秘密の男装令嬢は貴族学校へ行く

ミント

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ハルトの気持ち

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早朝馬車を出しアラン邸に向かう。
馬車の中で俺は苦悩していた。
昨日からリアムの女装姿が忘れられないのだ。
「なんだってリアムなんだ…アイツは男だ。男。」
一人で呟いてみる。
いつからだろうか。
一人でいる事が当たり前だった自分が、いつの間にか隣にアイツがいるのが心地よいと感じる様になったのは…。


面倒な事には関わらない様に過ごしていたのにな…。



いや、今回の件に関わったのは、兄上が絡んでいたからだ。
それに王家の人間を守るのは公爵家の人間として当たり前だし…。
リアムは他のとは異質だから気になるだけだ。
魔力持ちって言う共通点があるから気になるんだ。
昨日のリアムが可愛すぎたから気になるだけだ!
いや、兄上が…


「はぁ~」
堂々巡りの末、深い溜息をついたところで馬車が止まる。
「ハルト様、到着いたしました。」
従者が無情にも到着を告げる。
そして隅に置いてあるトランクが目に入り、大きく頷いた。

「今出る。」
そう従者へ告げると、とびらが開けられた。

そしてその扉の向こうには、目を丸くしたリアムが立っていた。

「な、ハルト?どうしたの?」
驚いているリアムの顔もなかなかいいね。
「いや、これを届けようと思ってね。」
そう言ってトランクを差し出す。
「あっ、ありがとう!わざわざ届けに来てくれたの?」
「寮に持ち込む事に悩んでね。だから持ってきたんだ。」
「確かに、ちょっと置いて来るから待っててくれる?」
そう言ってリアムはトランクを持って出てきた門を再度潜って入って行った。
我ながら今日ここへ来た理由としては完璧だったよな?
それにしても…なんだか落ち着かないな。


しばらく待つが中々戻って来ないリアム。
待ち切れず門に近付く。
遠くでリアムが車椅子の人物に抱きついているシーンが見えた。顔はよく見えないが多分若い男のようだ。

何故か見てはいけないものを見てしまった感覚に陥り慌てて門から離れ馬車に戻る。
なんだかわからないが、心が乱されているのを感じた。

程なくして、リアムが戻って来た。

「お待たせ。」
笑顔で言うリアムに返事をするのがやっとだった。
「あぁ。」

何故だか心がざわついていた。
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