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コヨタ

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第22話 心

第22話・3 気配

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 翌日。
 龍調査機関・特別ブリーフィングルーム。

 白い室内。並ぶモニターに静かな光が走り、朝の陽射しを反射していた。

 椅子に並ぶのは、リル、アシュラ、ラショウ。
 向かいに立つのは、セセラとシエリ。

 シエリが端末に目を落としながら口を開いた。

「皆に共有しておきたい情報がある。Z.EUSゼウスと名乗る組織についてだ」

 一瞬、ラショウとアシュラが小さく動揺の色を見せる。

 リルも顔を上げるが、どこか掴みかねている様子。

「……ゼウス……」

 静かに呟くが、その響きには心当たりの無さが滲んでいた。

「この組織は、表向きには医療研究団体とされているようだが、実際は不明な活動を繰り返しており、龍因子適合個体への関与が確認されている」

 シエリの言葉に、アシュラが口を開いた。

「……まさか、あの銀髪の男も?」

 その問いにはセセラが頷く。

「ああ。その銀髪の男……スカルと呼ばれていた」

「スカル……」

「そいつも含め、このZ.EUSと繋がってる可能性が極めて高い」

「…………!」

 あの圧倒的な攻撃力を思い出すかのように、眉を顰めるアシュラ。

「……そんな……」

 そしてラショウの表情が強ばる。
 リルは、黙って前を見つめていた。

(……Z.EUS……聞いたことねえ……)

(けど──)

 胸の奥がざわつく。心が嫌に騒いでいるのがずっと落ち着かない。
 そのリルの様子に気がついたセセラが目を向けた。

「リル……お前、何か心当たりは?」

「…………」

 リルは、数秒だけ言葉に詰まった。

 そして──ゆっくりと首を横に振る。

「……いや、知らねえ。ゼウスなんて名前、初めて聞いた。でも……なんか……妙に嫌な予感がしてる。根拠はねぇけど」

 その言葉にシエリが僅かに目を細めた。

「嫌な予感……それはどういう?」

「…………ん……」

 リルは言葉を探しながら、ゆっくり口を開く。

「前も言った……あの、でっけぇ女悪魔みたいなヤツ見てから、ずっと胸の奥がザラついてる。龍が人間みてえなのか、人間が龍みてえなのか……オレみたいに」

「……っ」

 その言葉に、西城の兄妹が息を呑んだ。
 ラショウは手を胸に寄せ、アシュラはリルの横顔を静かに見つめている。

 セセラはそのふたりの様子を見ながらも、腕を組んだまま続けた。

「……だから、調べる価値があんだよ。誰が作ったかよりも、何を生もうとしてるか。この先……それが俺たち全員を巻き込む前にな」

「…………」

 部屋の空気が、一際重く沈む。

 そしてその沈黙の中で、リルだけが目を伏せ、深く拳を握りしめていた。


 ◇


 ──ブリーフィングルームから出た廊下。

 リルは皆より一歩前を歩きながら、無言のまま足を進めていた。

 その背中が、どこか重たかった。

 肩が落ち、呼吸も浅い。
 まるで自分の体が自分のものじゃないかのような歩き方。

「……リルくん」

 後ろから声をかけたのはラショウだった。

 リルは、振り返らない。

「……ん」

「……あの、ごめんなさい。気のせいだったらいいんだけど……」

 ラショウは一瞬だけ言葉を選び、それでも勇気を出して続けた。

「……少し、顔色が……。ずっと、元気が無いように見えるの」

「…………」

 リルは足を止めた。

 だが──振り返らなかった。

「……そっか」

 それだけを呟いて、また歩き出す。

 ラショウは立ち止まったまま、悲しそうにその背中を見送った。
 その様子を見たアシュラは、ラショウの肩に手を置く。

「……気づいてるんだな、お前も」

「……うん。リルくん……たぶん、無理してる……」

「無理……か……」

 アシュラは目を伏せた。

(いや……無理というより、切り離してる)

 リルは、感情をどこかに押し込んでいる。
 あまりにも冷たく、静かに。

 その後ろ姿が、どこか壊れかけたまま動いている人形のように見えた。

「…………」

 ──少し離れた場所からそれを見ていたセセラもまた、眉をひそめていた。

「……あいつ」

 先程の会議で使用していた端末を持ちながら、ぼそっと呟く。
 そのすぐ隣でシエリが目線を落としたまま、静かに声をかけた。

「リルは今、自分の中にあった何かを照らされ始めている。そして、それを見つめるのが、怖いのかもしれない」

「……知る前と、知ったあとじゃ、世界が変わる。それはわかってるけどよ……」

 セセラは額を押さえながら、歯を食いしばる。

「俺……どうしても、何かしてやりたくなる。お節介かな。……あいつがあいつのままでいてくれるうちに」

「…………ふむ……」

 シエリは何も言わなかった。

 ただ、リルの歩く先に視線を向け、心の奥でそっと願った。

(どうか、キミがキミのままで、いられますように)

 ──リルは、無言のまま、人気ひとけの無い廊下の奥へと消えていく。


 ◇


 夕暮れ近く──。

 カーテン越しに射し込む光が、レイラの病室の床を淡く染めている。

「…………」

 レイラはベッドに腰掛けたまま、本も端末も何も目を通さずにじっとしていた。

 まだ右腕は固定されたまま。だが、もう顔は枕に沈めていない。

(……そろそろ夕方かな)

 時間の感覚が曖昧で、けれど今日という日が無事に終わりそうなことに、ほっとしていた。

 ──コン……

 突然聞こえた、静かなノック。

「……っ」

 反応できずにいると、扉がゆっくり開いた。

「…………!」

 現れたのは──リル。

 レイラは、ほんの少しだけ息を呑む。

(……リル……!)

