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コヨタ

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第10話 食事の時間です・後編

第10話・1 記録の前菜で唆る食欲

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 セセラとネク、そして異形が蠢く地下セクターDの封鎖区画。

 煙がまだ晴れきらない通路の中心に、ぽつんと立つ細身の男のシルエット。

 白衣の裾を翻し、銀髪がゆるく揺れる。
 目元は伏せられていて、その表情は読めない。

 ただ──空気が明らかに変わっていた。

「……誰?」

 その問いはネクの声。笑みを保ったまま僅かに硬さを帯びる。

 男は、ゆっくりと顔を上げた。

 黒い瞳。だがその奥に、どこかネクの目と同じような静けさを感じさせる──。
 まるで、既にこちらの“思考の深部”まで覗いているような眼差しだった。

「騒がしいんですよ」

 と、男はもう一度繰り返した。

「ボクの……食事の最中なんです。素材が逃げちゃうじゃないですか──ね?」

 その言葉に、ネクの口元がぴくりと吊り上がる。

「へぇ……素材、ね。ずいぶんとまァ、趣味の悪い自己紹介じゃねェの。見た目も……オレの真似か何か?」

 男は答えず、ただ一歩──前へ出る。

 その足音に、セセラの背筋が一瞬ぞわりと震えた。

(……ネクでも、反応してる。あいつ、ネクと同種か? いや、それ以上の……)

「アナタ……ウチのモンじゃないですよね?」

 ネクが問いかけると、男は微笑む。

「ええ。でも、アナタたちと違って、観察される側ではなく“観察する側”の席にずっと座っていたんですよ。……同じ皿には、乗りたくないので」

「……ッ」

 その言葉に、ネクがほんの僅かに口元を引きつらせる。

「──名乗れよ。オレはネク。一応、礼儀ってもんがあるんじゃないです?」

 男は、ゆっくりとネクに向き直った。

「名前、ですか」

 そして──静かに、低く答える。

「クラヴィス……だったかな。これが、ボクの名前です」

 新たなる影、クラヴィス。

 そしてこの瞬間、セセラが踏み込んでしまった戦場は、もはやでは測れない領域へ突入する。

「クラヴィス……ねぇ」

 ネクは唇の端を歪めながら、一歩だけ後ずさった。
 指先には力がこもっている。だが、その目は珍しく相手の動きを警戒していた。

「で、そのクラヴィスさんは……何しにここに?」

「“観察”と“回収”ですよ。観察はもう済みました。次は……素材の鮮度が落ちる前に、いただいておこうかと」

「素材って……」

 セセラが声を漏らす。

 クラヴィスはそれに気づいたように、ゆっくりとセセラに視線を向けた。

「アナタも……なかなかに面白い“壊れ方”をする精神を持っていますよね。それを見てました。でも、今はまだ食べ頃じゃない。……あの子たちと違って」

「……『あの子たち』……リルと、レイラか……!?」

「ええ」

 クラヴィスの瞳は、静かに、何の悪びれも無く言い放つ。

「アナタたちが封じていたはずの龍因子。それらは、既にボクの観察対象です」

 その瞬間、ネクの指がピクッ……と動いた。

「……おい、待てよ。『ボクの』?」

 微笑んだまま黙っているクラヴィス。

 セセラの鼓動が、ゆっくりと速くなる。

 『あの子たち』の因子。
 『観察』──そして、『ボクの』。

(こいつ……ネクの目的とも違う気がする……!)

