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近付く距離
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「リアム、おはよう。」
教室に入るとカイルが声を掛けてくれて、何故かホッとしてしまった。
「おはよう。カイル。」
「週末は収穫あったか?」
少し小声でカイルが聞いてきた。
「どうだろう?やれることはやったけど、まだ結果としては出ていないよ。」
「そっか。リアムが疲れた顔して教室に入ってきたからさ、週末大変だったんだろ?」
そんなに疲れた顔してたのか。でも理由はそれじゃないな…。
「そこまで大変でもなかったよ?女装してちょっと魔法使って目立っただけだよ?」
そう言うと、
「女装?お前の妹そっくりになったか?」
と何故か前のめり気味に聞かれました。
「あぁ、そりゃそうだと思うよ?」
私だしね。
「俺もお前の女装見たかったな!週末こっそり見に行けば良かったなぁ~。」
カイルが何故か悔しがってます。
「なんだよそれ。」
「そりゃ、リアムの妹に興味あるからだよ。」
そう言ってカイルは私の肩をバシッと叩いてきた。
「痛いんだけど。てかなんで僕の妹に興味があるんだよ。」
「そりゃ、俺だってそろそろ婚約者探ししなきゃだし、だったら可愛い子がいいだろ?お前の双子の妹だったら間違いないじゃん?ってなんでお前顔が赤いんだよ?」
どうやら私、赤面してたらしい。
だってカイルが可愛いとか言うから…
「なんでもないよ!ってか勝手に婚約者とか辞めてくれよ。」
そんな事をカイルと教室で騒いでいたら、
「どいて。」
と後ろから低い声がした。
振り向くとハルトがいた。
「男同士で戯れてるなよ。」
そう言って教室から出て行ってしまった。
「なんだよ。アイツトイレか?」
なんてカイルは言ってるけど、私はハルトがまだ怒っている事だけはわかった。
「ちょっと行ってくるよ。」
カイルにそう言ってから、私もハルトの後を追う。
ハルトの背中は見えてきたけど、足の軸が違うからなかなか追いつけない。
階段を上がっていく。
ハルトは屋上にいた。
「ハルト。待って!」
私は声を出していた。
ゆっくりとハルトが振り向く。
「なんで付いてきた?」
鋭い目でこっちを見るハルト。
「ハルト。なんで怒っているの?」
私も負けじと質問した。
「怒ってる?俺が?」
ハルトは驚いた顔をした。
「自覚なかった?ハルト、今日馬車からずっと怒っているみたいだよ?僕何かした?」
なんで怒っているのか全くわからない。
「俺怒ってたか?…そうか。いやちゃんと自覚はしてなかったな。そうだな、自分でもわからないんだが、お前が誰かと仲良くしてるとイライラするみたいだ。」
ゆっくりと少し小さな声でハルトが言う。
「それって…」
「俺さ、友達と言える存在はお前が初めてなんだよ。だから多分…」
いつになく自信無さげなハルト。
「友達と言ってくれてありがとう。僕も友達1号はハルトだよ!心細く思う中、この学校に来て、ハルトに出会えてさ、魔法も使えるようになったし、犯人探しも出来てる。君がいるだけで本当に安心だしね。出来れば、カイル達とも友達になれたらいいな。せっかく身分関係無く話が出来る学校にいるんだから!」
しばらくハルトは下を向いていたけど、
フッと顔を上げて大股で二歩私に近づいてきた。
目の前にハルトがいる。
ガバッと何故かハルトの腕の中にいる私。
「ハルト?なっ、どうしてっ」
慌てる私に御構い無しのハルトは
「そうだな。せっかくだもんな。お前のお陰でいろんな経験が出来そうだよ!これからも頼むよ!」
そう言うとさっと離れて屋上から出て行った。
私はしばらく動けなくなってしまった。
教室に入るとカイルが声を掛けてくれて、何故かホッとしてしまった。
「おはよう。カイル。」
「週末は収穫あったか?」
少し小声でカイルが聞いてきた。
「どうだろう?やれることはやったけど、まだ結果としては出ていないよ。」
「そっか。リアムが疲れた顔して教室に入ってきたからさ、週末大変だったんだろ?」
そんなに疲れた顔してたのか。でも理由はそれじゃないな…。
「そこまで大変でもなかったよ?女装してちょっと魔法使って目立っただけだよ?」
そう言うと、
「女装?お前の妹そっくりになったか?」
と何故か前のめり気味に聞かれました。
「あぁ、そりゃそうだと思うよ?」
私だしね。
「俺もお前の女装見たかったな!週末こっそり見に行けば良かったなぁ~。」
カイルが何故か悔しがってます。
「なんだよそれ。」
「そりゃ、リアムの妹に興味あるからだよ。」
そう言ってカイルは私の肩をバシッと叩いてきた。
「痛いんだけど。てかなんで僕の妹に興味があるんだよ。」
「そりゃ、俺だってそろそろ婚約者探ししなきゃだし、だったら可愛い子がいいだろ?お前の双子の妹だったら間違いないじゃん?ってなんでお前顔が赤いんだよ?」
どうやら私、赤面してたらしい。
だってカイルが可愛いとか言うから…
「なんでもないよ!ってか勝手に婚約者とか辞めてくれよ。」
そんな事をカイルと教室で騒いでいたら、
「どいて。」
と後ろから低い声がした。
振り向くとハルトがいた。
「男同士で戯れてるなよ。」
そう言って教室から出て行ってしまった。
「なんだよ。アイツトイレか?」
なんてカイルは言ってるけど、私はハルトがまだ怒っている事だけはわかった。
「ちょっと行ってくるよ。」
カイルにそう言ってから、私もハルトの後を追う。
ハルトの背中は見えてきたけど、足の軸が違うからなかなか追いつけない。
階段を上がっていく。
ハルトは屋上にいた。
「ハルト。待って!」
私は声を出していた。
ゆっくりとハルトが振り向く。
「なんで付いてきた?」
鋭い目でこっちを見るハルト。
「ハルト。なんで怒っているの?」
私も負けじと質問した。
「怒ってる?俺が?」
ハルトは驚いた顔をした。
「自覚なかった?ハルト、今日馬車からずっと怒っているみたいだよ?僕何かした?」
なんで怒っているのか全くわからない。
「俺怒ってたか?…そうか。いやちゃんと自覚はしてなかったな。そうだな、自分でもわからないんだが、お前が誰かと仲良くしてるとイライラするみたいだ。」
ゆっくりと少し小さな声でハルトが言う。
「それって…」
「俺さ、友達と言える存在はお前が初めてなんだよ。だから多分…」
いつになく自信無さげなハルト。
「友達と言ってくれてありがとう。僕も友達1号はハルトだよ!心細く思う中、この学校に来て、ハルトに出会えてさ、魔法も使えるようになったし、犯人探しも出来てる。君がいるだけで本当に安心だしね。出来れば、カイル達とも友達になれたらいいな。せっかく身分関係無く話が出来る学校にいるんだから!」
しばらくハルトは下を向いていたけど、
フッと顔を上げて大股で二歩私に近づいてきた。
目の前にハルトがいる。
ガバッと何故かハルトの腕の中にいる私。
「ハルト?なっ、どうしてっ」
慌てる私に御構い無しのハルトは
「そうだな。せっかくだもんな。お前のお陰でいろんな経験が出来そうだよ!これからも頼むよ!」
そう言うとさっと離れて屋上から出て行った。
私はしばらく動けなくなってしまった。
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