 ──あの日、ジキルからあの話を聞かされて以来、初めて見るその顔。

 リルはしばらく無言だった。
 表情も読めない。
 ただ、少しだけ目の下の隈がいつもより濃い。

「……入って、いい?」

 ようやく声を出したリルはそれだけを、ぽつりと。

 レイラは黙っていたが、首を横には振らなかった。

 ──それが、答えだった。

 リルは静かにレイラへと近づく。
 ベッドの真横の丸椅子に腰を下ろすと、何もせず、ただ前を見た。

「…………」

 沈黙が落ちる。

 何を言えばいいのかわからない。
 何を訊いていいのかも、怖い。

 でも……ここにいる。

「……どうしたの」

 ついにレイラが尋ねる。

 リルはほんの少し口元を動かし──。

「……わかんねえ。なんか……気づいたら、足が向いてた」

 それを聞いて、レイラも俯くように小さく笑った。

「……なにそれ、……へんなの」

 ふたりとも、傷を抱えている。
 重さの違いなんて比べられない。

 しかし──重たいということだけは、共通していた。

 リルは少しだけレイラに視線を向けると。

「……でもさ」

「ん……?」

「……今は、それでもいいだろ。……なんか……一緒にいたいって思ったから、来た」

「……っ、……うん。……私も、嬉しいよ」

「…………」

 また、沈黙。

 しかしそれは、もう苦しい沈黙じゃなかった。

 互いの存在が、沈黙そのものを優しく包んでいる。

 レイラはそっと身動ぎをして左腕を伸ばすと、リルの左袖を指先でつまんだ。

「……!」

 リルはそれを見て、ほんの少しだけ、目元を緩める。

 言葉は無くても、強がりも無くても──。

「リル……いてくれて、ありがとう」

 その一言だけで、今は、十分だった。


 ◇


 病室の窓の外が、夕焼けから静かな紺色へと移り変わる。

 カーテンの隙間から洩れる月の光。

 レイラとリルは、それぞれベッドと椅子のまま。
 言葉は少ないが、互いに気配だけは感じていた。

「…………」

 リルは窓の外をぼんやり眺めていた。
 レイラは右腕を気にしつつベッドに寄りかかりながら、時折視線をそっとリルに向ける。

「……眠くないの?」

 ぽつりと問うレイラ。

「……ん、……ちょっとだけ。でも……眠ったら悪夢見そうで」

 そう答えたリルの声には、少しだけ弱さが滲んでいる。それが、レイラにはすぐに伝わった。

「……そっか。じゃあ……起きてて。隣にいてほしい」

「…………」

 リルは返事をしなかったが、静かに椅子から腰を上げ、ベッドに座る。
 横たわれば添い寝になるほど近い距離。

「…………」

 そのままレイラの右肩に、そっと手を置いた。

「…………!」

 温かい。

「……痛そ」

「……っ……」

 固定具の巻かれた腕は、確かにまだ少し痛い。
 だがレイラはそれに触れる手を、受け入れた。

「……リル……あのさ……」

「…………」

「もし、私が……もっと強かったら……。あの時……こんなことにならなかったのかなって、思ってた」

「…………オレも。ずっと思ってる。もっと強けりゃ、全部守れたかもって」

「でもさ……強くても、ダメな時もあるよね」

「ん……。『強い』って、たぶん……全部ひとりで背負えることじゃなくて……誰かがいるから、立ってられることなのかもな」

「……いいこと言うじゃん……」

「……うるせ……」

 レイラがふっと笑い、リルも目を伏せて小さく息を吐く。

 部屋は静かだった。
 だがその静けさは、今は冷たくない。

 レイラは瞼を閉じ始めた。
 ゆっくり、深く、眠気に包まれていくように。

「……ねえ、リル」

「ん」

「さっき『寝たら悪夢見そう』って言ってたけどさ……」

「…………」

「ここにいてくれるなら……その夢、ちょっと分けてくれてもいいよ……」

「……!」

 リルは驚いたように一瞬目を見開き──そして、そっと囁いた。

「……ああ。お前がいいなら……やるよ。夜泣きすんなよ?」

「ふふ……」

 レイラは微笑んだ。
 そのまま、静かに目を閉じる。

 リルはベッドの上、レイラの隣で膝を立てて座ったまま。
 月光に照らされながら、リルもようやく少しだけ目を閉じた。

 ──夜は静かに、ふたりを包んでいる。

 それはきっと、互いの傷がほんの少しだけ、癒え始めた夜だった。


 ◇


 ──夜が明け、曇りひとつない静かな朝が訪れる。

 龍調査機関の中枢管理室では、セセラとシエリを中心に淡々と作業が進んでいた。

