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プロローグ
雲の綺麗な朝
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空を見る。雲に覆われている。なんと美しい雲だろう。太陽の光とその影のコントラストが何かを主張しているようだ。僕はその美貌に引き込まれていった。いつまでも見ていたい。時を忘れてここにずっといたい。
僕は腰を下ろした。爽やかな風が僕の顔を撫でた。僕の周りの草は一斉に子守唄を奏でた。自然と目蓋が閉じる。僕の意識は遠くなっていった。
肩に鈍い衝撃が走る。重たい目蓋を開けるとアキの姿があった。どうやらアキが僕の肩を蹴ったようだ。
「おいおいまじかよトッシー。公園で二度寝?俺はどうやらお前を甘く見ていたようだ。」
「なんということだ!僕は、僕は!」
「安心しろ。まだ時間はある。今から走れば間に合うだろう。君が三度寝しない限りな。」
「しねーよバーカ。」
馬鹿は僕の方だ。僕は馬鹿だ。馬鹿すぎる。なんて馬鹿なんだ。自分が信じられない。小学生でもこんなことしないぞ。学校に行く途中で公園で二度寝、ノーベル平和賞ねらえるのではないか?
僕は自分を皮肉まじりに罵りながら走った。だがそんな悪い気分じゃなかった。大の親友と二人で学校へ走る。遅刻しないか二人はハラハラする。そんな青春の一場面もなかなかいいんじゃないか?
しかし元より体育の苦手な僕。滑り台を逆から登るような坂に体力を削がれていく。自分が発する熱によって僕はその楽観的思考を捨てざる負えなくなった。
山田とともに走るのはアキ。本名は葛西隆明、レッドとも呼ばれる。なぜレッドと呼ばれるか、それは一次方程式並の簡単なお粗末な理由だった。つまるところ彼は赤が好きなのだ。バックも赤、筆箱も赤、顔色まで赤味がさしている。よく見るとアンダーシャツも赤だったりする。
彼の武勇伝は多々ある。そのうちの一つとして全身赤事件がある。彼はよりにもよって、小6の修学旅行で上を赤のジャージ下を赤の半ズボン、そして赤の帽子だった。これにより女子が一斉にひいたのは彼の軽いトラウマらしい。彼曰く赤は正義の色らしい。正義とは悲しいものだ。
万里の長城も顔負けの急な坂を走ること10分。学城学院の校門が見えた。やけに古臭くまるで伝統があることをアピールしてるような校門だが見えてくると希望のゲートだ。
なぜかこの学城学院は山奥にあるくせにバスがない。よって学城学院の生徒は毎朝ここを走る。僕はそれが嫌で毎朝20分近く早く家を出てここを歩く。それに対してアキは毎朝ここを走っている。彼が間に合うというなら案ずることはない。
やっと校門を抜けた。そして僕は校門つながりであることに気づいてしまった。
「悪い。アキ、こっから先は別行動だ。先に教室へ行ってくれ、後で教室で落ち合おう。」
「何言ってんだトッシー、後1分で学校が始まるぞ。どうしたんだよ?」
「理由は聞くな。どうしても外せない用事だ。後は健闘を祈る。」
僕は靴箱で上靴に履き替えるとトイレへ向かった。おそらく朝のSHRが後数秒で始まるがそんなことはどうでもいい。もはや迷う必要はない。
僕はトイレに入るとバックを開けた。いつもスムーズに動くのだがどうも焦ってなかなか開かない。やっとの事でバックを開けると紙と半透明の容器を取り出す。
そう僕は決して用を足すためにトイレに入った訳じゃない。検尿のためだ。今日は検尿の提出日だなのだ。急いで紙の箱を作るとそこに少量の小便を出す。いや、そのつもりだった。しかしそんな上手くいくはずがない。盛大にこぼしてしまった。手が汚れた。床に黄色い液が広がる。やってしまった。焦ってはダメなのだ。常に冷静な山田ではなくては。不幸中の幸いか服は汚れていなっかた。
僕は今にも溢れそうな、いや、実際溢れている袋から出前の寿司の醤油の容器のようなもので液体を吸い取った。ああ、不幸だ。僕は箱をゴミ箱に入れ手を洗い容器をポケットに入れた。教室へ向かう足どりは重くトイレに氾濫した汚物が頭から離れなかった。途中トイレ清掃のおばさんにすれ違ったので彼女に僕の命運を託すことにする。
教室に入るとみんなの視線が突き刺さった。泣きそうになる。
僕は悪くない。今日検尿を提出しないとみんなの前でしてもらうぞ、といったのは先生の方じゃないか。
僕は腰を下ろした。爽やかな風が僕の顔を撫でた。僕の周りの草は一斉に子守唄を奏でた。自然と目蓋が閉じる。僕の意識は遠くなっていった。
肩に鈍い衝撃が走る。重たい目蓋を開けるとアキの姿があった。どうやらアキが僕の肩を蹴ったようだ。
「おいおいまじかよトッシー。公園で二度寝?俺はどうやらお前を甘く見ていたようだ。」
「なんということだ!僕は、僕は!」
「安心しろ。まだ時間はある。今から走れば間に合うだろう。君が三度寝しない限りな。」
「しねーよバーカ。」
馬鹿は僕の方だ。僕は馬鹿だ。馬鹿すぎる。なんて馬鹿なんだ。自分が信じられない。小学生でもこんなことしないぞ。学校に行く途中で公園で二度寝、ノーベル平和賞ねらえるのではないか?
