湖の町。そこにある学校

朝山みどり

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24 新しい世界

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わたしたちは、会社の寮にはいった。部屋は狭くてバスルームは共同だった。

踊りの練習は厳しかった。ここでは合わせろと言われなくなった。誰よりも目立てって今までと逆だよね。

「いいですか。あなたがたが揃って踊るとそれは見事です。でも抜けません。抜けてください。そのために自分が上手くなって下さい。抜けてください」

間抜けになれってこと?違うよね!!

最初の一週間はとにかく、くたくたで、こんな説教について話し合う時間がなかった。

一緒に行動してるのに、話し合うよりも動いていたから・・・


踊りが上手になったかどうかは、わからない。ただ、体がぐにょーーと曲がるようになった。

ぐにょーと曲がってぐにょーと戻る。足も勢いで上げていた所を筋肉で上げる。説明されたことが自分の体で理解できる。これって伸びているってことだよね。抜けてるの?


そして、公演について行くことになった。

「みなさんははっきり言って、まだまだです。ですから見て感じて覚えてそれを繰り返して自分のものにして下さい。それから、言われたことはきちんと守って下さい。特に!」って所でみんな、びくっとした。

「特に!特に気をつけることは、甘い言葉です。みなさんを通じて入り込もうとするファンがいます。スタッフTシャツはみなさんを守ると共に、囮の役割もさせています。ここでつまづいて消えていく才能を見て来ました。箱入りの乙女のように」ってところで少し笑ってしまったが

「箱入りの乙女。冗談ではないですよ。みなさんを褒めて近づいてファンになったと言う輩は、あなたがたを滅ぼす悪魔と思って下さい」

「はい」と声が揃った。

ショービジネスの世界って怖い。やっぱり怖い。だけど、きちんとした導きがあれば大丈夫。

パパもママも・・・マサトもかな?!いないけど、ちゃんとする。

バスから降りる時、ちょっとした道具を持って降りる。

照明とか音響とかそんな道具。それを所定の場所に置くと、ステージを見た。

ダンサーが床を触っている。床の状態は大事だよね。

ステージから客席をじっと見ている人もいる。そこになにを見るのだろう?



そして、公演が始まった。なにもかもが違っていた。

観客の視線。歓声。会場の空気。画面で見ていたものとは全然別のものだった。

そして、敗北感。認められたと思っていた。自惚れじゃないよと思っていた。だけど足りない。ううんなにもない。



その日、ホテルの戻ったら一晩中語り合いたかった。だけど、それは禁止された。

「今日はいろいろな思ったでしょう。それは自分一人で消化して下さい。消火する人。昇華する人。様々です。

今日の思いを自分のものにして、明日話しましょう」

わたしは、残念で、ほっとして部屋に入った。

熱いシャワーと冷たいシャワーを交互に浴びた。気が付くと思いを口に出していた。なにやらぶつぶつ言いながらシャワーを浴びる女。ちょっと怖い光景だ。

ベッドに入っても絶対眠れないよと思いながら髪を乾かした。

ベッドに横になって羊の大群と勝負するはずだったが・・・・完敗だったようだ。

気が付くと朝で、すっきりとしていた。よく眠れたんだ。そして敗北を認めたせいか、やる気が出て来た。

わたしはこの世界でやって行きたい。抜けてやる。そう思った。

勢いよくベッドから出ると、自然とステップを踏みながら歩いた。








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