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コヨタ

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第9話 食事の時間です・前編

第9話・5 何かが喰らいに来ている

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「……っは?」

 中央モニター室にてセセラは、自身の端末に届いた環境異常検知ログを見て眉をひそめた。

「……封鎖されてるはずのセクターD。何だこの、僅かな空調変動……?」

 即座に端末を操作し、封鎖区域の監視カメラログを呼び出す。

《アクセス不能》

《理由:“記録無し”》

 ──という名の、白紙化。

「……ナメてんな。完璧に消してやがる……」

 セセラのこめかみに、汗が滲む。

(ネク……テメェ、またここに入ったのか……?)

「……おい、予備ルートの気流モニターは?」

 職員は慌てて手元のデータを操作した。

「数分前、僅かですが……風圧の偏差が出てます。何かが、中で動いた可能性が──」

「上に報告。俺は現地見る。解析室と連携して逐次連絡頼む」

「えっ、薊野さんひとりで!?」

「先生呼んだら、あの人絶対ついてくる。……今はまだ呼べねえ」

 セセラの声が低く、鋭くなる。

「この違和感……今ならまだ間に合うかもしれねえんだ」

 そして白衣の裾をはためかせて走り出した。

 ──そう、完全に痕跡が消される前に。

 “何か”が、もう一度起きる前に。


 ◇


 ──数分後。

 地下セクターD・アクセス通路。封鎖された鉄扉の前で、セセラは息を整えていた。

 左手のカードキーをかざし、警告灯が点滅する。

 ──《アクセス許可:管理権限・所長承認必要》

「……チッ」

 短く舌打ちをするが、すぐに切り替えて──。

(やっぱそうくるか。なら……)

 ポケットから別の端末を取り出す。
 それは──シエリから非常時用に託されていた、彼女の緊急通信キー。

(悪いな、先生……今回は、先に踏み込ませてもらうぜ)

 ──《キー認証:成功》

 重い音を立てて、封鎖された扉がギィ……と音を立て開いていく。

 その先にあったのは、埃を被った廊下。
 だが、そこには確かに──“誰かの足跡”があった。

(……やっぱり、いたな)

 細まるセセラの目。
 そのまま、静かに足を踏み入れた。

 通路内部は静寂に包まれている。

「……静かすぎるな」

 セセラの声だけが、鈍く広い廊下に響いた。

 床に積もった埃は薄く──しかしその上に、明確に複数の靴跡が残されている。

(……ひとりじゃない?)

 足音を潜めながら、壁沿いに進む。

 左目の視界はまだ少し霞んでいる。シエリの吸血によって回復はしているものの、視覚情報の処理速度が少し遅れているのを、自分で理解していた。

「……今回はあまり長くは持たねえかな……」

 そう呟いたとき──。

 ──ピシッ……

 足元の空間で、“何か”が軋む音。

(……床、じゃねえ。空間そのものが……)

 セセラは即座に身を引き、壁に背をつける。
 そして、携帯端末の赤外線スキャンモードを起動。

 ──画面に映し出された廊下の先。

 誰もいないはずの空間に、“僅かな熱反応”が揺れていた。

「……いたな、ネク」

 その影は、まるで幻のようにうっすらと人型を描いていた。
 しかも──セセラの端末では捕捉できないはずの周波域に、何かが干渉している。

(……こいつ、隠れてるんじゃねえ。情報ごと曖昧にしてる……)