僕は自分を皮肉まじりに罵りながら走った。だがそんな悪い気分じゃなかった。大の親友と二人で学校へ走る。遅刻しないか二人はハラハラする。そんな青春の一場面もなかなかいいんじゃないか?
しかし元より体育の苦手な僕。滑り台を逆から登るような坂に体力を削がれていく。自分が発する熱によって僕はその楽観的思考を捨てざる負えなくなった。
山田とともに走るのはアキ。本名は葛西隆明、レッドとも呼ばれる。なぜレッドと呼ばれるか、それは一次方程式並の簡単なお粗末な理由だった。つまるところ彼は赤が好きなのだ。バックも赤、筆箱も赤、顔色まで赤味がさしている。よく見るとアンダーシャツも赤だったりする。
彼の武勇伝は多々ある。そのうちの一つとして全身赤事件がある。彼はよりにもよって、小6の修学旅行で上を赤のジャージ下を赤の半ズボン、そして赤の帽子だった。これにより女子が一斉にひいたのは彼の軽いトラウマらしい。彼曰く赤は正義の色らしい。正義とは悲しいものだ。
万里の長城も顔負けの急な坂を走ること10分。学城学院の校門が見えた。やけに古臭くまるで伝統があることをアピールしてるような校門だが見えてくると希望のゲートだ。
なぜかこの学城学院は山奥にあるくせにバスがない。よって学城学院の生徒は毎朝ここを走る。僕はそれが嫌で毎朝20分近く早く家を出てここを歩く。それに対してアキは毎朝ここを走っている。彼が間に合うというなら案ずることはない。
やっと校門を抜けた。そして僕は校門つながりであることに気づいてしまった。
「悪い。アキ、こっから先は別行動だ。先に教室へ行ってくれ、後で教室で落ち合おう。」
「何言ってんだトッシー、後1分で学校が始まるぞ。どうしたんだよ?」
「理由は聞くな。どうしても外せない用事だ。後は健闘を祈る。」
僕は靴箱で上靴に履き替えるとトイレへ向かった。おそらく朝のSHRが後数秒で始まるがそんなことはどうでもいい。もはや迷う必要はない。
僕はトイレに入るとバックを開けた。いつもスムーズに動くのだがどうも焦ってなかなか開かない。やっとの事でバックを開けると紙と半透明の容器を取り出す。
そう僕は決して用を足すためにトイレに入った訳じゃない。検尿のためだ。今日は検尿の提出日だなのだ。急いで紙の箱を作るとそこに少量の小便を出す。いや、そのつもりだった。しかしそんな上手くいくはずがない。盛大にこぼしてしまった。手が汚れた。床に黄色い液が広がる。やってしまった。焦ってはダメなのだ。常に冷静な山田ではなくては。不幸中の幸いか服は汚れていなっかた。
僕は今にも溢れそうな、いや、実際溢れている袋から出前の寿司の醤油の容器のようなもので液体を吸い取った。ああ、不幸だ。僕は箱をゴミ箱に入れ手を洗い容器をポケットに入れた。教室へ向かう足どりは重くトイレに氾濫した汚物が頭から離れなかった。途中トイレ清掃のおばさんにすれ違ったので彼女に僕の命運を託すことにする。
教室に入るとみんなの視線が突き刺さった。泣きそうになる。
僕は悪くない。今日検尿を提出しないとみんなの前でしてもらうぞ、といったのは先生の方じゃないか。
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