「……解析班、スカルの移動経路に類似する反応は見られず。以後、Z.EUSに関連する痕跡の追跡を最優先とする……っと」

 セセラは書類にチェックを入れると、「ん゙~」と唸りながら背を伸ばす。

「……これで任務申請も全部止めた。新たな龍の発生報告も数件だけ。全部軽度なやつだ。無視してれば勝手に消えるものもいる」

「ああ。クオントワ以来、まるで嵐の前の静けさみたいに何も起きないな」

 シエリは手元の端末を見ながら、静かに答えた。

「それに、今のあの子たちに必要なのは治すことだ。レイラは怪我の回復。リルは……精神的な余白」

 セセラは短く頷く。

「リルには今日からまた西城家への帰還を認めた。向こうの方が落ち着けるだろうしな。レイラはまだしばらく療養だけど……傍に誰かがいりゃあきっと違うだろ」

「……その誰かって、誰かな?」

「──ン゙ッ、ん~~……!! そんなん……ッ、先生とかラルトでいいだろ」

「素直じゃないなあキミは」

「っせえな……! あいつがさっさと治ってくんねえと、ヒマすぎて逆にダリぃんだよ!」

 ──そして同じ頃。西城家。

 障子越しの朝日が、畳の上に柔らかく射し込む。
 静かな和室の中、アシュラは湯呑みに注いだばかりの茶を飲んでいた。

 そこに、通信端末に通知が届く。

《From:西城 了羅リョウラ
 久しぶりだな。仕事が一段落した。
 今日の夕方に一旦帰る。部屋、片付けておいてくれると助かる。》

「……相変わらず急だな……」

 呟きながらも、アシュラの口元はほんの僅か緩んでいた。

 廊下からラショウが顔を覗かせる。

「パパから?」

「そ。父上このあと帰ってくるってさ」

「わ……久しぶり……!」

 ぱあっと表情を明るくしたラショウが、そそくさと掃除道具を取りに奥へ走っていく。

 アシュラもゆっくりと立ち上がった。

「……機関からもリルが今日戻ってくるって連絡が来てるし。タイミングってのは、重なるもんだな」

 座布団を整え、ささやかに積もった埃を手で払う。
 障子を少し開けると、風が入り、掛け軸の角がふわりと揺れた。

「……嵐が少し過ぎたと思ったら、今度は家の時間か。ま、悪くない」

 穏やかな気配の中、西城家に“久しぶりの家族”が帰ってこようとしていた。


 ◇


 龍調査機関・エントランスホール。
 朝の館内に、足音が小さく響く。

 小さなボストンバッグを片手に下げたリルが、ゆっくりと歩いてきた。
 ラフな私服は、どこか街に溶け込むような格好。

 セセラとシエリはエレベーター脇のベンチに座っていた。リルが来るのを待っていたように。

「……じゃ、オレ向こう戻るから」

 ふたりの前で立ち止まって、そう一言だけ告げるリル。

 その目は、どこかまだ空を泳いでいる。
 意識の奥底に何かが沈んでいて、それを必死に黙らせているような──そんな瞳だった。

「…………」

 セセラはリルの様子を一瞬だけ見つめてから、ごく軽く頷く。

「おう。お前の部屋、誰も荒らさねえから安心しろよ」

「……むしろオレ、今それが一番不安なんだけど」

 僅かにリルの口元が緩んだ。
 
「なんかあったら……連絡頼むわ」

 そう言ってリルは通信端末をチラッと掲げると、セセラはニヤリと口角を上げた。

「お前もな。既読無視とかすんなよ」

「それは薊野さんだろ」

 即答。
 思わずシエリが、声に出さずにフッと笑う。

「さて……リルが不在になったら、レイラが寂しくなるかもな」

 不意に、シエリがそう小さく呟いた。

 リルの目が微かに揺れたが、セセラがすぐに返す。

「そんときは俺がいてやるから、気にすんなよ」

 その言葉に、リルとシエリがピタッとセセラを見た。

「「……お?」」

 ふたり同時に出る、微妙に訝しげな声。
 その“目線の意味”に、セセラは一瞬だけ気づかなかったが──すぐに「あ」と小さく呻く。

「……あー……いや……」

 少しだけ耳が赤い。

「俺ちょっとイケメンすぎること言った?」

 そう誤魔化すように呟くと、シエリは楽しそうに目を細める。

「……だそうだ。だからリル、ゆっくりしておいで♪」

 リルはその空気に、肩の力を少しだけ抜いたように小さく頷いた。

「……助かるわ。じゃ、行ってくる」

 荷物を片手に、踵を返す。
 その背中に、セセラが小さく声をかけた。

「リル。あんま、考えすぎんなよ」

「…………」

 リルは振り返らなかった。

 けれどその声は、ちゃんと届いていた。



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