 脳がざわめく。
 あのときの新生龍と、同じ“気配”。

 直感が警鐘を鳴らした。

 辺りを見回しながら廊下の方へと慎重に歩き出す。

 しかし──。

「……もう見つかっちゃってるでしょ、薊野セセラさん」

 背後から、声がした。

「……!!」

 セセラが反射的に振り返ると、そこには、いつの間にか立っていた小柄な男──。

 銀髪、包帯、白衣。

「やっ……お久しぶりです。あ、オレのこと覚えてますか? ……ネクです」

「……やっぱり、テメェか」

「へぇ……『テメェ』とか言っちゃうんですかぁ。オレのこと、可愛がってくれてましたよね? あの頃は」

 ネクは相変わらず、丁寧な口調で挑発的な笑みを浮かべていた。

「オレ、あの頃からずっと観察してたんですよ。アナタの視線の動きとか、疲れてるときの目の焦点のズレとか……右目の下の血管がうっすら赤くなる瞬間が、たまんねえなって思ってたんです」

「……ッ気持ちわりぃな」

「うん。オレもそう思う……です。でも、そういうのを観察して、蓄積して、を育てるのが、得意なんです」

 ネクの指先が、ゆっくりと白衣の内ポケットへ伸びる。

「……さて、そろそろ遊びは終わりにしませんか?」

 その瞬間、空間が歪んだ感覚。
 そしてセセラの背後──廊下の奥から、あの異形の龍の“気配”を感じる。

「薊野さん。あなたが今ここで何を選ぶのか、オレ、とっても楽しみにしてるんですよ? ……オレがここまでやってきた理由、わかってらっしゃる?」

 ネクの言葉は穏やかながら、静かにセセラを圧倒していた。

 セセラは一歩後退し、冷静に目の前の男──ネクを見つめ返す。

「……お前が観察してるってことは、わかってた。でも、今、お前が何をしたいのかはわかんねえ」

「ふふ、わからない? そうだね、今のオレはまだその場の遊びをしてるだけですから」

 ネクの笑みがどこか楽しげに歪む。
 セセラの背後からは、“異形の気配”がじわじわと近づいてきていた。

 片手をポケットに入れ、冷静に状況を観察するセセラ。

 そして、僅かに息を吸い込む。

「……お前の遊びも、全部他人の龍因子を使って強くなるためのもんだろう」

 ネクは、しばらく黙ってセセラを見つめた。

「他人の力を食うことで、オレも確かに強くなる。あ、食うってって意味ね。……強くなって、変えたいんです」

 その言葉には、明確な確信と冷徹な計画が感じられた。

 ネクは、何かを目指している。

 そして、それはセセラにとっても予測のつかないものだった。

「お前が食っているもの……それが誰の龍因子かって、わかってんだろ?」

 セセラは一歩踏み込み、ネクをじっと見つめた。

「お前のその右目、ただの目じゃねえな? だから、お前がやっているのは……ただの強化とは違うんだろ」

 ネクは軽く目を細め、楽しげに口角を上げる。

「ふふ……よく気づきましたね。さすが、知識と冷静さだけで動いてる人間だ。その通りです」

 そしてネクの露出されている方の目──左目が一瞬、鋭く光った。

「オレが今、やっているのは……龍の因子を食って、強化して、そして記憶を転送するんですよ」

 セセラは息を呑んだ。
 その言葉が意味することを、すぐに理解できた。

「記憶……?」

「そう。記憶、知識、能力……その全てを取り込むんです。例えば、あの龍憑きたちの龍因子を食って、彼らの力と記憶、全てをオレのものにする」

 ネクが静かに言ったその言葉は、まるでセセラの予測を超えていた。

「それを使って、オレたちは……この世界を、そしてオレ自身を、もっと強く、永遠に変えていこうってわけですね」

 セセラはその言葉には、すぐに反応できなかった。
 しかし、心の中で冷徹に計算が回り始めている。

「……お前、そんなことして、何を得ようとしてるんだ」

「…………ん…………」

 ネクは少し黙ってから、目を細め、笑みを浮かべる。

「……それはまだ、オレにもわからないです。でも、他の誰かになりたくなかった」

 その瞬間。

 ──ガタガタガタッ……!

