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コヨタ

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第23話 造られた私たち

第23話・3 奴もオレも気色悪い

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 西城兄妹の父・リョウラとの時間も終わった午後。
 柔らかな光がリハビリルームに射し込む中、レイラは部屋の隅に設置された鏡の前に立っていた。

 右腕にはまだ支えのベルトが残されている。
 だが今日からは、軽い可動域の訓練が解禁される──。

 医療班所属の理学療法士の指導を受けながら、ゆっくりと腕を持ち上げた。

「……ッ、く……ぅ……」

 少し動かすだけで、肩の奥からじわりとした痛みが滲んでくる。

「無理しないで。そこまで。……十分ですよ! 紫苑さん」

「……はい……」

 レイラは眉を寄せながらも、唇をぎゅっと噛みしめ、決して下を向かなかった。

(怖くない……。あのときの痛みに比べたら、こんな痛み……)

 そうして何度か動きを繰り返すうちに、腕の筋肉がじんわりと熱を帯びてくる。

 少しだけ、汗ばんだ額に手をやって。

「ふぅ……」

 短く息を吐いたその表情は、数日前とは違っていた。
 微かに、凛とした気配がレイラに戻り始めていた。


 ◇


 リハビリを終えたレイラが廊下を歩いていると、曲がり角の先から人影が見えた。

「……え……」

 姿を見せたのは、少し俯き加減で歩く赤髪の青年。

「……リル……?」

「あ……お前か」

 目を合わせたリルは、相変わらずどこか覇気の抜けた声で応じる。
 口元には小さな呼気が漏れるが、笑ってはいない。

 レイラは歩み寄り、少し躊躇いながらも隣に並ぶ。

「お屋敷……帰ってたんだって?」

「ん。……まあ、しばらく静かにしてろってさ」

「そう……」

「……今日は忘れもん取りに来た」

 会話が止まり、ふたりの間に一瞬の沈黙が落ちた。

「…………」

 リルの目は、何も見ていないように遠い。

 焦点が定まっていないわけではない。
 けれど心が、ここにいないように見えた。

「……っ」

 レイラはそっと、自分の右腕をリルに見せる。

「ね、見て……。動くようになってきたよ。まだちょっと痛いけど」

「……そっか。よかったな」

 声に力は無いが、それでもリルの視線は少しだけレイラの腕に向いていた。

「リハビリ……つらいけどさ。こうして回復していくのって、ちょっとだけ希望になるっていうか……」

「……へぇ」

「……っ……」

 レイラは少しだけ唇を尖らせる。

「……何その反応。もっと素直に『すげぇ』とか『よくやった』とか言ってくれてもいいのに」

「お前、そういうタイプだったっけ?」

 ぽつりと返すリル。

 そこにようやく、ほんの僅かに……ほんの、僅かに、微かな笑みの形がリルの口元に戻った気がした。

「……!」

 レイラは目を伏せて、小さく呟く。

「……また並んで歩けるって、思ってなかったから」

「…………」

 リルの肩が、小さく揺れた。

 レイラは何も言わず、それ以上追い詰めるようなことはしなかった。

 ただただ、隣に。

 しばらく、ふたりで静かに廊下を歩く。
 足音だけが、響く。

「…………」

 ──まだ、完全には戻れない。

 並んで歩いていたふたりの足音が、ふと止まった。

 レイラは一歩後ろに引き、そっとリルを見上げる。

「……ねえ、リル」

 その声に、リルは無言で振り返った。
 赤い瞳がゆっくりとレイラに向けられる。

「……私が、どうして……腕を怪我したかって……知ってる?」

「…………」

 声は微かに震えていた。
 だが、それは弱さではない。

 ──怖いけど、聞かなきゃいけないと思ったから。

 リルの表情が少しだけ硬くなると、レイラは急いで付け足した。

「べ、べつに、心配されたいとか……そういうのじゃないの。ただ、……あなたが、どこまで知ってるのかが気になっただけ」

(……私のせいで、苦しんでるんじゃないかって……)