「……ッ……!」

 セセラがクラヴィスを睨みつける傍で──。

「あんた、ひとりでこんなことを?」

 ネクが問う。

 その問いかけに、クラヴィスはただ、うっすらと笑みを浮かべたまま答えた。

「もちろん。晩酌というのは、ひとりでゆっくりやるのがいいんです」

 その瞬間、通路の奥、封鎖されていた鉄の扉がギィ……と自動的に開いた。

 冷たい風が吹き込む。

「……時間ですね。おしゃべりはここまで。素材の鮮度が落ちますから」

 クラヴィスは、両手を白衣のポケットに入れ、扉の方へとゆっくり歩いていく。

「……じゃあ、また。今度はもう少し、調理しやすくなってると嬉しいです」

「おい、待て!!」

 ネクが思わず声を荒げた瞬間──。

 扉が、閉じた。

 カシャン、と鋼鉄のロックがかかる。

「…………」

 煙の中、静寂が戻った。

 ネクは、僅かに息を呑みながらぽつりと呟く。

「……何なんですか、アイツ……」

 セセラもまた、壁に手をついて深く息を吐いた。

「…………」

(…………クラヴィス……どこかで見たことあったか……?)

 どこか拭えない違和感。

(俺たちの知らない存在が、まだ……いる──)

 戦場は広がっている。

 そしてその中心に──レイラとリルがいる。

「……チッ」

 ネクが舌打ちした。
 苛立ちを隠さない。彼の本来の気質が垣間見えた。

「…………はあ……」

 セセラは荒い息を整えながら、ゆっくりと壁から体を離す。

「……おい、禰寝ねじめくん」

「…………何ですか?」

「お前……あんな顔、すんのな」

「……は?」

 ネクはちらりとセセラを見た。
 右目は今、能力を発動していない。

「さっき……を見てる顔だった。あのクラヴィスって奴に」

「…………」

 一瞬、ネクが沈黙する。

 その沈黙が、全てを物語っていた。

「まさか、テメェでも把握してねえ存在がいるとは思わなかったぜ。やっぱり、お前の観察範囲にも限界があんだな」

「…………ふっ……」

 ネクは鼻で笑った。

「当たり前でしょ? この世界の全部を知ってるヤツなんていない。オレだって、神様じゃないんですよ」

 その言葉に、セセラがふっと目を細める。

(……神様、ね)

「……ただのスパイ野郎かと思ってたけど、お前も……上から見下ろされるのは気に食わねぇ性分か?」

「──それは」

 ネクは一瞬、目を伏せた。

以外にオレの上に立つ目があるのは……、気に食わないに決まってるでしょうが」

 その声には、微かな怒気が滲んでいた。

(……あの人?)

 セセラは思わず一瞬、息を止める。

(まあ……それは今はいい……。あいつ、自分の目が“全てを見通す”って信じてやがる。なのに、“視られる側”に回された)

「……で?」

 今度はネクが呟いた。

「薊野さんは、見たこと、どうするんです?」

「…………」

「また自分たちの責任って言って、“先生”とふたりで抱える気?」

 セセラは肩をゆっくりとすくめる。

「……そのつもりだった。けど……今回ばかりは違うな」

「ほう?」

が手ェ出す前に……の手で、止める必要があるかもしれねえ」

 その言葉に、ネクが「思いもよらなかった」という顔をした。

「……へぇ……。オレとに乗る気になりました?」

「は? 誰が乗るかよバカ。ただ、クラヴィスとかいうヤベェのが来た今……お前の首が飛ぶのはまだはえぇ、ってだけだ」

「ヒドいなぁ、薊野さん……。でも、気に入った」

 ネクはニヤリと笑う。

「オレは忙しいのでアイツのことは任せますよ……。頑張ってくださいね? アナタたちにはまた会いたいので」

 そして、ネクの姿は次の瞬間──煙と共にかき消えた。

「…………」

 セセラは、静まり返った通路にひとり立ち尽くす。

 その瞳の奥には、まだ揺らぎがあった。

(……クラヴィス……。何を、食おうとしてる……?)

