瑠璃の誘惑。メロンパンの誘惑。

本宮 秋

文字の大きさ
17 / 19
第4章 交わりざるモノとの刻《とき》

第2話

しおりを挟む
 ただただ、幻の石と言われている『瑠璃黒曜』を探すだけだった自分が、何やら難しい事を考えなければいけない今の状況。
 しかし可愛い『ポー』に出会ってしまったからには、石探し以外も調べる事が重要だと思い色んな事を考える時間が増えた。

小さな集落なので調べられる事も限られる。唯一、資料的な物がある歴史資料館。
しかし自分が探している物は、ハッキリと資料に残る様な物では無く、言い伝われてきた迷信の様な事。
それ故、資料館の情報だけでは中々難しかった。
唯一、資料館の情報で目に留まった事は神社についての事。古い神社で祀ってある物が他とは違うという事で、僅かだが資料的な物があった。
やはりナカさんが言っていた様に、木の様な岩の様な不思議な物が祀ってあるらしい。
神社と言えば、てっきり神様が祀ってある物だと思い込んでいたが、それ以外の物も祀ってある神社が各地にあるという事も資料館で知った。

『 いわゆる、信仰の対象がその土地によって色々あるという事だろうか…… 』

ここの神社は、木の様な岩の様な物。

おそらく森や川の様な自然の物を大事に大切にしてきた土地ならでは。
無論、自然を大切にしてきた事と信仰の対象物のおかげで自然を守ってきた事が、どちらが先か後かはわからないが。

言い伝われていた神様の使いの熊の事は一切無かった。

『やはり言い伝えの事は…… ヨシばあや地元の人に聞くしかないか 』

ヨシばあの家に戻り日差しが照りつける中、畑仕事をしているヨシばあに訊いてみた。

「 ヨシばあ…… 神様とかの言い伝えの事なんだけど。何か他に言い伝われてきた話ってある? 」

「 ん?なんだいきなり。神様の話かい?
もう忘れちゃったよ。子供の頃は、よく話を聞かされていたけど 」

「 ……。 そっか~~ 」

「 石の事かい?兄さん(タケ爺)は、よく知っていたみたいだったけど。私は知らないよ 」

「神様の使いの熊の事は?何か知ってる? 」

「んーーそうだねーー。他の熊とは違って人間を良く見ていて、時には助けてくれるって話も聞いた事があるなぁーー。
ここの人間が、森や川を大切にしてるからその熊達も人間に良いことしてくれるのかねーー 」

「 やっぱりその熊達は、森の中が寝ぐらなのかな? 」

「 そりゃそうじゃろ、家で寝る訳ないべ。ははは 」

「 あ、そうだ!ヨシばあは、神社に祀ってある物は見た事あるの? 」

「 御神木かい?そりゃあるよ。何年かに一度、扉開けて綺麗にしてお供えしてるからね。ありゃ、今年はその年じゃないかね 」

「 えっ、じゃ今年は見る事が出来るの?俺にも見る事出来るかな? 」

「 出来るよ。みんなで集まってやるから。でも見たところでアキラには、つまらないものに見えるかもね 」

「 木の様な岩の様な物なんでしよ?いつ見れるの? 」

「 七月の終わり頃。来月だね。ナカちゃんに聞いたのかい? 御神木の事。まぁ私から見たら木に石が、くっ付いている様にしか見えんけどね 」


何やら少しラッキーの様だ。

滅多に見られない神社に祀ってある物をこの目で見る事が出来そうで。

ただ、『ポー』…… 神様の使いの熊に関する事は、あまり情報が得られなかったのは残念だった。やはりもう少しナカさんに話を訊いた方が良さそうだ。
特に自分が気になっている事は、『ポー』や『ゴー』が神様の使いの熊だとして、『瑠璃黒曜』と関係があるのかという事だった。『瑠璃黒曜』が御神木を守っているとナカさんが言っていた様に、自分も何か『瑠璃黒曜』が『ポー』達と関係している気がしていた。思い過ごしかもしれないが……

とりあえずナカさんの家へ向かった。

集落から少し離れた所にあるナカさんの家。いつもの石探しと、『ポー』に会う事が出来る川の下流側。すっかり慣れたいつもの道。

なのに……

何故か、その日は雰囲気が違っていた。

確か先程までは、日差しが照りつけていたはずなのに厚く黒い雲に覆われ始めた空。顔に当たる風も生温く何処か嫌な空気感。

「 天気が悪くなるのか? 嫌な空の色だな…… 」

ナカさんの家に着いた。
元々、静かな所だがより静まり返っていた。

「 あれ? ナカさん居ないのかな? 」

家や陶芸の窯、作業場まで見てみたが…… やはり居ない。

「 留守か~~ 残念。出直すか…… 」

仕方なく帰ることに。
ナカさんの家を出た途端、ポツポツと降り出した。やはり思った通り天気が崩れだした。ポツポツの雨が段々と強い降りになり家に帰る頃には、土砂降りに近い降り方になっていた。

雨は、どんどん降り風も強くなりだした。

一向に収まりそうにない雨と風。
暗くなる頃には、大雨の警報代わりのサイレンが小さな集落に鳴り響いた。

「 こんなに雨が降ったら、川は増水するだろうな。ポー達は、大丈夫かな? 」

雨と風は勢いが衰える事なく一晩中降り続いた。

自然を大切するこの地が、自然の力に何も出来ぬまま…… ひっそりと静かに時が過ぎるのを待っていた。

第2話  終














しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

秘書と社長の秘密

廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。 突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。 ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

処理中です...