるのですかね? 」
「そうだな。あの神社は少し変わってるからな」
「変わってる? 」
「祀られてる物がな。一度見た事あるけど、木の様な岩の様な物。何か云われのあるもんだろうけど。俺の爺様が言う事では、その御神木の様な物を『瑠璃』の様な特別な石と、山の守り神の使いと云われる熊が守っているそうだ」
「そんな云われが…… 」
「神社登ったのか? 」
「はい。石探し始める前に、お参りしました」
「それは、正解だったな。この地は神様等の云われが結構ある所だからな。あの神社、登るの大変だけど行っといて無駄は無い。特に石探しするなら尚更」
「なんか…… 急に『瑠璃』探しするのが怖くなってきた」
「ははは、なら止めればいいだろ! 止めれるもんならな! 皆んな、俺もタケ爺も分かっていながら止められなかった。それが『瑠璃』の魅力。
アキラは…… どうかな? 『瑠璃』の誘惑を断ち切れるかな? 」
ナカさんが話した事が、暫く頭から離れなかった。
夜、一人で考えてみた。
『何故、『瑠璃黒曜』に興味が惹かれたのだろうか。石好きなタケ爺の遺伝?
本当に『瑠璃黒曜』を手にしたいのだろうか? もし…… 手に入れたら、どうなるんだろう。不幸な事が起こるのだろうか』
その夜は、珍しく暫く寝付けなかった。
朝、ヨシばあに
「『瑠璃黒曜』を手にしたらよく無い事が起こると思う? 」
と、訊いてみた。
「さあね、私には石ころの事は、わからんよ。やるだけやって見つけた時に考えればいいんじゃないのかね。
何事も中途半端が一番良くないよ。
何かあったら神様に謝ればいいさ」
ポジティブだ。流石、長い事生きてるだけあって、どっしりしてる。
ヨシばあの言う通りだ。
まだ見つけてもいないのに、ビビっていても仕方がない。
「よし! また一からやるつもりで。
……あっ、メロンパン買って行こ~~ 」
「ヨシばあ、じゃ行ってくるね~~ 」
第1話 終
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