「…………」

 沈黙──。

 リルは立ち止まったまま、僅かに視線を逸らす。

 長い沈黙のあと、低く、しかし確かに答えが返ってきた。

「……知ってる。色々、聞いた」

 その声は、どこか遠い。

 けれど心做しか、優しくもあった。

「……っ……」

 レイラの喉が、ごくりと鳴る。

「そっか……」

 それだけを言って、レイラもまた前を向いた。
 リルは横目でその横顔を見る。

 ──お互い表情が、見えない。

 だが、リルは思う。
 
 レイラはきっと今も苦しんでいる。
 あのときの痛みだけじゃない。
 誰かを信じて裏切られた心の痛みは、骨よりもずっと折れやすくて、治りにくい。

「……悪い。お前を庇えなくて」

 その一言が、リルの口から小さく漏れる。

「……!」

 レイラの足が──止まった。

「……違う」

「え?」

「違うよ……あれは、私の選択だった。あの人に近付いたのも、話をしたのも、自分で決めたこと。リルは、何も悪くない」

 その瞳は、はっきりとリルを見ている。

「私、ずっと考えてたの。……誰かのせいにすれば、少しはラクになれるかもって。でも、違った」

「…………」

「自分で信じて、自分で騙された。それだけ。だから、もう誰のことも……責めないって決めたんだよ」

 リルはその言葉を、静かに受け止めた。

 ただ一度、ほんの少しだけ瞼を閉じて──そしてまた、前を向く。

「……お前は、つえぇな」

「……ふふっ、今のは褒めたの?」

「んー……どうだろな」

 小さく、肩が触れる距離。
 その空気の中に、ほんの微かな、しかし確かな温もりが漂った。

 歩き出したふたりの影が、廊下に並んで伸びていく。


 ◇


 一緒に中庭に出たふたりは、しばし無言のままベンチに並んで腰掛けていた。
 夕方の空は高く、涼しい風が静かに草木を揺らしている。

「…………」

 吹く風は心地よいが、リルの表情には未だ陰りがあった。
 何かを聞こうとして、しかし躊躇って聞き出せていない葛藤を孕んだような暗さ。

 レイラはそっと右腕をさすっている。まだぎこちない動作ではあるが、痛みは少しずつ引いてきている。

 そんな中──ふと、隣のリルが口を開いた。

「……なあ……」

「……ん?」

「オレのこと──」

 絞り出され、ぽとりと落とされた声。
 どこか空気が変わったように感じて、レイラはピクリと肩を震わせる。

「……何か、聞いてんのか」

「えっ……?」

 思わず聞き返した。

「…………ッ」

 心臓が跳ねるような感覚。

 先程までの穏やかさが突然に、まるで霧のように掻き消えていく。

「『何か』……って、なに?」

 やや萎縮しながらレイラが問い返すと、リルは目を伏せて──。

「……っ…………」

 唇を強く結ぶ。
 答えを出すまでに、少し時間がかかった。

「……会ってたんだろ、に」

「……!」

 その一言で、一瞬で察したレイラの息が止まりそうになる。

「……オレのこと、なんか言ってたりしてなかったかって……お前に、余計なこと……言ったんじゃねえかって」

 喉がヒリつく感覚を覚えるレイラ。
 胸の奥で、自分の鼓動の音がうるさいほどに響いていた。

「…………ッ……」

(……どうしよう、リルに、伝えていいの……?)

