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1章
3話
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この世界に転生してきて、俺はたくさんの人に世話になりながら今日まで生きてきた。基礎的な礼儀作法を物理的に叩き込んでくれたギルドマスター、ギルドの受付のおばあさんにはまともな仕事が回ってこず、ご飯を食べることができないような頃に、食べ物をもらったりした。その中でも特に世話になったのがミーアだ。この世界に来てから一週間、食べるものに困り、ごみ箱を漁ってその日の食事を賄っていたころ
「それよりも美味しいものを食いたくないかニャ?あたしについてくればその方法を教えてやるニャ」
それ以来、文字の読み書きや格闘術、ナイフ術、危険な依頼の見分け方など、本当に多くのことを彼女から学んだ。彼女がなぜ俺を拾ったのかは分からないが、おかげで美味い飯を食うことができている。
「ニャ~、レイちゃんいいじゃニャいかニャ~」
「おい、俺はレイちゃんとやらじゃないし抱き着いてくるな。酒臭い」
私生活がこれでなければなあ……
まだ抱き着いてこようとするミーアをひっぺはがして、手元にあった水を頭にかける。
「目は覚めたか?」
「にゃ?さっき最近行ってる娼館の子がいたような?」
「気のせいだろ。それより明日の依頼の話だが」
気を取り直して本題に入る。
「明日の依頼?ああ、エリナちゃんの護衛のことかニャ?エリナちゃんは堅苦しいのは嫌いだから、気軽に話しかけるといいニャ~」
さすがに無理だ。いくらなんでもそんなことをしたら首がとぶ。物理的に。というより一国の妃を気安く「エリナちゃん」なんて呼べる彼女はどんな神経をしているのだろうか。
「……あのおっさんから俺のほかにも護衛がいるって聞いたんだが。」
おっさんというのはギルドマスターのことだ。「失礼なことをするなよ」というありがたい言葉とともにその話を聞かされた。
「セツナちゃんのことかニャ?あーいう子が好みなんニャね。ちなみにスリーサイズは上からはち「違う!」……え?まさかエリナちゃんかニャ?さすがに国王陛下から寝取るのは……」
もう一杯水をぶっかけておいた。大体、一度も会ったこともない人間だ。こういうことしか頭にないのかこの色情猫は。
「冗談冗談ニャ。それでセツナちゃんの何が聞きたいのにゃ?」
「どんな人なんだ?話を聞くに女の人みたいだが。」
「あたしとは正反対で真面目ニャ。文武両道、品行方正、悪い話はあんまり聞かないし、あたしみたいな人間でも差別しない、いい子ニャ」
自分が不真面目という自覚はあったらしい。しかしひねくれた考えかもしれないが、そこまでいい子だと言われると実は……ということがあるのではないかと勘ぐってしまう。
「まあ、言いたいことはなんとなくわかるニャ。だけど貴族なんてちょっとでも隙を見せたらアウトニャ。王妃に仕えるとなったらなおさらニャ」
「そんなもんか」
世知辛いな。貴族の家に生まれ変わらなかったことに感謝しつつ話を続ける。
「ところで、護衛というからには腕は立つのか?」
「当然ニャ。男も含めて同年代じゃ敵なし、なんて言われてたニャ。あたしも模擬戦をしたけど負けちゃったニャ」
驚いた。比較対象が少ないから正確なことは分からないが、決して彼女は弱くない。少なくとも俺は何百回も模擬戦をしたが、勝った試しは一度もない。
「……それだけ強いなら俺は必要ないんじゃないか?」
すっかりぬるくなってしまったぶどうジュースを飲みつつ俺は尋ねた。
「正面切って戦うだけが戦いじゃないニャ。そんな世界なら、あたしやあーちゃんなんか一瞬であの世行きニャ。」
確かにその通りだ。俺やミーアは無警戒な連中にこっそり近づいて不意打ちを叩き込むという戦術を中心に戦う。これは、もともと猫だった俺にもピッタリ合う戦い方だった。転生ボーナスという奴なのだろうか、夜目がきいたり、耳が良かったり、体が柔らかく、少し訓練するだけで物音を立てずに歩けるようになったり、猫だったころの身体能力に近い能力が俺には備わっている。こんな仕事をするのにはこれ以上ない能力だ。睡眠時間が多くなりがちなことだけは欠点だが……
そうひとりごちているとミーアが、それに、と話を続ける。
「残念ながら襲ってくるのはごろつきだけじゃないのニャ。物騒な世の中ニャ」
「ほかにも襲ってくる奴らがいるのか?」
「あーちゃんは、うち以外の裏ギルドを知っているかニャ?」
俺は首を横に振り、否定の意を示す。そんなものがあったとは知らなかった。
「裏ギルドは私たちがいるあのギルドだけじゃないのにゃ。うち以外にもこういう仕事を取り扱ってるところはあるし、うちより危ないことをしてるやつらはたくさんいるニャ」
「王族の暗殺なんて危ないことを依頼してくる奴らがいるのか?」
依頼したことがばれるだけで死罪間違いなしだろう。そこまでして王族を殺したいような奴らがいるのか?
