91 / 175
第二幕
深海和尚(K53)
しおりを挟むトウラ、シュートが攻撃態勢にはいるのをノアは手で制し、老人に質問をする。
「あなたは、どなたですか」
「ワシは、深海と言う名の僧じゃ」
「何をしたくて、俺たちをここに送った」
「まあ、ひとつひとつ説明をしていこう。ここにお主等を送ったのは、時をかせぐ為と修行の為、また準備の為じゃ」
「何故、そんなことをした」
「今のままでは、時間が足らんじゃろ、そしてそのまま、彼奴に闘いを挑めば、死は免れぬじゃろう」
トウラが口を挟む。
「ジィさん、なんでジュリエットといたアイツの仲間なんじゃないのか」
「そうだ、仲間になった」
「やっぱり、コイツは敵だ」
トウラは、戦闘態勢に入る。
「まぁ待て、話は最後まで聴くもんじゃ。ワシはアイツらの仲間に入れてもらった。それは君達の為なんだがな」
ノアが納得したように再び話し出す。
「それじゃ、あなたは俺たちの為にわざとジュリエットの仲間になり、俺たちを殺したとみせて、修行の時間を与えてくれたということになる」
「ほう、さすがノア殿。その通りじゃ」
「でも、なんでそんなことをする」
「それには、説明が必要だ。まずはワシのことから話そう」
ノアをはじめ、みんなが頷く。深海和尚は、話を始める。
「ワシの一族は、ずっと鏡家に仕えてきた。シオン殿、本当にお久しぶりでございます」
「えっ、ごめんなさい。僕、覚えてなくて、でもなんだか懐かしい感じがする」
「いやいや、覚えてないのも無理もない。ワシは、シオン殿が幼い頃にある使命を帯びてずっと旅に出てたからな」
「僕、ヒマリと一緒にここに来たことある」
「そうじゃよ。お小さい頃に2人でよくここに来てたんじゃ」
「やっぱり、そうだ。でも、ここってうちにあった鏡の中だったような」
「シオン殿、そうじゃよ。ここは間違いなく鏡の中の部屋じゃよ」
シュートは驚き、尋ねる。
「おっ、おい、鏡の中って、なんでそんな所に入れるんだ」
「それは、鏡家の秘密に関わることになるでな。ちと、詳しく話そう。我々の国には、古来より三種の神器があった。三種の神器とは、玉、剣、鏡じゃな。玉は玉造家、剣は剣城家、鏡は鏡家の先祖が時の王の依頼により作られたのじゃ。玉は日の力を表し、剣は月の力を表し、鏡は大地の力を表している。シオン殿の先祖がその力を鏡に込めたのがこの場所となる」
「シオンの先祖ってスゲーんだな」
トウラがしきりと感心している。シオンが何かを思い出したように話し出す。
「深海さん、ここにカラスさん、居ませんでした?」
「ああ居るよ。さっきからシオン殿の真上でみんなの話を聴いている」
鴉がサッと降りて来てシオンの肩に止まる。シェロが驚いて話し出す。
「シ、シオン、肩に止まったカラスって、脚が三本あるわ。まさか、八咫烏」
「「「「「 エッ!!! 」」」」」
「そうじゃよ。八咫烏は、ずっとここに居る。ここで然るべく時までずっと待って居るのじゃ」
深海和尚が話し出すとシュートは本当に驚いた様子で質問する。
「この鏡って、八咫鏡ってことかい?」
「そうじゃ、この鏡は八咫鏡。古来より受け継がれてきたが、今より約1,000年前に失われたと言われるものじゃ」
すると突然、八咫烏が喋り出した。
「ヨー、シオン、ヒサシブリダナ。マァ、ヒマリニモ、ソノウチ、アエルダロ。ゲンキダセ」
「やっぱり、カラスさんだ。久しぶり。みんなを紹介するよ」
「ミンナ、シッテル、ソレヨリ、コレカラノ、サクセン、カンガエロ」
みんなは、呆気にとられていたがノアが口を開く。
「カラスの言う通りだ。それより、和尚、俺を外に出せ。アイツらは教会を狙うだろう。早く行かないと助けられん」
「ノア殿、教会は大丈夫じゃよ。ワシが教会の周り広範囲に守護の印を結んできた。さっき、ジュリエットと行ってあやつが入れないのは確認済みだ」
「………ありがとう。和尚、疑ってすまなかった」
「なんの。これもワシの使命のうちじゃ。ただし、ワシの印は、1ヶ月が限度じゃ。それまでに作戦を立て、修行を終え、各自のやるべきことを成せるようにしなければならない」
ノアは頷き、これからのことを提案する。
「残り1ヶ月、作戦を立てるにはそれぞれがどのくらい戦力として考えられるか現状を把握しなければならない。目的はアイツを倒すこと、倒すに必要な能力を身につけること。あと、倒すのに必要な物を探し出さなきゃならない。和尚、作戦を考えるのを手伝ってほしい」
「もとより、そのつもりじゃ。作戦を考えるのは、もうひとりシェロ殿もいたほうが良い」
シェロは、驚きの声をあげる。
「えっ、私、作戦なんてできるかしら」
「おっ、そうだなシェロなら、今まで調べたこともあるし、旅で方々行ってるし、作戦を立てるには必要だな」
ノアもシェロが一緒に作戦を立てることに同意する。更に深海和尚は、続ける。
「シェロ殿は、更に、先をみる能力と本質を見抜く能力があるようじゃ。まぁ、それも準備が必要じゃがな」
「そんな力、私にあるのかしら」
「ある。まぁ、それも実践しながら身につけるほうが早いものじゃ」
深海和尚の言葉に、半信半疑なシェロであるが、和尚がシオンをシェロの前に呼ぶ。
「シェロ殿は、シオン殿に質問して今の状態を確認し、把握するのじゃ」
「はい。シオン、さっきのジュリエットを飛ばしたのはなに」
「僕、よくわからないんだけど」
「あの時、シオンは綺麗な緑色に光ってたのよ」
「あの時のことは、ほとんど覚えてないんだけど、緑色なら、トウテツかな」
「トウテツって、あの饕餮。とても古い聖獣ね。シオン、なんであんな力があるの」
「わからない。でも、小さい頃に会ってる気がする」
「小さい頃、どこで会ったの」
「うーん、確か家の中で会ったような」
深海和尚が、話に割って入る。
「今日はこのくらいにしておこう。シェロ殿の質問は、相手の深層心理に達するため、憶えてないことでも、思い出すようになっていくのじゃ。あとは、精度を高めていくことが必要じゃ」
「あぁ、なんだかとても疲れたわ」
シェロが言うと、ノアは頷きみんなに指示を出す。
「今日行く予定だった智の泉は、ここで修行した後、1ヶ月後に再度行くことにする。明日、トウラは、白虎と訓練、シュートは俺がみる。シェロ、アザミ、シオン、フリージア、あとカラスは、和尚に任せる」
「「おうっ」」
「「「「はい」」」」
「オッケー」
トウラ、シュートが真っ先に返事をし、シェロ、アザミ、シオン、フリージアが続き、最後に八咫烏。深海和尚は、頷いて話しだす。
「ノア殿、承知した。今日は皆も疲れたじゃろうから、食事をしてゆっくり休むが良かろう」
深海和尚は、みんなに食事を出す。それぞれ、食事を済ませて深海和尚の準備した部屋で眠りにつく。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる