浦町ニュータウン～血塗られた怪異～

《┈第四部┈》エピローグ

第四部〜完〜

三十年の歳月は、新築の廃墟街を変貌させていた。かつては整然と並んでいたはずの住宅も、今や蔦に覆われ、窓ガラスは割れ、廃墟という言葉が、ピッタリと会う光景になった。
アスファルトはひび割れ、そこから生えた雑草が、街を侵食しているかのような、異様な光景を作り出している。

そんな街に、重機を轟かせながら、作業員たちが足を踏み入れた。
彼らの目的は、この廃墟を取り壊し、新たなニュータウンを建設することだ。
しかし、彼らが足を踏み入れた瞬間、一人の作業員が、息を飲んだ。
地面に、無数の頭蓋骨が転がっていたのだ。
作業員たちは、互いに顔を見合わせ、言葉を失った。通常であれば、すぐに報告し、調査を行わなくてはならない。
しかし、彼らの頭の中には、別の考えが浮かんでいた。
このことを報告すれば、計画は数年も先送りになるだろう。そうなれば、彼らの仕事もなくなる。
彼らは、そう考え、決断を下した。
それは、見て見ぬふり、隠蔽という選択だった。
彼らは、転がっていた頭蓋骨を、重機で押し固め、その上に土を被せ、芝生を敷き詰めた。そして、何事もなかったかのように、建物の取り壊しと、建設を始めた。
彼らの手によって、頭蓋骨は、街の土の中に、深く埋め込まれていく。
それは、まるでこの街の過去を、闇に葬り去るかのような、恐ろしい行為だった。
新たな建物が建てられ、芝生が敷き詰められた街は、一見すると、普通のニュータウンと変わらないように見える。しかし、その地下には、無数の頭蓋骨が眠っている。
それは、この街の過去を、そして、人間の欲望と罪を、物語っていた。
〈終〉