 そしてその視線の先には、遠くにある療養エリア。

 ──あのふたりの休む場所。


 ◇


 午後の龍調査機関・療養エリア第12室。

「……ん、なんか、疲れが抜けねえ……」

 リルはソファに横たわりながら、頭の後ろで手を組んで天井をぼんやりと見上げていた。

 体温は平熱に戻っている。異常な龍化反応も、今のところ見られない。
 それでも体の芯に残る熱が、どこかしら不安を掻き立てていた。

「……まだ本調子じゃないのかもね」

 レイラは隣で湯呑みを片手に頷く。彼女もまた、目元にうっすらと疲労の色が残っている。

「そういえば……朝の検査、少しだけ引っかかってたんだって」

「……ああ。オレも結局そうだった」

 ふたりの言葉が重なる。

「変な空気も、まだ続いてるし……」

 ぽつりとレイラが呟いたその時。
 廊下の方から、小さめなノック音が聞こえた。

 ──コン、コン……

「あ、はーい」

 レイラが返事をすると、扉が開けられる。
 控えめに顔を出したのは、朝に検査を担当してくれたあの女性職員だった。

「レイラちゃん、リルくん……。ちょっとだけ、いいかな?」

「……?」

「さっき、薊野さんから通達があって……ふたりには、今後しばらく完全監視下で生活してもらうことになったの。再発防止のため……っていう建前だけど、実際は何か起きるかもしれないって」

「……何か、って……」

 レイラの問いのあとに、身を起こすリル。

「……それ、またオレらにしか起こらないことってやつか?」

 女性職員は、申し訳なさそうに眉を下げて頷いた。

「……ごめん。でも、これ以上は私にも……」

「……ううん、大丈夫。伝えてくれてありがとう」

 レイラが微笑みながら言うと、女性職員は小さく頭を下げて扉の向こうへ戻っていった。

 ──カチリ……

 扉が閉まる音がして、静寂が訪れる。

「……オレたち、またモノ扱いか」

 リルは乾いた声で呟いた。

「違うよ。ちゃんと……見てくれてる人もいた。朝だって」

 レイラの声は穏やかだったが、どこか芯の強さを感じさせた。

 リルはそれを聞いて、天井に向かってふぅと息を吐く。

「……なあ、レイラ」

「ん?」

「次、またあれが来たとき……オレ、たぶん一発じゃ立てねぇと思う」

「私も。……まだ、本調子じゃないから」

 ふたりの視線が、重なる。

「でも立つよ。必ず」

 静かに、だけど力強く。
 レイラがそう言ったとき、リルの口元に僅かな笑みが浮かんだ。

「……ん。オレも」

 その時だった。

 ──ピピッ……

 部屋の端末が、小さく警告音アラートを鳴らした。

「……また?」

 画面には、僅かに解析不能な波形──。
 しかもそれは、ふたりの部屋を中心に広がっていた。

「……おいおい……今度はから始まんのかよ……」

 リルの心底呆れたような苦笑に、レイラがそっと立ち上がる。

 ふたりの足元に、再び──不穏な霧のような気配が滲み始めていた。

「……なんか、この変な空気……重くない?」

 眉をひそめるレイラ。

 微かに肌に纏わりつくような違和感。
 まるで、室内の空気が水のように流れ始めている感覚。

「……これ、ヤバいな」

 リルも立ち上がった。

 ソファの下に影のような気配が広がっている──。

 触れるでもなく、揺れるでもなく、ただそこに

 そして。

 ──バチッ……!

 室内の照明が一瞬だけ揺らぎ、低く軋むような音を立てて明滅した。

「またかよ……! こないだまで、死にかけてたっつーのに……!」

 リルは自分の右腕を見やる。
 体温の上昇、爪の先の疼き。

 僅かに龍化の兆しが再び現れている。

「……レイラ」

「うん、感じてる。……いる。何かが、もうすぐそこに」

 レイラもまた、左目を手で押さえながら呼吸を整えている。

「でも……今度は、立ってる。私たち……自分の足で」

 ──バチン!

