RAID CORE

コヨタ

文字の大きさ
68 / 133
第16話 その微かな光を信じて

第16話・1 応えてくれた

しおりを挟む
 リルが収容されてから数日が経った。

 ──第七特殊解析棟。

 冷たく、光すら届かない静謐な観察室では、まだ目覚めないリルの記録が引き続き行われていた。

 モニターは常時、リルの脳波、体温、血中因子、再生反応を追い続けている。

 しかし、結果は変わらない。

「……脳波ゼロ。呼吸無し。ただ心臓は……断続的な電気反応。これを生きているとは、言いづらいな」

 医療班職員の報告に、室内が沈黙する。

 リルは今も仮死の淵にいる。
 あの日暴走を止められたまま、時間だけが進んでいた。

「先日から、紫苑レイラさんが毎日ここを訪れていますよね?」

 若手研究員のひとりが口を開く。

「『自分の声に反応した気がした』と……記録に残ってます。その1件のみですが」

「……『気がした』……、それは……精神的ショックからくる錯覚だろう」

 そう即答したのは年配の分析官。

「彼女も限界状態だったんだ。都合よく反応があったと思い込みたかっただけなのでは」

 別の職員が返答した。

「……でも、紫苑さんにだけ見えたのなら、それはもう何かの可能性があると考えるべきじゃないですか? 紫苑さんと紅崎さんには……間違いなく、見えない繋がりがある」

 静かに、しかし確信を持った声が、室内の空気を少し揺らす。

 その言葉に、誰もがふと息を呑んだ。

 モニターの隅──職員たちの背後で、小さな影が座っている。

 ──シエリ。

 所長であり、すべての記録を管理する者。

 だが、シエリは口を開かない。
 ただその瞳だけがまっすぐに、眠るリルを見ていた。

「…………」

(希望なんて、奇跡なんて、期待するようなものではない)

(しかし、あの子たちは……これまで何度も奇跡を起こしてきた)