(でも……)

「……い、言って……いいのかわかんない、けど」

 絞り出すように言ったその瞬間──。

「言え」

 ──重たい声。

 視線だけをレイラに向けるリルの赤い瞳は、まるで刃のように鋭く光っていた。

「……ッ……!」

 レイラの体が一瞬だけ硬直する。
 その声には強制や怒りではない、だが明らかに逃げ場の無さが含まれていた。

 ──怖い。

 でも、ここで何も言わなかったら、きっともっと怖くなる。

「……き、……っ、聞いた……」

「……あの人が……リルのこと、じ、実験に使った……って、本人から……聞いた」

 声が震える。
 だが、嘘は無かった。

「…………」

 リルは無言のまましばらく俯き──。
 そのまま、少し笑ったようにも見えた。

「……じゃあ、話は早いな」

 その言葉の温度は、恐ろしく低いものだった。

「オレは、あいつを心底憎んでる。……殺したいとすら思う」

 呟くような声なのに、空気が震えたように感じられる。

「…………っ……」

 レイラの喉がつっと鳴った。

「レイラ──」

 名前を呼ばれ、条件反射のように目を向ける。

 リルの顔が、真正面から向けられていた。

「……あいつのことも、オレのことも……気味が悪いって、思わねえか?」

「…………!!」

 見開かれるレイラの目。

 目の前のリルの瞳には、一切の光が無かった。

 まるで、自分自身の存在にすら価値を見出せていないかのように、真っ黒な虚無が揺れているだけ。

「……穢れてるって、思わねえか?」

 リルは俯くようにしてレイラから視線を外し、自分自身を抱擁するように自らの腕をぎゅっと掴む。

 静かだった風が止まり、レイラの耳から中庭の音が遠のいた。
 レイラは、その言葉に何と返せばいいのか、すぐにはわからなかった。

 だが、リルがこんなふうに言葉を紡いだのは、もしかしたら……初めてかもしれない。

「…………っ……」

 今、リルの心は、崩れ始めている。

 次第に、話すだけのつもりだったはずのリルの精神が、不安定に傾いていく。

「……オレは、……もう……ほとんど人間じゃねえんだ」

 その赤い瞳は地面を見つめたまま、虚ろに染まっていた。

「姿だけ……辛うじて人間。けど目も、歯も、爪も……もうで普通の人間と

 リルは腕から離した手をじっと見つめ、指先を僅かに丸める。

 細く縦に裂けた瞳孔。鋭く伸びた犬歯。黒く染まった爪──。

「暴れれば止まらないこともある。理性が、いつまで持つかもわかんねえ……」

 淡々と語られる事実。
 それは、彼自身の告解のようでもあった。

「……気持ちわりいだろ、そんな奴。そしてそれをも」

「……!!」

 その言葉に、レイラは食い入るようにリルを見る。

「違う、違うよリル……! 私、リルのことを穢れてるなんて……っ、そんなこと、思ってるわけない……!」

 必死だった。

 震える声を押し殺し、何とかまっすぐに言葉を届けようとする。

 だが──。

 その言葉を、リルは──。

「……嘘つくな」

 受け止めなかった。

「……!!」

 次の瞬間。

 ──ガッ……!!

 固定された右腕に鋭い衝撃が走る。

「ッ!!」

 リルが、レイラの胸ぐらを掴んだのだ。

「……っ、リル……!? やめ──ッ」

「……オレは……ッ、あいつのことも、オレ自身のことも……気色わりィって思ってんだよッ!!」

 そう怒鳴りつけると、レイラを掴み上げながら立ち上がるリル。
 引き上げられるように、レイラの足も一瞬浮いた。

「普通なわけねえだろオレみてえな奴!!!」

 声が、完全に荒れていた。
 それでもリルは止まらない。

「周りの奴らもオレと友好的に接してるつもりでも結局ッ、意見したら襲われる、逆らったら殺されるってどっかで思ってんだろッ!!」

「……ッ……!!」

 レイラの背に冷たい汗が伝う。

 牙を剥き出しにして叫ぶ目の前のリルは、まるで誰か別人のように見えた。

「皆オレのことバケモンだと思いながら──仕方なく人間扱いしてるだけだろうがッ!!!」

 その叫びは、深い憎しみと、同じだけの絶望でできているように聞こえた。

「痛い……リル……やめて……!」

 掴まれた襟元が、右肩にずきりとした刺激を伝える。
 レイラはキツく目を瞑りながら、痛みを必死に訴えた。

 だがリルは──。

「あ゙ァ!? オレの方が普段から死ぬほどいてえ思いしてんだよッッ!!!」

 更に声を荒げて吠える。

「……ッ!!」

 ──その瞬間、レイラは確信した。

(……リル……おかしくなっちゃってる……)

