瑠璃の誘惑。メロンパンの誘惑。

本宮 秋

文字の大きさ
16 / 19
第4章 交わりざるモノとの刻《とき》

第1話

しおりを挟む
 楽しい日々。
ただでさえ呑気に石探しの毎日のうえ、ナカさんに優しくして貰い色んなことを教えて頂き、おまけに普通ではあり得ない熊とのまったりとした時間。
その熊もただの熊では無さそうな特別な生き物…かもしれず。
しかし自分は神様の使いが、どうこうではなく、人の言葉を何と無く理解している感じが楽しくいられた理由だった。

本当に見れば見る程、人間の子供の様なポ~。無邪気に走り回り夢中でメロンパンを食べ、時には暖かい日差しのもと居眠りをし川に落ちたりと……

 すっかりポ~も自分に対して警戒する事も無く懐いた子供の様に。
ただポ~の親熊『ゴ~』は、全く近寄らなかった。とはいえポ~が人間の自分に懐いていても静観していた。

『 やはり普通の熊では無い。神様の使いの熊なら、普段は何をしているのだろう……  何の為に存在しているのだろう…… 他の野生の熊とは、どういう関係を保っているのだろう……  』

次々と湧く 『ポ~』と『ゴ~』の生態の謎。

『 神様の使いなら……  何か特別な使命があるのではないのか? 』

そんな疑問は、ずっと持ち続けてはいたが無邪気なポ~を見てると深く考えるより、ポ~との時間を楽しんでいた自分だった。
ポ~は、無邪気ではあったが声は余り発する事は無かった。一応こちらの言っている事は少しは理解している雰囲気だったが、ポ~が発する言葉は「 ポ~ 」 とか 「 ぽっ~~! 」 位。「 ガオ~~ 」とか仔犬の様な 「 キャンキャン 」などの鳴き声を発した事がなかった。

こちらが話掛けてる時は、静かに聞いている。じっと見つめながら。
その態度が、ポ~がこちらの言葉を理解しているのでは? と思わせていた。

流石に仔犬の様に、触らせたり抱きかかえさせる事は、させてもらえなかった。
自分もそこまでしてしまうと……  と思い無理にスキンシップ的な事はとらなかった。ポ~も触らせないのは、人間の匂いがつくのが嫌なのかもしれないし、自分もそう思っていたので敢えて控えた。

無論…… ぬいぐるみの様なポ~なので、触りたかったし抱きかかえたい気持ちは多々あった。

 唯一、メロンパンを買える日だけに大きな岩の上でポ~と一緒に座りながらメロンパンを食べ、僅かな時間を過ごす。
大きな岩の上だけが、ポ~との楽しい時間を過ごす場所だった。

『 ゴォーーーー! 」

ゴ~の声が響く。

今日もポ~との時間も終わりの合図。
ポ~もゴ~の声を聞き岩を後にする。
ポ~とゴ~が揃ってこちらを見た後、森の中に…… 。 森の中に入った途端、あっという間に姿を消す。

「 何処を寝床にしているのだろう? 大分森の奥なのかな? 不思議だなぁーー やっぱり 」

色々気になる川の上の森だが、自分はその森に踏み込む事は無かった。

ポ~やゴ~だけでなく、森は他の動物の住処。ヨシばあやナカさんにも言われてた事もあり、森には踏み込まないと決めていた。

「 タケ爺やナカさんのお爺さんは、色々知っていたみたいだから森の中の事も詳しいのだろうな……  。 んーー 話を聞いてみたかったなぁーー 」

以前、聞いた
 『神様の使いの熊が、瑠璃を守っている 』 
という話も気になっていた。

確かにポ~は、自分が見つけた『 瑠璃黒曜 』 の様な黒曜石を持って行ったし…… 
ただ、あの親子の熊がどうやって『 瑠璃  』を守っているのか。あの『 瑠璃黒曜 』を何かに使っているのか、何処に隠しているのか、集めているのか、全てが謎だった。
特にあんなに可愛いポ~を見ていると、特別な使命を果たしている熊には見えなかったので余計、自分にとって謎だった。

 …… 

そう…… 『 瑠璃黒曜 』
自分は、それを見つけるのが目的。
ただ、もしポ~やゴ~が使いの熊なら…… 

 「 もし自分が瑠璃を見つけたら、ポ~はどうするのだろう。持って逃げるのだろうか。だとしたら…… ポ~の跡を追えば……  瑠璃黒曜があるのではなかろうか  」

「 そこまでして…… 今の自分は、瑠璃黒曜を見つけたいのだろうか。自分の手に納めたいのだろうか 」

つい、複雑な心境が声に出てしまった。

タケ爺は、どんな想いで『 瑠璃 』 探しをしていたのか。『 瑠璃 』を見つけて、そして手放した時…… どんな想いがあったのか。

それとも……

今の自分の様に、もしかしてタケ爺も…… 

もはやただの、幻の石 『 瑠璃黒曜 』 探しだけでは無く神様の使いの熊までも関わる事なら……
真剣に 『 瑠璃 』の事、神様の事、そして神様の使いと云われる熊の事をもっと知らなければいけないのでは、と思った。
歴史的な事は、ナカさんが詳しいということが分かったのでもう少し聞いてみようと思う。
神様の事は…… 
んーー 、やっぱりヨシばあや年配の人に聞く方が良さそうかと。『 瑠璃黒曜 』が飾られてある資料館にも、もう一度行ってみた方が良さそう。

ある意味これも勉強のつもりで。
浪人中の自分なので、本来なら勉学が本文の立場ゆえ、良い経験かと…… 。

『 試験勉強には、関係ないけれど…… 』

またやる事、考える事が増えた。

「 ただ…… あの無邪気なポ~を見ていると、あまり難しい事は考えたくないなぁ。ただただ楽しく居たい。それだけ 」

その思いだけは変わらない、自分の素直な気持ちだった。


第1話     終







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

秘書と社長の秘密

廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。 突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。 ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

処理中です...