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第1章 鏡の向こう側
第3鏡 これから先のこと
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「シタワノチラカ・ササヨゲ!!」
呪文を唱えたと同時に、まばゆい光が私を包んだ……。
城の大広間的なところで感じた、何かに軽く押される感覚…。
今は強く押されているけれど、あの時と同じ見えないもの。
(これが魔力…!魔法が使える力っ…!)
思いが伝わったのか、王子の動きがさっきよりも俊敏になっているようだった。
目を凝らしてよく見ると、王子の周りにうっすらと黄色のオーラが見える。
どんな効果があるかはわからないが、王子が優勢になっているのできっと良い効果だろう。
しかし、この効果は私が集中している間だけ発動するようで、少しでも気を抜かせば黄色のオーラが薄くなる。
戦いが長くなれば長くなるほど、私の気力が無くなってく。なかなか辛いものだ。
「これで終わりだっ!''ギガンテック・スマッシュ''!」
ザシュッ……
長い時間をかけて戦い、おぞましい外見をしたモンスターに王子がトドメを刺した。
「 よかっ…た……。」 ドサッ
きっとここは喜ぶところだろう。
しかし、予想どうりに気力がなくなり意識が朦朧として、立っていることすら危うい状態。
疲れたというよりも、もう動けない感覚に近い。
私はとうとう倒れてしまった。
王子が駆け足で近づいてくる。
「おい!大丈夫か!起きろっ…!おい!起きろって……」
声は途中で切れ、意識は深い海に沈むようになくなっていった。
気づいたら、ふかふかのベッドの上。
私、生きていた。
「おっ!目を覚ましたのか。てっきり死んだのかと思った。」
王子が私の顔を見つめる。その目は相変わらず紅に染まっていた。
それにしても顔が近い。思わずドキッとしてしまう。
「ち、近いです…顔が。そんなに見つめて、楽しいですか?」
体が、カッーーと熱くなる。王子と目が合った。
「ん?もしかして照れているのか?珍しいな。勘違いするなよ、キスとかはしないから安心しろ。」
少し距離が離れる。なんだか肩透かしを食らった気分になった。
私は、何に期待していたのだろう。何を求めたのだろう。
こんな気持ちは初めてだった。
「そんなのわかってます。それより、私の症状はなんだったのですか?」
話題を切り替える。王子は答えた。
「あの時は少しビビってたけれど、あの症状は『魔力切れ』の時に出るものだ。選ばれた姫だから魔力は無限にあるものだと思っていたけれど、やっぱり人間なんだな。」
「あの、『魔力切れ』について詳しく……。」
聞いた話によるとこうだ。
魔力切れは魔法が使える人が必ず経験するものであり、悪い病気というわけではないらしい。
回復方法は薬を使うのが主だ。
最初は全身が痺れたり、激痛に身悶えたりと悲惨だが、魔力の上限を上げることによって、魔力切れの症状を軽くすることができるとか。
しかし、魔力の上限の上げ方がアレで、魔力を使い切ったところで無理やり魔法を使うというムチャブリ。
普通に使い切るだけでも症状が酷いのに、魔法を無理やり使うことで身が裂ける思いをしなければならない。
うーん、現実は悲惨だ。
「今は、魔力切れの症状で少し苦しいだろう。それに、あんたは元は違う世界の人間だから、魔力に飲み込まれる可能性もある。ここに長居するのは危険だ。だから今は一旦、あんたを元の世界へ送り返す。」
ここにずっと居たいけれど、もう二度とここに来れないわけでもないし、魔力切れの症状で体が痺れて痛い。
ここはいったん休もう。そう思った時、ある記憶が頭に駆け巡った。
これを解決しなければ、元の世界へは帰れない。
「あの、少し協力してくれませんか?これを解決しないと、元の世界へは帰れないのです。」
王子にすがる気持ちで言った。
「協力?まぁ、少しだけならいい。あんたの世界で何かを協力すれば良いんだな?」
少しめんどくさそうな顔をして聞いてきた。
「はい。そうです。」
これで、私の罪を隠すことができるかもしれない…。
呪文を唱えたと同時に、まばゆい光が私を包んだ……。
城の大広間的なところで感じた、何かに軽く押される感覚…。
今は強く押されているけれど、あの時と同じ見えないもの。
(これが魔力…!魔法が使える力っ…!)