 過酷な任務、暴走、絶望。
 それでもなお、繋がりだけは切れなかった仲間たち。

 だから。

「見届けよう」

 小さな呟きに、誰も反論しなかった。

 シエリは椅子の背にもたれ、ほんの少しだけ目を細める。

「目を覚ましたら、ちゃんと叱ってやるんだからな」


 ◇


 ──朝の光が、薄く射し込むレイラの自室の窓辺。
 その傍のベッドで横になっているレイラの連日の疲れは、まるで体に染み込んだように重かった。

 けれど、それ以上に──胸の奥のざわつきが静まってくれない。

「…………」

 ゆっくりと立ち上がる。
 私服の上から羽織った薄い上着のポケットに、無意識に手が入った。

「……今日はリル、どうしてるかな……」

 自分の声が、やけに静かに部屋に響く。

 あの日のリルの反応は気のせいかもしれない。

 でも、気のせいじゃないと思いたい。そう思わずにはいられない。

 歩き出す。足取りは重い。
 このまま会いに行けば、また絶望するだけかもしれない。

 けれど──。

「見届けなきゃ。……私が、ちゃんと」

 そう、小さく呟くようにして、レイラは静かにドアを開けて自室を後にする。

 しばらく施設内を歩き、奥の方の廊下まで進んでいくと、遠くに見えたのはあの頑丈な扉。

 その奥に、特殊解析棟。

 カードキーでしか入れない、限られた人間しか通されない領域。

 レイラは既にその“限られた人間”となっていた。

 扉のロックにカードキーと生体認証が読み取られ、扉が解錠される。

 ──ピッ

 静かな機械音のあと、レイラは扉を開けて中に足を踏み入れた。

 相変わらずそこは、静まり返った冷たい聖域のよう。

 モニターが並び、職員たちは誰ひとりとして声を上げず、淡々と作業を続けていた。
 しかし、全員の視線がどこか緊張に張り詰めているのが、肌でわかる。

 そして、その視線の先。

 現在はガラスケースではなく、白い医療ベッド。
 何も隔てるものは無い。

 ただリルが、死んだようにそこにいるだけ。

「…………っ……」

 レイラは小さく息を呑む。
 昨日と、一昨日と、その前の日と同じ──いや、昨日より更に生きていないように見えた。

 細い体に何本ものコードが繋がれ、機械と職員に囲まれて、それでもリルは目を覚まさない。

 職員の数人が、レイラの存在に気がつく。

「……お、お疲れさまです。紫苑です。……少しお邪魔します」

 職員たちに詫びながらゆっくり近づくと、未だ震える手でリルの右手にそっと触れた。

 冷たすぎる手。

 だが、龍因子が微々たる反応を示している以上死んではいないので、腐敗はしない。
 故に冷却システムは必要無いが──生きているようにも到底見えない。

「リル……」

 呼んでも、何も返ってこない。

 けれど。
 あの日、あの時。
 指が、微かに、動いたように見えたのだ。

 信じたい。

 信じるしか、できない。

「……私さ、怖いんだよ」

 ぽつりと、独り言のように言葉が落ちた。

「リルが……目を覚まさなかったらって……こないだの反応が、全部、私の思い込みだったらって」

 それでも、瞳はリルから逸らさなかった。

「でも……それでもいい。私、何度だって言うから。……ちゃんと伝えるから」

 レイラはほんの少し、顔を上げる。
 声を張るでもなく、ただ穏やかに、優しく。

「……起きて、リル……まだ、終わってないよ」

 そのときだった。

 ──ピッ……

 モニターの数値が、一瞬だけ僅かに上昇する。

 職員たちが顔を見合わせる。
 レイラは気づかない。
 それでも、レイラのその声が、確かに何かを揺らしたのだ。

 数値はすぐに平常値へと戻ったが、職員たちは見逃さなかった。

「今、心電……?」

「微弱だけど、反応があった……?」

 誰かが呟いたその声が、レイラの背を震わせる。

「……!」

 レイラは振り返らない。
 目の前のリルから視線を逸らさず、今度は両手でその右手を包む。

「……やっぱり、リル……ねぇ、聞こえてたんでしょ……!? あの日も……今も……!」

 目元が熱くなる。
 張り詰めていたものが、少しだけほどけていく。

「私は……っ」

 声が詰まりかけた。
 だが、止まらない。

「リルに、たくさん助けられてきた。守ってもらった。でも私は、そんなあなたを何度も傷つけた……」

「……でも……それでも、今度は私が、リルを守りたいんだよ……!」