 突如として、空気が震えた。
 後ろから響く“異形の鳴き声”。

「おっと、来ましたか。そろそろ、オレの食事が始まる頃だな」

 楽しげに言い放つネク。
 その言葉と共に、後ろの通路から不気味に蠢く影が現れる。

「……マジでめんどくせえなお前ら……!!」

 額に青筋が立つセセラ。その視界が、再び鋭く切り替わった。

「来いよ、もう……!!」

 戦闘の先に待ち受ける、異形の龍。
 その咆哮で、セセラの足元が震える。

「……来たよ、薊野さん。じゃあ、ここからはでいきますよ」

 ネクの声色は変わらない。どこか軽やかで理知的なトーン。

 しかしその手が、ゆっくりと右目の包帯にかかった瞬間──。

 空気が、変わった。

「……お前、まさか」

「はい。コレも見せとかなきゃね」

 包帯の固定が外され、ふわりと宙を舞う。
 次の瞬間──セセラの背筋に、ゾクリと氷が這い上がった。

「……!!」

 右目。

 青い虹彩。
 そして──白目は、ありえないほどの黒。

 
 瞳孔は細く縦に裂け、しかし、瞳はまったく動かない。

 まるで──どこまでも見透かされる鏡。

「……どう? 不気味でしょ。この右目、眼球が動かせないんです。常にしか見てない」

「……ッ」

 セセラは一歩、自然と後ずさった。

 脳が、距離を取れと命じる。

 あの目は、視られているのではない。
 のだ。

「この目は、対象の龍因子や記憶を焼きつける。目で食ってるんです。……一度視界に入れれば、それだけで刻まれるんだよ」

「そんなもん……」

で、十分なんです」

 その瞬間、背後の異形が嗤うような音を立てながら、通路を這いずるように迫ってきた。

 セセラは反射的に懐から拳銃型の麻痺銃を抜く。

「……なら、1発でも外したら、終わりだな」

「そう。だから、外さないようにね?」

 ──ドッ!

 異形が跳ねた。
 黒い影が牙を剥き、セセラへと飛びかかる。

「チッ……!」

 セセラは回避と同時に1発、銃を放つ。

「……!!」

 命中するが、跳弾──。
 装甲が想定以上に固い。

「薊野さん、ねえ。どっちが先に視界から外れるか、勝負しましょうよ」

 ネクの右目が、微動だにせずセセラを正面から捉えている。

「アナタのことはずっと、焼きつけてあるから……もう、逃がさねェよ」

 視線の檻が、セセラを縛っていく。

(マズい……あいつの右目、ただの視線じゃねえ)

 セセラは素早く後退しながら脳内で高速演算を続けた。
 空間に漂う龍因子の濃度、異形の攻撃速度、そして──ネクの“目”。

(あの目に正面から長く映り続けると、“何か”を奪われる)

 その直感は確信に近かった。
 ただの観察ではない。
 ネクの目は、なにか“内部情報”に直接干渉している。

(レイラやリルの龍因子も記憶も……あいつ、ウチに在籍してたときから盗んでたのか……?)

 ──ズガァッ!!

 異形が床を抉るように暴れ、鋭利な突起を振り回した。

「……ッ」

 セセラは低く滑るように身を伏せ、咄嗟にスタン弾を壁へと投擲する。

 ──バァンッッ!!!

 光と音が炸裂し、異形が一瞬怯む。

 その隙にセセラは一気にネクへと距離を詰めた。

「……ちょっ……と、驚きましたよ。アナタ、そんなに肉体派だったんですか」

「あ? 散々見てたんじゃねえのかよ」

「まあ、それはそうなんですけど。……いざ目の前にするとね」

 ネクはセセラの殴打を躱すと、笑いながらスッと左手を振る。
 その瞬間、ネクの周囲の空間がぐにゃりと波打ったように見えた。

「この右目、見るだけで解析できるのは龍因子と記憶だけじゃない。アナタが次にどう動くか、その“反応経路”も、少しだけわかるんですよ」

「……っ!」

 再び振るわれたセセラの拳が、空を切る。

「くくっ……あ~楽しい。やっぱり薊野セセラさん、いいなァ。本当に人間? ってくらい、ですよね」

 ネクはわざと距離を取った。

 その隙に、異形が再び目覚めたように暴れ始める。

 ──バキィッ!!

