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華麗なる転生、更に高見へのはずだったけど・・・・

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寒かった。体が熱いのに寒い。温熱、温熱と思いながら体を温めた。暖かくなった俺は眠りに落ちた。


目が覚めた。おぉ転生に成功したようだ。あの時の後悔が蘇るが、それは今置いておこう。状況が悪い。このみすぼらしい部屋はなんだ。そして赤子のうちから意識があるはずだったのに・・・今いくつだ?

だんだん記憶が鮮明に成ってくる。なに?今の俺は伯爵家の『余り物』と呼ばれる出来損ないの兄だと。

この俺が・・・・無能だと・・・・



今の俺はフレデリック・ブルークリフ。十二歳。伯爵家の今は亡き正妻の息子で出来損ないの厄介者だ。俺には同じ年の弟がいて傑物だと評判だ。弟、エドワルドの母親は俺の母が死んだ後伯爵夫人となった。

五歳で母を失った俺は父の再婚で日陰の身となった。さらに俺は六歳の鑑定で魔力なしとわかり『厄介者』と格下げされた。

家族からも使用人からも蔑まれる生活を送っている。いやぁこいつには悪いことをした、俺の記憶が早く戻っていれば・・・すまなかった。全員に復讐してやるから勘弁してくれ・・・なに俺は自分に謝っているんだ。

自問自答しているうちに、朝になった。いつもの一日が始まった。


ここで俺はほとんど下を向いて生活している。床を磨いたり草をむしったり使用人に追い使われている。そういう単純作業を魔法でやるようにするのはいい訓練になる。夜は屋敷のなかを探していろいろ調べた。殴って終わりのような復讐はしたくないから、下調べと準備はしておきたい。

金庫のなかを調べて呆れた。フレデリックは母親からかなりの金額の遺産を相続しているのだ。受け取り手続きは完了している。伯爵が貰っているな。その他に年金もある。それも伯爵が受け取っている。

俺は怒りを収めるのに苦労した。あいつらもこいつらも、この屋敷のやつらの血を沸騰させてやると決心した。



さて、この世界での生活が三年になった。前世で力を入れられなかった方面に魔法の力を伸ばした。
草むしりに土魔法、室内の掃除に風魔法、地下室の湿気取りに火と風。自分の才能に惚れ惚れしている。


さて、俺が草むしりしているところに執事が来て伯爵が呼んでいると言った。浄化を使えることは隠しているから、井戸で体を洗うと、伯爵の執務室に向かった。


そこにはエドワルドと伯爵夫人も揃っていた。伯爵は俺に話し始めた。

まぁいろいろ言っていたが、ようするに王立学院に入学する時期が来た。エドワルドも一緒だが、お前フレデリックはエドワルドに迷惑をかけるな。関わるな。だそうだ。

俺はいつも通り黙って礼を取ると部屋をでた。ドアが閉まる前に三人が笑いだした。

笑われる側に回るのも知らないでおめでたいやつらだ。俺は部屋をでると厨房に忍び込んで食べ物を確保すると自分の部屋に戻った。





◇◇◇◇◇
俺は今、学院に向かって歩いている。先ほどエドワルドは馬車に荷物をたくさん積み込んで使用人、伯爵夫妻に送られて出発した。

俺はちいさな包みを渡されて、裏口から屋敷をでた。俺は黙って歩き始めたが、後ろから執事が「二度と帰って来るな『余り物』」と吐き捨てた。

戻るわけないだろと、肩をすくめるだけにしておいた。



さて、学院は西と言うのでそちらに向けて歩いた。俺が学院の門にたどりついたのは夕方だった。

門の所に学生がひとり立っていた。一応頭を下げると

「君はフレデリック・ブルークリフかな?」と話しかけられた。

「はい、そうです」と答えると

「歩いてきたんだ・・・・・」といいながら名簿に書き込んでいる。

「君が最後だ。寮に案内する」と先に立って歩き始めた。

「その?荷物は?」

「これだけです」といいながら布包みを見せた。

「え?君はその・・・・伯爵家の長男だと思ったが」

「厄介者です」

「そうなのか」



「そうだ、僕はバージル・カーメルだ。よろしく。バージルと呼んでくれ。この学院では身分、学年を問わず名前呼びだ」

「こちらこそよろしくお願いします。バージル」

「よろしくフレデリック。その着替えはそれだけか?」

「そうですね」

「その、気を悪くしないでくれ・・・・僕の小さくなった服を着てくれないか?いやでないなら・・・」

「ふふ、ありがとうございます。僕は使用人のお古を着ています。助かります」

「すぐ、家に使いを出して届けてもらうよ」

「ありがとうございます」

そこで別れて俺は部屋に向かった。



寮の部屋は屋根裏部屋だった。


埃だらけだったが、伯爵家で磨いた掃除魔法で綺麗にした。

綺麗になったところで包みを開けてテーブルで広げた。

下着・・・はっきり言ってボロだ。寝巻き・・・同じくボロだ。これだけ入っていた。浄化をかけて引き出しにしまった。

これと先ほど受付で受け取った制服が俺の持っている衣類すべてだ。




取り敢えず、制服を着ると俺は食堂に行った。

いい匂いがしていた。好きなものを好きなだけ食べていいのだ。

盆に料理を乗せて空いている席に座って食事を済ませた。


食べ終わると部屋に戻った。さすがに今日は長く歩いて疲れた。

ベッドにはいるとすぐに寝てしまった。







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