 今度は、完全に照明が落ちた。

 室内は非常灯だけが赤く灯り、緊急アラートのランプがゆっくりと点滅する。

 ──ピッ……ピッ……

 端末に緊急警告。

《未確認龍因子の反応。即時隔離処置を推奨》

「クソが……、こんなでっけえ機関のくせに、外からの侵入ひとつ防げねぇのかよ……! 経費どこに使われてんだ」

 リルは口を歪めながら、壁の収納から用意されていた“携帯式対龍装備ケース”を、蹴り飛ばして開ける。

「レイラ、後ろ! 来るッ!」

 ──ズゥ……ン……!

 部屋の奥の壁が、まるで溶けるように膨らんでいた。
 そこから──赤黒い霧と共に、“異形の龍の輪郭”が滲み出す。

「ッ──間に合え……!」

 リルはすぐさま装備を拾い上げ、レイラに投げる。
 レイラもそのタイミングで“対龍用の手甲”を手際よく両腕に装着。

「行ける?」

「……わかんねえ。でもやるしかない」

 ふたりは再び、背中を合わせて立つ。

 病み上がり。
 まだ完全じゃない。

 けれど──。

「リル」

「なに」

「今度こそ、私たちの手で倒そう。また目覚めたらベッドの上……なんて、嫌だもん」

「……だな。もう寝てるヒマねえし……、オレら、“素材”じゃねぇからな」

 その言葉と同時に──異形が牙を剥いた。

 ──ズシャアァッ!!

 その姿はまだ完全な形を成していない。
 ぼやけた輪郭、滑るような影の質感。
 だが、その殺気だけはあまりに鮮明だった。

「動きが、まだ曖昧だ……!」

 レイラは瞬時に分析し、床を蹴る。

 その両手、対龍用手甲が霧を裂きながらまっすぐ異形の頭部へ──。

 ──ガンッ!!

 が、手応えが無い。

「……ッ……空っぽ!?」

 一瞬だけ触れた“体”は、中身がスカスカだった。
 まるで、意志だけで動いている人形のような感触。

「……くっ、こんな形だけのやつ……!」

「でも放っとくと、他の部屋に回るぞ!!」

 叫びながらリルは、龍化した爪を立てて滑り込むように異形の側面から回り込む。

 ──ズシャッ……!!

 鋭く斬り裂かれた影のような龍の肉。
 しかし──霧がすぐにそれを修復するように巻き戻す。

「チッ……再生すんのかよ……!」

「ううん……違う! リル、これ……中身がないから再生じゃない。形状維持が外殻で行われてる!」

「外だけで保ってるってやつか……!」

「ってことは……中身を見つけて潰せば、止まるかもしれない!」

 ふたりの声が、一瞬で交錯する。

「行くぞ、レイラ!」

「うん……!!」

 真横から接近し、手刀のように爪で頭部の殻を削り取るリル。

 その内部に見えたのは──。

「……これ、眼球……!? いや、か……!?」

「そこだッ!」

 レイラがすかさず飛び込む。
 右手の手甲が、勢いよく突き出され──。

 ──バキィィンッッ!!

 異形のコアを撃ち抜いた瞬間、空間全体が波打つように歪んだ。

「消える……!?」

「……ああ。あいつの龍因子がバラけていく」

 霧が収縮し、異形の龍は断末魔すら無くその場に溶けていくように姿を消した。

 静寂──。

 ふたりは、肩で息をしながらその場に立ち尽くす。

「……倒せた、よな?」

「うん……たぶん、ね……」

「…………」

 パタン……とリルがソファに崩れた。

 レイラも、ふらりとその隣に座り込む。

「はあ……まだ、まともに動ける体じゃないのにね……」

「でも、やっぱ……寝てるより、戦ってる方がオレららしいな」

「ふふ……、ね……」

 しばしの静けさ。

 だが、ふたりとも感じていた。

 これは──まだ前菜に過ぎない。
 “本体”は、まだ現れていない。



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