隣人はクールな同期でした。

氷萌

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第6章 想う方向性。

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その表情は眉間にシワを寄せ
とても険しいモノ。


「お前の様子が心配で気に掛けていたはずなのに…
 俺は…守ってやれんかった…
 あの瞬間…
 マジで死ぬのかって…
 怖くて動けなくなったんだ…
 マジで情けねぇよ…」


今度は苦渋の表情で
震える両手を見つめ唇を噛みしめる姿に
アタシは…


「ごめん…ずっと…」


言葉が詰まって
それしか言えない。

目の前で
人が車にぶつかるんだから
そのときの恐怖はきっと
目の当たりにしたコイツが1番
トラウマになるくらいに強烈な記憶として残る事。
そんなの当たり前なのに
アタシは今まで
そこまで考えてなかった…

煌月の苦しみを
理解してなかったんだ…


「俺はいい。
 七星が生きていたから…
 それが1番、大事な事だから。」

「煌月…」


もうずっと一緒にいるから
近くにいすぎてわからなかった。
もともと表に出す男じゃなかったし
いつだって笑って流す関係でいたから…
アタシは甘えていたんだね。


「七星…お前の笑顔も
 その明るさも
 俺は、守ってやりたいのにな」


 
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