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第2話 魔王様、花嫁拒否ってマジですか!?
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信じられない。
いや、言葉としては理解してる。耳にもちゃんと届いた。
でも、それを現実として受け止めきれるかって言うと……うん、無理。
私は今、魔王城の一室でふかふかのシーツを抱きしめながら、しっかり現実逃避中だ。
……あの冷血魔王、ルシフェル。見た目は文句なしにイケメン、なのに中身は氷点下。
私を見た瞬間、まるでゴミでも見るような目だった。あれは、なかなかにキツかった。
「……即・婚約破棄。異世界でもメンタルに優しくない世界なんだなあ……」
思わずぼそっとつぶやいたら、近くでぴくりと反応した影があった。
「神楽様。お気を確かに」
「無理です」
私の前に立つのは、銀色の甲冑を纏った騎士――レオナルトさん。
第一軍団の騎士団長とかいう、やたらすごそうな肩書の持ち主だけど、なんとなくお人好し感がにじみ出てる。
「私の立場、わかってます? 花嫁に選ばれて召喚されたのに、肝心の相手から拒否されて、しかも元の世界には帰れない。どう生きればいいんですか?」
「ご安心を。魔王城の滞在については、私が責任をもって確保します」
「その滞在の根拠、無くなっちゃったじゃないですか」
「…………」
いや、黙られても困るんだけど!
「というか、あの魔王様、なんであんなに拒絶全開だったんですか? もうちょっと柔らかく断るとか、なかったんですか?」
「ルシフェル陛下は……不器用な方でして」
「いや、不器用とかのレベルじゃなかったですよ!? この契約にどれだけ人間界の希望がかかってるか、分かってるんですか!?」
「……それは、陛下も承知しているはずです。が、それでも、ご自身の意思でないことには従えないというのが、陛下の流儀なのです」
はあ、と深いため息が出た。
真面目なのはいいことだよ? だけどその頑固さで和平交渉をぶち壊すなんて。こっちは命がけだってのに。
でも、ここで暴れても事態は好転しない。
「で、これから私はどうすればいいんですか?」
「……とりあえず、しばらくは正式な婚約者として滞在しているという体で、魔王城にいていただきます」
「いやいや、嘘じゃんそれ」
「ですが、和平交渉を円滑に進めるには、そうするしかありません。陛下の意志に関係なく、式の準備はすでに進んでおりますし……」
「式って、結婚式の?」
「はい」
「はあああ!?」
思わず素っ頓狂な声が出た。
「だって! 相手、超絶やる気ないですよ!? 破棄するって明言してましたよ!? 式やる意味ないでしょ!」
「……それは、陛下ご自身に直接、お確かめいただければと」
「え、まさか今から会いに行くとか言わないよね?」
「すでに、謁見の許可はいただいております」
「待って心の準備が――ってもう連れて行かれてる!?」
◇
というわけで、私は再び魔王・ルシフェルと対面していた。
正面から見るとやはりイケメン。目元に宿る冷たさが逆に絵画のようで、隙がなさすぎる。
……なのに。
「だから言っただろう。契約は無効だと」
「聞いたよ! でも、なんでそんなに拒否全開なの!?」
私は半泣きで叫んだ。いい加減こっちも限界なんですけど!?
「私はただのOLだったの! 過労で倒れて、気づいたらこの世界にいて、いきなり花嫁って言われて、しかも即拒否って! 人権とは!?」
「……お前にその意思がないならば、帰れと言っているだけだ」
「だから帰れないって言ってるじゃん!!」
ついに私は、ルシフェルの前で正座して叫ぶという異常事態に突入した。正座に意味はない。ただこの場で一番真剣に見える姿勢だった。
ルシフェルはしばし私を無言で見下ろし――やがて、小さくため息をついた。
「……お前には、聖女の力があるらしいな」
「あるらしいね。私は自覚ゼロだけど!」
「……ならば、試してみろ」
「は?」
「この魔王城には、魔族の子どもたちも暮らしている。中には傷ついた者もいる。お前の力が本物なら、癒せるはずだ」
「え、何その唐突な試練イベント」
「もし、それができたら――お前の滞在を認めてやる」
私は思わず、顔を上げた。
……それって、少しだけ、希望の光が見えたってこと?
「やる。やります! やってやりますとも!」
「ふん、好きにしろ」
ルシフェルは、ちらりとも私を見ずに背を向けた。
でも、私はその冷たい背中に小さくガッツポーズを決めた。
花嫁としては拒否されても、私はこの世界で生きていくしかないんだ。
だったら、やってやろうじゃないの。
――異世界で、人生やり直してやる!
