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最終章:無彩色な貴方に恋をしました。
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しおりを挟む父はどうするつもりなんだろうか。わたしには解決策の糸口が見えないけれど、父の表情からは動揺は窺えない。
もしかして何か考えがある……?
「役員達から話は聞いてる。私のいない間に好き勝手やってくれたようじゃないか。ウチの経営にまで口を挟んで良いとは言っていないはず」
「そんなのは誤解ですよ。私は常に漣社長と会社のためを思っているので、困らせるような事など――」
「悪い噂を聞いている。何やら他との売買において不正があるようじゃないか」
”不正”と、父の発した言葉に、何も知らなかったわたしは思わず目を見開いて父に視線を向けた。
「な、何を仰っているんですか」
トドメの一撃だったのは明確だったようで、先程まで強気で攻めていた鮎沢社長だったのに父の発言に明らかな動揺を示し、燈冴くんが出したお茶に口をつけだした。
「少し調べさせてもらったが色々と真っ黒い事をしているみたいで。信用していただけに残念だよ」
確信を含む言い方をする父に無表情でその様子を見ている燈冴くん。
対して、鮎沢社長は焦りの色が隠せず、どう切り抜けて逃げようかとでも考えているように目が泳いでいる。
息子の彼の方はというと、平静さを失っている父を見て愕然。知らなかった事実だったんだと思う。
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