 涙が、頬を伝う。

「……今更かもしれないけど……あなたが、生きててくれるだけでいいって……思ってる……」

 言葉は震えながらも、まっすぐだった。

 そしてその瞬間。

 ──ピ……ッ

 音。
 再び、明確に鳴った。

 今度は数値だけじゃない。

 リルの指先が、微かにピクリと動いた。

「……っ!?」

 それを見たレイラの瞳が大きく見開かれる。

「今……動いた……! リル……!」

 慌てて横の通信装置に駆け寄る職員。

「生命反応確認! 微弱な神経伝達あり! これは……!」

「再生系統が……再び稼働してきてる!? 龍因子の暴走は見られません……! これは……」

 混乱する現場の中。
 ただひとり──レイラは唇を噛みしめ、震える声でもう一度名前を呼ぶ。

「……リル」

 ──その声に応えるように。

 白いベッドの上。

 リルの瞼が、ほんの僅かに──揺れた。

 それはまだ、夢かもしれないほど儚くて。
 だが、確かに命が、ここに在ると告げていた。

「……!!」

 それだけで、レイラの時間は止まったように感じられた。

「リル……? ねぇっ、聞こえる? レイラだよ……っ」

 震える声。
 頬を伝う涙も拭わず両手でリルの右手を握ったまま、その生気の無い顔を見つめる。

 医療班は既に動き始めていた。
 麻酔量の調整、呼吸補助の再評価、神経系統の再活性化プログラム──。

 静寂だった空間が、急にに変わり始める。

「眼球に反射あり! 瞼、もう一度反応……!」

「このままいけば……! 神経系、少しずつ戻ってきてる……!」

 その声を聞いても、レイラは胸の奥が苦しくなるばかりだった。

「…………ッ」

 嬉しいはずなのに、怖い。

 このまま、何も言わずに、リルがまた眠ってしまうのではないかと。

 でも。

「お願い、起きて……リル」

 その一言に呼応するように、再び、リルの瞼が震えた。

 そして──。

「……ッ……ぅ……」

 微かに、空気が喉を通る音。

「っ……リル……!? リル!!」

 レイラが叫ぶのと、同じタイミングだった。

 リルの赤い瞳が、ゆっくりと──。

「…………」

 ほんの少しだけ開かれた。

 眩しそうに細めるようにして、それでも確かに視線が動く。
 意識はまだ朦朧としている。言葉も出ない。

 けれどその目は、確かにレイラの方を見ていた。

「……っ!!」

「……りる、っ、……!!」

「うう……っ……!!」

 レイラの顔がくしゃりと歪む。
 もう涙を止められなかった。

 頬を、顎を、首筋を濡らしながら、ただ泣きじゃくる。

 ベッドの上、数多のコードが繋がれたリルは口元だけを、僅かに動かす。

「……、…………」

 声にはならなかったが、唇が確かに──『レイラ』と形を作った。

「……!!!」

 たったそれだけのことが、レイラには世界を救うほどの奇跡に見えていた。

「……っ、バカ、リル……! 遅いよ……どんだけ心配させたと思ってるの……!! うぅっ、ひぐっ……!!」

 レイラはもう、叫ぶように泣いていた。
 嬉しくて、安堵して、まだ信じられなくて。

 でも──今、確かにリルは生きている。

 そして、また……この世界で、リルと共に歩めるかもしれない。

 その希望が、ようやくレイラを救っていた。

 ほんの一瞬でも、確かに動いた唇。
 レイラは涙を止めることができず、それでも未だ横たわるリルに全ての感情を注ぎ込む。

「……ごめんッ、ごめんね、リル……! 本当はずっと、怖かった……! 私、どうしていいかわからなくて……!」

 そのとき、誰かがレイラの背に手を添えた。

「……!」

 振り向くと、そこにはシエリの姿。

 小さな体に似合わない静かな威厳を持ちながら、淡く目を細める。

「……この子は、キミの声に応えた」

 シエリの声はいつもと同じ調子だったが、その瞳には確かに、どこか安堵の色が滲んでいた。

 レイラは言葉を失ったまま、涙に濡れた笑顔を見せる。

 ──すると、もうひとつ。
 力無くもスラッとした足音が聞こえてきた。

「……レイラ」

「薊野さん……っ」

 シエリの後からやってきた、セセラだった。

「……あいつの蘇生反応は確かだ。だがな……まだ安心はできねえ」

「……っ……」

「神経系の損傷が深い……体全体の機能もまだ不安定だ」

