異世界チャンネル ゆっくりしていってね!!!

櫃間 武士

文字の大きさ
17 / 26
第03章 初めてのダンジョン攻略

17

しおりを挟む
「ステラちゃん、できたわよ」

 ジャスパーをいじっていたヴィヴィが私に言った。

「ありがとう!ヴィヴィちゃん!」

 私は自分の額の青碧石に指を触れ、頭の中で「ステラ」という言葉で検索してみた。
 すると「美少女エルフのステラチャンネル」というタイトルと私の顔写真が頭の中に浮かんできた。

「本当だわ!私の配信用のチャンネルが出来てるわ!」

「へぇー!ステラちゃんの青碧石って直接頭の中に画面が浮かんでくるの。青碧石って旧式だと思ってたけど性能はジャスパーよりもずっと上だわ」

 ヴィヴィが自分のジャスパーの画面を見ながら羨ましそうに言った。

 私は「美少女エルフのステラチャンネル」にお屋敷でイルマ様のために演じた三十本の落語の動画をアップしていった。
 出来上がった再生リストを見てヴィヴィが言った。

「いっぱい動画をあげたわね。ステラちゃんが変な服を着て一人でおしゃべりしているわ」
「それは『着物』と言って私のいた世界の由緒正しい服装よ」
「ステラちゃんのいた世界ってエルフの国のこと?」
「い、いえ、まあー、そうねぇ…」
「それじゃこのチャンネル、店に来たお客さんにも宣伝しといてあげるね」
「よろしくね!」

 その時、雑貨屋の入り口のドアベルが鳴った。

「いらっしゃいませ!」

 店主のミハイが愛想よく入り口に向かって叫んだ。 

 私が何気なく来客たちが入って来た方を振り返って驚いた。
 店に入ってきたのは人間ではなかった。
 パッと見は普通の可愛い女の子なのだが、長い耳とシッポを持った獣人の娘たちだった。

 先頭にいたビーグルのような垂れ耳をした犬娘がミハイに向かって一枚の紙を差し出した。

「ここに書いとる品物を全部おくれ!」
「おやまあ、随分と沢山買ってくれるんだね!ありがとうよ!でもこんなにいっぱい持って帰れるのかい?」
「大丈夫や!みんなで持って帰るから」

 リーダー格の犬娘が仲間の方を振り返った。
 キツネ耳をした娘とウサギ耳をした娘が大きくうなずいた。

 ミハイとヴィヴィが大慌てで店の品物を取り出している間、私は初めて見るケモノ娘に興味しんしんだった。

(か、可愛い!なんて可愛い生き物なの!ああ!あの娘たちの頭をモフモフしたい!)

 私の舐め回すような視線に気が付いた犬娘が私を睨みつけた。

「なんや!獣人が珍しいんか!?」

 私は犬娘の敵対心に気づかず素直にうなずいた。

「うん!生まれて初めて会ったわ!」
「ケッ!どこのド田舎から出て来たんや!お前エルフやないか!エルフの方がよっぽど珍しいわ!」

「随分と口が悪い娘ね。それにどうして関西弁なのかしら?」

 私が思わずつぶやくと目の前にイルマ様のチャットの文章が表示された。

『この獣人たちは辺境の方言を話している。 翻訳トランスレーションの魔法をかけられたステラには前世で自分の知っていた方言に聞こえるのじゃ』

 そう言えば異世界に転生してからずっとみんな日本語で喋ってる。
 魔導書の文字もスラスラと読めた。
 気が付いていなかったが最初にイルマ様が私に 翻訳トランスレーションの魔法をかけてくれていたのか。
 ありがたや!ありがたや!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

処理中です...