いや、言葉としては理解してる。耳にもちゃんと届いた。
でも、それを現実として受け止めきれるかって言うと……うん、無理。
私は今、魔王城の一室でふかふかのシーツを抱きしめながら、しっかり現実逃避中だ。
……あの冷血魔王、ルシフェル。見た目は文句なしにイケメン、なのに中身は氷点下。
私を見た瞬間、まるでゴミでも見るような目だった。あれは、なかなかにキツかった。
「……即・婚約破棄。異世界でもメンタルに優しくない世界なんだなあ……」
思わずぼそっとつぶやいたら、近くでぴくりと反応した影があった。
「神楽様。お気を確かに」
「無理です」
私の前に立つのは、銀色の甲冑を纏った騎士――レオナルトさん。
第一軍団の騎士団長とかいう、やたらすごそうな肩書の持ち主だけど、なんとなくお人好し感がにじみ出てる。
「私の立場、わかってます? 花嫁に選ばれて召喚されたのに、肝心の相手から拒否されて、しかも元の世界には帰れない。どう生きればいいんですか?」
「ご安心を。魔王城の滞在については、私が責任をもって確保します」
「その滞在の根拠、無くなっちゃったじゃないですか」
「…………」
いや、黙られても困るんだけど!
「というか、あの魔王様、なんであんなに拒絶全開だったんですか? もうちょっと柔らかく断るとか、なかったんですか?」
「ルシフェル陛下は……不器用な方でして」
「いや、不器用とかのレベルじゃなかったですよ!? この契約にどれだけ人間界の希望がかかってるか、分かってるんですか!?」
「……それは、陛下も承知しているはずです。が、それでも、ご自身の意思でないことには従えないというのが、陛下の流儀なのです」
はあ、と深いため息が出た。
真面目なのはいいことだよ? だけどその頑固さで和平交渉をぶち壊すなんて。こっちは命がけだってのに。
でも、ここで暴れても事態は好転しない。
「で、これから私はどうすればいいんですか?」
「……とりあえず、しばらくは正式な婚約者として滞在しているという体で、魔王城にいていただきます」
「いやいや、嘘じゃんそれ」
「ですが、和平交渉を円滑に進めるには、そうするしかありません。陛下の意志に関係なく、式の準備はすでに進んでおりますし……」
「式って、結婚式の?」
「はい」
「はあああ!?」
思わず素っ頓狂な声が出た。
「だって! 相手、超絶やる気ないですよ!? 破棄するって明言してましたよ!? 式やる意味ないでしょ!」
「……それは、陛下ご自身に直接、お確かめいただければと」
「え、まさか今から会いに行くとか言わないよね?」
「すでに、謁見の許可はいただいております」
「待って心の準備が――ってもう連れて行かれてる!?」
◇
というわけで、私は再び魔王・ルシフェルと対面していた。
正面から見るとやはりイケメン。目元に宿る冷たさが逆に絵画のようで、隙がなさすぎる。
……なのに。
「だから言っただろう。契約は無効だと」
「聞いたよ! でも、なんでそんなに拒否全開なの!?」
私は半泣きで叫んだ。いい加減こっちも限界なんですけど!?
「私はただのOLだったの! 過労で倒れて、気づいたらこの世界にいて、いきなり花嫁って言われて、しかも即拒否って! 人権とは!?」
「……お前にその意思がないならば、帰れと言っているだけだ」
「だから帰れないって言ってるじゃん!!」
ついに私は、ルシフェルの前で正座して叫ぶという異常事態に突入した。正座に意味はない。ただこの場で一番真剣に見える姿勢だった。
ルシフェルはしばし私を無言で見下ろし――やがて、小さくため息をついた。
「……お前には、聖女の力があるらしいな」
「あるらしいね。私は自覚ゼロだけど!」
「……ならば、試してみろ」
「は?」
「この魔王城には、魔族の子どもたちも暮らしている。中には傷ついた者もいる。お前の力が本物なら、癒せるはずだ」
「え、何その唐突な試練イベント」
「もし、それができたら――お前の滞在を認めてやる」
私は思わず、顔を上げた。
……それって、少しだけ、希望の光が見えたってこと?
「やる。やります! やってやりますとも!」
「ふん、好きにしろ」
ルシフェルは、ちらりとも私を見ずに背を向けた。
でも、私はその冷たい背中に小さくガッツポーズを決めた。
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