 冷静に、正直に、低く告げる。

 セセラの目には濃い隈が浮かび、まるで何日も眠っていないような憔悴が見えた。
 それでも、リルの方を見つめる視線は、諦めない強さを宿している。

「……回復は始まったばかりだ。そこから持ち直せるかどうかだよ」

 セセラのその冷徹な言葉に、レイラはようやく小さく頷いた。

 涙の痕がくっきり残る顔で、それでもレイラは前を向く。

「……わかってる。でも、始まったってことが……今は、すごく、嬉しい……」

「…………」

 しばらくの沈黙。

 職員たちがリルに集まり、改めて数値の安定を確認する。

 リルの体は未だ微動だにしない。
 薄く目は開かれているが、まるで眠っているような──静かな、静かな

 でも。
 もう、先程までの仮死状態ではない。

 確かに、ここに生が灯り始めていた。

「レイラちゃん、少しだけ……席を外そうか」

「……っ、ラショウ……!?」

 ふと、ラショウの声。
 いつの間にか、彼女もここに来ていた。

「ずっとここにいたら、体がもたないよ。……今は専門の先生たちに任せて、少しだけ……休もう?」

 ラショウの手が、優しくレイラの手に重なる。
 その手の温度がまるで兄アシュラのように、芯のある強さを持っていた。

 レイラは、ほんの一瞬だけ悩む。
 しかし、リルの穏やかな呼吸音を耳に入れると、小さく「……うん」と頷いた。

 最後にもう一度、リルの名前を心の中で呼ぶ。

(……リル、待っててね)

 すると、リルの瞼がゆっくりと閉じられるのが見えた。

 今度は、安心して眠るかのように。

 微かに、……微かに。
 繋がれた命が、確かに未来へと歩き出していた。

 ──レイラとラショウが退室し、扉が音も無く閉ざされる。


 ◇


 特殊解析棟の中に残った緊張とは裏腹に、外の空気はどこか張り詰めたものがけていた。

 ラショウはレイラの隣を、少しだけゆっくりと歩く。
 レイラの足取りはまだ重く、時折、立ち止まっては深呼吸をした。

「……泣きすぎて、顔汚いかも」

 そう言って、レイラは袖で乱暴に目元を擦る。

「大丈夫。レイラちゃんは、……すごく綺麗だったよ」

 少し照れたように笑いながら、ラショウはそう返した。
 レイラは「なにそれ」と小さく笑って、それでも俯いたまま。

「……リルが、反応してくれて……ほんと、よかった」

「……うん。私も、心からそう思った」

 ラショウの返事は、穏やかであたたかい。

 しばらくふたりは、言葉も無く並んで歩く。

 そしてふと、ラショウは足を止めると、少しだけレイラの方に身を寄せた。

「ねぇ、レイラちゃん」

「……ん?」

「レイラちゃんを見て、やっぱり思ったんだ。……強さって、誰かを守るために出るんだね」

 レイラはその言葉に、瞬きをしてラショウを見上げる。

「私には、まだ怖いこともたくさんあるけど……でも、レイラちゃんがああして泣いてくれて、祈ってくれて、声をかけて……」

「それでリルくんが目を覚ましたのなら、それだけで救われる人って……絶対にいるんだよ」

 ラショウはまっすぐな目でレイラを見つめていた。

「だから、ね? 今日は少しだけ甘えてもいいと思うよ」

「……甘える、か……」

 レイラは苦笑しながらも、少しだけその場にしゃがみ込む。

「……私、思ったよりずっと弱いのかも」

「ふふ……そうかな? でも、強いところがたくさんあるよ」

 ラショウも隣にしゃがみ込み、膝を抱えた。

 そして、少し照れたように笑って──。

「私ね、レイラちゃんのこと……すごく頼りにしてるんだ」

 それは、優しさだけじゃない。
 信頼と、敬意と、そして同じ戦場を歩く仲間としての誇りのような響きだった。

 レイラの肩が僅かに震えたあと。
 ゆっくりと顔を上げ、泣き腫らした目のままそれでも小さく笑う。

「ありがとう、ラショウ……」

 ふたりの影が、廊下の明かりに包まれて寄り添う。
 その静かな時間が、確かに少女たちの絆を強くしていた。



しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

花鳥見聞録

木野もくば
ファンタジー
花の妖精のルイは、メジロのモクの背中に乗って旅をしています。ルイは記憶喪失でした。自分が花の妖精だったことしか思い出せません。失くした記憶を探すため、さまざまな世界を冒険します。

処理中です...