 壊れかけている。
 いや、もう壊れているのかもしれない。

 怒りでも、恨みでもない。

 その瞳に宿っているのは──深い絶望。

(私のせいだ……)

(あの人に、関わったから……)

「……っ……」

 レイラは唇を噛んだ。

 声を上げれば、怒りを煽るだけかもしれない。

 だが──。
 レイラは心の奥底で確かに感じていた。

 今ここでリルを否定したら、本当にもう戻ってこられなくなる──と。

「…………ッ……!」

 掴まれた胸元。熱を帯びた指。荒くなる呼吸。
 目の前で震えるリルの体。

(この人は……今、必死で自分を止めてる)

「……リル」

 名前を、そっと呼ぶ。

 まるで、祈るように。

「……リル……!」

 もう一度、呼ぶ。
 それは悲鳴ではなく、拒絶でもなく──。

 ただただ、想いの詰まった一言。

「リル……私……、ちゃんといるから……」

「……ッ、はァ……!!?」

 ぐっと、リルの手に力がこもる。
 胸元を掴まれた布からギチッ……と引き絞られる音。

 だが──。

 その直後だった。

「…………ッ……!!」

 レイラを掴み上げるリルのその指先から、力が抜けていく。

「……っ、クソが……!」

 リルはレイラの体を突き放すように手を離した。
 レイラの体は僅かによろめくが、左手でバランスを取る。

「…………っ」

 視線を上げたレイラの前で──。

「…………!!」

 リルは、膝から崩れるように地面に座り込んだ。

 両手で頭を抱え、掠れた声を漏らす。

「……オレ、何やってんだよ……ッ……」

 怒りも、苛立ちも、呪詛も、全てが瓦解したように。

 その肩が、小さく震えていた。

 レイラは右肩をさすりながら、ゆっくりとリルの隣にしゃがむ。

 地面に座るリルの横顔にはもはや怒りの影は無く──。
 ただ、自分を壊してしまいそうな程の罪悪感と、深い苦しみが浮かんでいた。

「……ごめん」

 怒鳴り声から一転。か細く落とされたその一言に、レイラは驚く。

「オレ……、最低だな……マジで」

 唇が震え、目元には涙の気配。

「……怖かった。……お前まで……オレを、バケモノだって思うんじゃねえかって」

「……!」

 レイラはゆっくりと首を横に振った。

「私は、リルのことを……怖いなんて思ってない」

「……でも、さっき……お前怯えてただろ……」

「……うん、さっきはね。……怖かったよ」

「…………」

「でも、それは……リルが壊れそうだったから。あなたじゃなくなってしまいそうで、それが怖かっただけ」

 そこで小さく息を吸い込み、レイラは意を決したように続ける。

「リルがリルでいてくれるなら、私はずっと……一緒にいるよ」

 それは、レイラなりの最大限の言葉だった。

「…………ッ」

 リルは俯いたまま、何も返さない。

 だが──肩の震えは、ほんの少しだけ止まっていた。

 夜の頃合いに差しかかろうとする空気の静けさが、ふたりを包み込む。

 壊れそうだった心と、守ろうとした手。

 何も解決はしていない。
 けれどその小さな一歩が、ふたりの絆をまた少しだけ繋ぎ止めていた。

 ──中庭の風は、優しく枝葉を揺らしている。



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