思いが伝わったのか、王子の動きがさっきよりも俊敏になっているようだった。
目を凝らしてよく見ると、王子の周りにうっすらと黄色のオーラが見える。
どんな効果があるかはわからないが、王子が優勢になっているのできっと良い効果だろう。
しかし、この効果は私が集中している間だけ発動するようで、少しでも気を抜かせば黄色のオーラが薄くなる。
戦いが長くなれば長くなるほど、私の気力が無くなってく。なかなか辛いものだ。
「これで終わりだっ!''ギガンテック・スマッシュ''!」
ザシュッ……
長い時間をかけて戦い、おぞましい外見をしたモンスターに王子がトドメを刺した。
「 よかっ…た……。」 ドサッ
きっとここは喜ぶところだろう。
しかし、予想どうりに気力がなくなり意識が朦朧として、立っていることすら危うい状態。
疲れたというよりも、もう動けない感覚に近い。
私はとうとう倒れてしまった。
王子が駆け足で近づいてくる。
「おい!大丈夫か!起きろっ…!おい!起きろって……」
声は途中で切れ、意識は深い海に沈むようになくなっていった。
気づいたら、ふかふかのベッドの上。
私、生きていた。
「おっ!目を覚ましたのか。てっきり死んだのかと思った。」
王子が私の顔を見つめる。その目は相変わらず紅に染まっていた。
それにしても顔が近い。思わずドキッとしてしまう。
「ち、近いです…顔が。そんなに見つめて、楽しいですか?」
体が、カッーーと熱くなる。王子と目が合った。
「ん?もしかして照れているのか?珍しいな。勘違いするなよ、キスとかはしないから安心しろ。」
少し距離が離れる。なんだか肩透かしを食らった気分になった。
私は、何に期待していたのだろう。何を求めたのだろう。
こんな気持ちは初めてだった。
「そんなのわかってます。それより、私の症状はなんだったのですか?」
話題を切り替える。王子は答えた。
「あの時は少しビビってたけれど、あの症状は『魔力切れ』の時に出るものだ。選ばれた姫だから魔力は無限にあるものだと思っていたけれど、やっぱり人間なんだな。」
「あの、『魔力切れ』について詳しく……。」
聞いた話によるとこうだ。
魔力切れは魔法が使える人が必ず経験するものであり、悪い病気というわけではないらしい。
回復方法は薬を使うのが主だ。
最初は全身が痺れたり、激痛に身悶えたりと悲惨だが、魔力の上限を上げることによって、魔力切れの症状を軽くすることができるとか。
しかし、魔力の上限の上げ方がアレで、魔力を使い切ったところで無理やり魔法を使うというムチャブリ。
普通に使い切るだけでも症状が酷いのに、魔法を無理やり使うことで身が裂ける思いをしなければならない。
うーん、現実は悲惨だ。
「今は、魔力切れの症状で少し苦しいだろう。それに、あんたは元は違う世界の人間だから、魔力に飲み込まれる可能性もある。ここに長居するのは危険だ。だから今は一旦、あんたを元の世界へ送り返す。」
ここにずっと居たいけれど、もう二度とここに来れないわけでもないし、魔力切れの症状で体が痺れて痛い。
ここはいったん休もう。そう思った時、ある記憶が頭に駆け巡った。
これを解決しなければ、元の世界へは帰れない。
「あの、少し協力してくれませんか?これを解決しないと、元の世界へは帰れないのです。」
王子にすがる気持ちで言った。
「協力?まぁ、少しだけならいい。あんたの世界で何かを協力すれば良いんだな?」
少しめんどくさそうな顔をして聞いてきた。
「はい。そうです。」
これで、私の罪を隠すことができるかもしれない…。
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