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小話 〜後日談と、ある夫婦の会話〜
しおりを挟む~後日談~
「ガードン、シェル、おはよう! 昨日はごめんな? その分、今日は洞窟内探索頑張るから!」
宿屋の一階でガーデンとシェルを見つけたリューは、二人に駆け寄ると真っ先に謝った。
「おっ! リュー、おはよーさん。そんなん気にすんな。もう体調の方はいいのか? 熱出て寝込んだってアルから聞いたけど」
「あ……。――うん、大丈夫、ありがとう!」
「そりゃ良かった。お前さん体力無いんだし、気を付けろよ? やっぱり今度、一緒にトレーニングしようぜ! もちっと体力増やさなきゃな、お前さんは」
「んー……」
リューはガードンの誘いに言葉を濁すと、ニコ、と可愛い笑顔を見せた。
「その時はアルも一緒でいい? あいつもトレーニングやりたいって言ってたから」
「ん? ――おぉ、別に構わないぜ? 飯もしっかり食べろよ? お前さん見るからに細ぇし」
「うん、分かった。――あ、シェルも一緒にしよう? 魔法使いも体力は必要だしさ」
「私は汗を掻くのは遠慮したいですね。見学だけならいいですよ」
「えぇー?」
「コイツはんなこと絶対にしないぜ? 諦めろ、リュー」
ガードンが笑ってリューの頭をわしわしと撫でていると、不意にリューの身体が後ろに引っ張られた。
「楽しそうに何の話をしているんだ?」
リューの肩を抱いて引き寄せたのはアルだった。
整った美麗な笑みを浮かばせ、アルはリューを更に自分と密着させる。
「皆でトレーニングしようって話してたんだよ」
「ふぅん……。いいんじゃないか? 日にちが決まったら教えてくれ。――じゃ、そろそろ行くか」
アルはリューの肩に腕を回したまま歩き出す。
「……アル、くっつき過ぎ。少し離れろよ」
「そんなこと言って、嬉しいくせに」
「何でだよっ」
――そして、リューがアルを見上げた時、ガードンとシェルは見てしまった。
リューの首筋に、朱い痕があることを。
そして、リューが体調不良で一日休んだ理由も分かってしまった。
――その時、アルが振り向き、ガードンとシェルを見た。
フッと、人とは思えないほどの妖艶で妖美な笑みを向ける。
そしてアルはすぐにリューに視線を戻した。
その顔は、愛しい者を見つめる優しい表情で。
二人は、同時に思った。
『牽制』された――と。
「……なぁ、シェル。何かムカつくから、リューを思いっ切り構っていいか?」
「……アルに殺されてもいいならどうぞ。彼、攻撃魔法も回復魔法も剣技も使えるとんでもない万能剣士ですから」
「ホント人間かよアイツ!? 才能あり過ぎだろ!? リューもずっと独り占めしてるし理不尽だ!! 可愛い弟分としてメチャクチャ構いてぇのに!!」
「嫉妬と独占欲もとんでもない……と。やれやれ、困ったものですね」
「くそっ、こうなりゃ意地でもリューに構ってやる」
「貴方のその命知らずと無謀さには感服しますよ」
そんな会話をガードンとシェルがしていることは、リューは露知らずで――
のちにこの四人が国で最強のパーティーになっていくことは、もう少し先の話である――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
~ある夫婦の会話~
「あぁっ! 私達のリューが、村の神様に喰われてしまったわ……! なんてこと……!」
「大丈夫だ、村の神はリューをとても愛しているらしいし、そんなに乱暴なことはしないよ」
「そうかしら……。あの神様、リューにすごく執着してるから、誰かと話すだけで嫉妬して暴走しそうで怖いわ……」
「確かに、僕達の息子の為に自分の守るべき村を見捨てた男だからね。もしもリューを少しでも泣かせたなら、いずれこちらに来た時にたっぷりと彼に“お仕置き”をしてあげるよ」
「……あなたが言うと本当洒落にならないわ……。いくらあの神様でも、あなたに敵うわけないもの……」
「僕は君とリューの為なら、無限に強くなれるからね」
「ふふっ、ありがと。この『地底』の暮らし、全く嫌じゃないわ。陽の光は当たらないけれど、ただそれだけだし、快適に暮らせて地上の様子も見られるし、何よりあなたが一緒だし」
「僕もさ。僕達の息子と村の神がここに来たら、益々楽しくなるね。勿論、リュー達には長生きして欲しいよ。なるべく早く自分の“幸せ”を掴んで欲しいな。今はまだ迷っている様子だけれど」
「ふふっ、リューなら大丈夫よ。必ず手に出来るわ。自分の“幸せ”を――」
「あぁ、そうだね。――頑張るんだよ、リュー……。僕達の、愛しい愛しい息子――」
Fin.
※お読み下さり、本当にありがとうございました!
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後日談まで書いてくれたんですね!すごい良い話でした!!ムーンさんの方の短編はちょくちょく読み返していたので、番外編とか出ないかなーと思っていました。本当にありがとうございます。
まずいチキン様、こんにちは(*^^*)⁾⁾
わぁ…!とても嬉しいお言葉ありがとうございます!
短編を読み返して下さっていたなんて、本当に天にも昇るくらい嬉しいです!
あぁ……まずいチキン様をギュッと……ギュッと抱きしめたいっ!(止めろ)
この作品は作者にとって初BLだったので、思い入れが深くて……。今回手直しする際に、自分が満足するまで書き切ろうと決めていたんです。
だから、まずいチキン様のお言葉がとてもとても嬉しくて!
こちらこそ、こんなに舞い上がる気持ちにさせて下さってありがとうございました!(*^ᗜ^)♡
まずいチキン様に沢山の幸せが訪れますように✲゚ฺ*•.✧
短編がすごい好きだったから、連載が始まって嬉しいです!ありがとうございます!!
まずいチキン様、こんにちは(*^^*)
わぁ✧** あの短編を読んで下さっていたのですね!
何だか懐かしいお友達に久し振りに会えたような感覚になり、嬉しくてギュッと抱きしめたくて、でもくすぐったくてむず痒いような、不思議な気持ちになりました(*ノω・*)テヘ笑
こちらこそ、とても舞い上がるお言葉をありがとうございます!(๑>᎑<๑)♡
これは、あとがきに書いていた設定を使って、もう少し詳しく書きたいと思っていた作品だったんです(^-^ *)
明日で完結予定ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです(*ˊᵕˋ*)♡✧*