隣人はクールな同期でした。

氷萌

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第6章 想う方向性。

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このままじゃいけない…

ちゃんとしっかり
言わなきゃ…な。


「ヒナコ、俺…
 マンションに戻る」

「…え?」


お互いの時間が
一瞬止まったような感覚に陥った―――


「どういう…事?」


目を見開いたまま瞬き1つせず
無表情で問い掛ける姿に
イヤでも“怒り”が伝わってくる。

それでも。
俺はこの関係を終わりにする事を決めていた。


「ここしばらく
 それを考えていて
 ようやく自分の中で答えが見つかった」


ケジメをつけないといけないって
目も覚めたんだ。


「考えるって、何を?
 答えってなんの事なの?
 私、そんなの全然知らないよッ!?」
 何も聞いてないよッッ!」


パニックになったのか
今にも過換気を起こしそうな勢いで
呼吸が乱れている。


「ヒナコ、ひとまず落ち着け。」


過呼吸になられたら
さすがに…な。


「だって…ッ」

「ヒナコ!」


悪い予想は的中したようで
急に荒い息遣いで苦しみ出してしまった。


「焦らず落ち着いて
 息をゆっくり吐け」


駆け寄り背中を摩りながら
なんとか呼吸を落ち着かせる事に意識させる。
 
 
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