16 / 31
16 レベッカの部屋
しおりを挟む
ベッドボードに寄りかかって本を読んでいたレベッカが侵入者を見ている。
レベッカは本を閉じるとベッドから降りた。
誰もなにも言わない。
「この部屋はなんなの?この見窄らしい部屋?どうしてこんな部屋なの?」と公爵夫人が言った。
その時、よく閉まらない洋服ダンスが開いた。
「そうだ、何故こんな部屋に住んでいるのだ」とリチャードも言った。
「公爵夫人のご意志だと存じますが」とレベッカが言った。それから
「ここに不満を申しておりません。わたしのような無能に屋根と衣服と食事を与えて下さることに感謝しております。そして今日からは学院にも通わせていただいております。学院に行くにもお金がかかるそうですね。無能には過ぎたことです」とレベッカが言うと
「なんだ、その言い方は・・・」とリチャードが言うと
「申し訳ありません」とレベッカは頭を下げた。
「もう、無能はこれだから」と言いながらステラが椅子に座ろうとして
「きゃ、なにこの椅子。足がガタガタじゃないの」と言った。
公爵夫人が
「どうして、こんなのを・・・わたくしは家具を揃えるように」と声を震わせて椅子と見て、机を見た。
そして洋服ダンスをのぞいて顔を歪めた。
「これは・・・」
その時、ノックもなしにドアが開くと、チトラが食事の盆を持って入ってこようとして、固まった。
リチャードが素早く動いて、盆を取り上げた。
盆の上には、少し固いパン。主人一家と同じスープ、同じ皿に乱雑に盛り付けられた、オードブルの中の一品だけ。メインの肉の端っこ。デザートはなかった。
公爵はそれを見て
「同じものを運べと言ったが・・・それを同じと思うのだな」とチトラに言った。
「料理長がこのように・・・わたくしはなにも出来ません」
「わかった。下がれ」と公爵が言うとチトラは恐る恐る下がって行った。
「フォレノワールの茶会で石版に手を当てたのか?」とリチャードがレベッカに尋ねた。
「はい」と簡単にレベッカは答えた。
その拒否の姿勢にリチャードは怯んだが
「光ったのか?」と聞いた。
「はい」と同じ口調の返事があった。
「何故?何故?すぐにそれを言わなかったの?」と公爵夫人が言うと
「何故とは、どういう意味でございますか?」とレベッカが不思議そうに言った。
公爵夫人がしくしくと泣き出した。
「おまえはこんな母上を見てもなにも思わないのか?」とリチャードが言うので
「楽だなと思います。わたしは泣くとぶたれて部屋に放り込まれましたから」と答えると今度はリチャードが泣きそうになった。
「やはり石版が光ると魔力があると言うことなんですね。あのはずれ王子との婚約もわたしに魔力があると思ったからなんでしょうね。魔力がなくてもこれくらいはできますし」とすーと上に上がり、降りた。
「でも今日、魔法の教師は出来なかったんですよ。無能でも教師になれるんですね。だいたい判定まえからわたしは簡単な魔法を使ってますよ。学び続けたいと思いましたが、わたしがそう言った本を読むのを禁止しましたね。学院に行けて嬉しいのは図書館です。学院長からは名前が書けるのかと心配されました。石版を光らせたことだって、ステラたちに強要されて石版をさわらせられたのですよ。笑いものにしたかったのですよ。ステラも石版のことを言わなかったのでしょ!何故言わなかったのは、ステラへの質問ですよ」
ますます、声を上げて泣く夫人を見ながらレベッカは言い終えた。
そしてステラに向かってこう言った。
「ステラ様、公爵夫人に話してあげていただけますか?それから皆様はお引取りをわたしは食事をしたいです」
「これが食事なのか?」と公爵が呟くとそれが聞こえたレベッカが
「飢えずにすんで感謝しております。侍従も侍女もそのことをいつも言っております。わたしのような役立たずの穀潰しに食事なんて勿体無い、普通なら殺されると」と言った。
リチャードが
「でも、レベッカこの椅子には座れないだろう。立ったまま食事をしているのかい?」と聞くと
「椅子を固定しても良いですし、体を浮かせても良いですし、これくらいのこと無能でも出来ますわ」と笑った。
「いや、だってそれはわたしは出来ないと思う」とリチャードが言うと
「無能以下だなんてリチャード様も冗談を言うのですね」とレベッカは冷たく言った。
そして、一同は部屋から追い出されて、ドアが閉まった。
レベッカは本を閉じるとベッドから降りた。
誰もなにも言わない。
「この部屋はなんなの?この見窄らしい部屋?どうしてこんな部屋なの?」と公爵夫人が言った。
その時、よく閉まらない洋服ダンスが開いた。
「そうだ、何故こんな部屋に住んでいるのだ」とリチャードも言った。
「公爵夫人のご意志だと存じますが」とレベッカが言った。それから
「ここに不満を申しておりません。わたしのような無能に屋根と衣服と食事を与えて下さることに感謝しております。そして今日からは学院にも通わせていただいております。学院に行くにもお金がかかるそうですね。無能には過ぎたことです」とレベッカが言うと