「さあニャ、だけど実際素人じゃない奴らが来たこともあったニャ。気を付けておいて損はないニャ。あ、お姉さん追加でビール一つニャ!あと……」
追加のビールとおつまみを注文し始めた。どうやらそれ以上答えるつもりはないようだ。仕方ないので他の話を振る。
「ところで、そんなに飲んでていいのか?明日、仕事があるんだろ?」
「ニャ?ああ、明日の仕事は友人の護衛だから多少酒臭くても大丈夫ニャ」
「……まあほどほどにしとけよ」
そういいつつ俺はため息をつくのであった。
「それよりも美味しいものを食いたくないかニャ?あたしについてくればその方法を教えてやるニャ」
それ以来、文字の読み書きや格闘術、ナイフ術、危険な依頼の見分け方など、本当に多くのことを彼女から学んだ。彼女がなぜ俺を拾ったのかは分からないが、おかげで美味い飯を食うことができている。
「ニャ~、レイちゃんいいじゃニャいかニャ~」
「おい、俺はレイちゃんとやらじゃないし抱き着いてくるな。酒臭い」
私生活がこれでなければなあ……
まだ抱き着いてこようとするミーアをひっぺはがして、手元にあった水を頭にかける。
「目は覚めたか?」
「にゃ?さっき最近行ってる娼館の子がいたような?」
「気のせいだろ。それより明日の依頼の話だが」
気を取り直して本題に入る。
「明日の依頼?ああ、エリナちゃんの護衛のことかニャ?エリナちゃんは堅苦しいのは嫌いだから、気軽に話しかけるといいニャ~」
さすがに無理だ。いくらなんでもそんなことをしたら首がとぶ。物理的に。というより一国の妃を気安く「エリナちゃん」なんて呼べる彼女はどんな神経をしているのだろうか。
「……あのおっさんから俺のほかにも護衛がいるって聞いたんだが。」
おっさんというのはギルドマスターのことだ。「失礼なことをするなよ」というありがたい言葉とともにその話を聞かされた。
「セツナちゃんのことかニャ?あーいう子が好みなんニャね。ちなみにスリーサイズは上からはち「違う!」……え?まさかエリナちゃんかニャ?さすがに国王陛下から寝取るのは……」
もう一杯水をぶっかけておいた。大体、一度も会ったこともない人間だ。こういうことしか頭にないのかこの色情猫は。
「冗談冗談ニャ。それでセツナちゃんの何が聞きたいのにゃ?」
「どんな人なんだ?話を聞くに女の人みたいだが。」
「あたしとは正反対で真面目ニャ。文武両道、品行方正、悪い話はあんまり聞かないし、あたしみたいな人間でも差別しない、いい子ニャ」
自分が不真面目という自覚はあったらしい。しかしひねくれた考えかもしれないが、そこまでいい子だと言われると実は……ということがあるのではないかと勘ぐってしまう。
「まあ、言いたいことはなんとなくわかるニャ。だけど貴族なんてちょっとでも隙を見せたらアウトニャ。王妃に仕えるとなったらなおさらニャ」
「そんなもんか」
世知辛いな。貴族の家に生まれ変わらなかったことに感謝しつつ話を続ける。
「ところで、護衛というからには腕は立つのか?」
「当然ニャ。男も含めて同年代じゃ敵なし、なんて言われてたニャ。あたしも模擬戦をしたけど負けちゃったニャ」
驚いた。比較対象が少ないから正確なことは分からないが、決して彼女は弱くない。少なくとも俺は何百回も模擬戦をしたが、勝った試しは一度もない。
「……それだけ強いなら俺は必要ないんじゃないか?」
すっかりぬるくなってしまったぶどうジュースを飲みつつ俺は尋ねた。
「正面切って戦うだけが戦いじゃないニャ。そんな世界なら、あたしやあーちゃんなんか一瞬であの世行きニャ。」
確かにその通りだ。俺やミーアは無警戒な連中にこっそり近づいて不意打ちを叩き込むという戦術を中心に戦う。これは、もともと猫だった俺にもピッタリ合う戦い方だった。転生ボーナスという奴なのだろうか、夜目がきいたり、耳が良かったり、体が柔らかく、少し訓練するだけで物音を立てずに歩けるようになったり、猫だったころの身体能力に近い能力が俺には備わっている。こんな仕事をするのにはこれ以上ない能力だ。睡眠時間が多くなりがちなことだけは欠点だが……
そうひとりごちているとミーアが、それに、と話を続ける。
「残念ながら襲ってくるのはごろつきだけじゃないのニャ。物騒な世の中ニャ」
「ほかにも襲ってくる奴らがいるのか?」
「あーちゃんは、うち以外の裏ギルドを知っているかニャ?」
俺は首を横に振り、否定の意を示す。そんなものがあったとは知らなかった。
「裏ギルドは私たちがいるあのギルドだけじゃないのにゃ。うち以外にもこういう仕事を取り扱ってるところはあるし、うちより危ないことをしてるやつらはたくさんいるニャ」
「王族の暗殺なんて危ないことを依頼してくる奴らがいるのか?」
依頼したことがばれるだけで死罪間違いなしだろう。そこまでして王族を殺したいような奴らがいるのか?
「さあニャ、だけど実際素人じゃない奴らが来たこともあったニャ。気を付けておいて損はないニャ。あ、お姉さん追加でビール一つニャ!あと……」
追加のビールとおつまみを注文し始めた。どうやらそれ以上答えるつもりはないようだ。仕方ないので他の話を振る。
「ところで、そんなに飲んでていいのか?明日、仕事があるんだろ?」
「ニャ?ああ、明日の仕事は友人の護衛だから多少酒臭くても大丈夫ニャ」
「……まあほどほどにしとけよ」
そういいつつ俺はため息をつくのであった。
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