 コンクリートの床に深い亀裂が走り、吹き飛ぶ瓦礫。

「……危ね……ッ……」

 セセラはその破片を盾にして、一瞬の遮蔽を得る。

(……見られてる。あの目をどうにかしない限り……)

 その時。ふっと風が通り抜けるように──ほんの一瞬、セセラがネクの右目の死角へと滑り込む。

(正面しか見えねえって言ったな。なら……背後は、どうだ……!)

「今──!」

 セセラが手元の小型スモーク起爆装置を爆発させた。

 濃厚な煙が瞬時に充満する。
 視界が遮断されたネクの右目は、当然何も映さない。

(……よしッ……)

 しかし──。

「……ふふふふふ」

 煙の中から聞こえてくる笑い声。

「すごいなぁ……めっちゃいろんな武器持ってるじゃないですか。本当に、油断ができねえ、です。だけど──」

 その声に、セセラの心拍が一瞬だけ跳ね上がり、動きが止まる。

「煙の中でも、見えづらくても、オレが向きを変えて正面にいるようにすれば、それで焼きつけるには十分なんだよ。……さて、この辺かな?」

 ──セセラの胸元、鈍い痛み。

「……あ゙っ……!」

 視界が、滲んだ。

「アナタの先程の眼球の震え方……少しだけ恐怖を感じてたでしょ」

 ネクの声は穏やかだった。
 しかし、確実に内側を侵してきている。

「次は、その中身をもらいますよ」

「……!!」

(……マズい……!)

 セセラは右目と胸の奥にじわじわと熱を感じていた。

 ネクの右目による精神への侵食。

「く……っ……!」

 体がふらつく。視界が僅かにぼやけ、平衡感覚が狂い始める。

「薊野さん、もう揺らいでるね。オレの目はね、記録して、侵すんですよ」

 ──ズルズル……ギィ……

 そして背後から、怯みが解けた異形の足音。
 だが、セセラは振り返らない。

(目は、正面……正面しか見れないなら──)

「……なら……ッ」

 懐から取り出す、小型の閃光弾。
 点火スイッチを親指で押す。

でいい。逆にあいつの視界にレベルで、目を正面から潰す……!)

「俺の記憶も、視線も……お前には焼かせねぇよッ!!」

 ──バシュッ……!!

 閃光弾が炸裂。
 眩い閃光が煙の中を切り裂く。

「っ……!?」

 一瞬、ネクの右目が細く、けれど確かに動かないまま光を受けた。

 セセラは咄嗟に跳び退く──が、足元に絡みつく影の感触。

「──ッぐ……!」

 異形の龍の触腕。掴まれた足首が、ギチギチと軋む。

「離せ……っての!!」

 麻痺銃を撃ち込もうとした瞬間。

 ──ズンッ!!!

 重い衝撃音が目の前から降り注いだ。

「……なっ……!?」

 ──誰かが、異形目掛けて落ちてきた。

 踏みつけられた異形の頭部が捻れ、そのまま床へと叩きつけられる。

「……え?」

 煙の向こう──瓦礫を蹴散らし、“何者か”が着地していた。

 細身のシルエットの男。白衣。銀髪。

 だが、セセラでも──ネクでもなかった。

「…………あれ?」

 目眩しから回復したネクが、初めて戸惑った声を漏らす。

「……あんた……誰?」

 その人物は、音も無く振り返った。

 ネクのような反転目に似た、“何か”を宿した静かな双眸。

 そして男は、ただ一言──。

に、騒がしいんですよ」

 ──暗闇の奥から現れた、新たな影。




 第9話 完










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