「なんだ、その言い方は・・・」とリチャードが言うと
「申し訳ありません」とレベッカは頭を下げた。
「もう、無能はこれだから」と言いながらステラが椅子に座ろうとして
「きゃ、なにこの椅子。足がガタガタじゃないの」と言った。
公爵夫人が
「どうして、こんなのを・・・わたくしは家具を揃えるように」と声を震わせて椅子と見て、机を見た。
そして洋服ダンスをのぞいて顔を歪めた。
「これは・・・」
その時、ノックもなしにドアが開くと、チトラが食事の盆を持って入ってこようとして、固まった。
リチャードが素早く動いて、盆を取り上げた。
盆の上には、少し固いパン。主人一家と同じスープ、同じ皿に乱雑に盛り付けられた、オードブルの中の一品だけ。メインの肉の端っこ。デザートはなかった。
公爵はそれを見て
「同じものを運べと言ったが・・・それを同じと思うのだな」とチトラに言った。
「料理長がこのように・・・わたくしはなにも出来ません」
「わかった。下がれ」と公爵が言うとチトラは恐る恐る下がって行った。
「フォレノワールの茶会で石版に手を当てたのか?」とリチャードがレベッカに尋ねた。
「はい」と簡単にレベッカは答えた。
その拒否の姿勢にリチャードは怯んだが
「光ったのか?」と聞いた。
「はい」と同じ口調の返事があった。
「何故?何故?すぐにそれを言わなかったの?」と公爵夫人が言うと
「何故とは、どういう意味でございますか?」とレベッカが不思議そうに言った。
公爵夫人がしくしくと泣き出した。
「おまえはこんな母上を見てもなにも思わないのか?」とリチャードが言うので
「楽だなと思います。わたしは泣くとぶたれて部屋に放り込まれましたから」と答えると今度はリチャードが泣きそうになった。
「やはり石版が光ると魔力があると言うことなんですね。あのはずれ王子との婚約もわたしに魔力があると思ったからなんでしょうね。魔力がなくてもこれくらいはできますし」とすーと上に上がり、降りた。
「でも今日、魔法の教師は出来なかったんですよ。無能でも教師になれるんですね。だいたい判定まえからわたしは簡単な魔法を使ってますよ。学び続けたいと思いましたが、わたしがそう言った本を読むのを禁止しましたね。学院に行けて嬉しいのは図書館です。学院長からは名前が書けるのかと心配されました。石版を光らせたことだって、ステラたちに強要されて石版をさわらせられたのですよ。笑いものにしたかったのですよ。ステラも石版のことを言わなかったのでしょ!何故言わなかったのは、ステラへの質問ですよ」
ますます、声を上げて泣く夫人を見ながらレベッカは言い終えた。
そしてステラに向かってこう言った。
「ステラ様、公爵夫人に話してあげていただけますか?それから皆様はお引取りをわたしは食事をしたいです」
「これが食事なのか?」と公爵が呟くとそれが聞こえたレベッカが
「飢えずにすんで感謝しております。侍従も侍女もそのことをいつも言っております。わたしのような役立たずの穀潰しに食事なんて勿体無い、普通なら殺されると」と言った。
リチャードが
「でも、レベッカこの椅子には座れないだろう。立ったまま食事をしているのかい?」と聞くと
「椅子を固定しても良いですし、体を浮かせても良いですし、これくらいのこと無能でも出来ますわ」と笑った。
「いや、だってそれはわたしは出来ないと思う」とリチャードが言うと
「無能以下だなんてリチャード様も冗談を言うのですね」とレベッカは冷たく言った。
そして、一同は部屋から追い出されて、ドアが閉まった。
200
あなたにおすすめの小説
婚約破棄から50年後
あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。
そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな
恋愛
私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。
完結 冗談で済ますつもりでしょうが、そうはいきません。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の幼馴染はいつもわがまま放題。それを放置する。
結婚式でもやらかして私の挙式はメチャクチャに
「ほんの冗談さ」と王子は軽くあしらうが、そこに一人の男性が現れて……
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
私のことはお気になさらず
みおな
恋愛
侯爵令嬢のティアは、婚約者である公爵家の嫡男ケレスが幼馴染である伯爵令嬢と今日も仲睦まじくしているのを見て決意した。
そんなに彼女が好きなのなら、お二人が婚約すればよろしいのよ。
私のことはお気になさらず。
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
*らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる