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38話 痣

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「カラル、前に言ったよね?俺たち友達だって。だから今から僕の秘密を話すからカラルも秘密を教えてくれないかな?」
と僕が言うと、カラルはゆっくりと顔を上に上げ
「良いのか?お前の秘密ってやばいんじゃ」
と言うが、それでも僕は
「良いよ、カラルになら」
と言い、僕はカラルに

「ねぇ、カラルはアレキサンダー家って知ってる?」

「あぁ、確かこの王都のある最上位貴族で、Bクラスにアイリス様が居る家だよな?それがどうしたんだよ?」

と聞かれ、僕は一瞬躊躇ったがカラルには真実を伝えたくて……大切な友達にこれ以上嘘をつきたくなくて

「僕……元アレキサンダー家の次男何だ」

「ふ~ん………え?………冗談だよな?」

流石にカラルも冗談だと思い、聞いてくるが

「ううん。僕の本当の名前は……アルカ アレキサンダー……これが本当の僕の名何だ」

「でも、自己紹介の時はアルって言ったじゃねぇかよ!」

とカラルは少し声を荒らげて言う。そして少し落ち着きを取り戻したのか

「でも……じゃあ何でお前今アルって名乗ってんだよ」

「僕……父さんに奴隷として売られてメリー……メイソン家の当主のウィリアム様に買ってもらったんだ」

と何もかも包み隠さずにカラルに僕は話す。そしてカラルは

「じゃあ何でお前は売られたんだよ」

「それは………」

僕はカラルになんと言えば良いか分からずに黙ってしまうと

「言えないのか?」

「今はまだ言えない。これはまだノアにもソフィア様にだって言ってないから、明日にでもメリーに聞いて許可が出たら話すよ」

と僕が言うと納得してくれたのか

「そっか。じゃあ次が最後だ。アル……何でお前俺と友達になってくれたんだ?」

「え?それってどういう意味?」

僕はカラルが言ったことの意味が分からず、カラルに聞き返すと

「だから!!アルだって元は貴族何だろ?それなのに何で平民の俺なんかと友達になってくれたんだよ?哀れみか?それとも笑えたからか?」

とカラルは僕を睨みつけながら言ってきた。


「え?そんなのカラルが良い奴だったってだけだよ?」
と僕が言うと、カラルは
「ふっ……ふざけんなよ!!」
と声を荒らげて僕に掴みかかってきた。


「正直に言えよ!!平民と友達で疲れましたってよ!!お前は貴族は俺ら平民をゴミとかクズとか思ってんだろ!!」
と涙を流しながら僕の服の襟を掴んでくる
(カラル………お前も大変なんだな)
「僕は………俺はお前をそんな風には思ってねぇよ?」
俺がそう言うが、それでもカラルは
「だから正直に言えって言ってんだろ!!」
と言い、聞く耳を持ってはくれず、俺は仕方なく

『我が魔力よ 彼の者に 衝撃を インパクト』

カラルの腹部にインパクトを放つ。


「いってぇな。何すんだよアル」
今のインパクトのお陰で少し落ち着きを取り戻したカラルに
「カラル、聞こえなかった見たいだからもう1回言うぞ。俺はお前をそんな風には思ってねぇし思ったこともねぇよ」
と俺が言うと、カラルは信じられないと言った顔で
「何でだよ!?普通貴族は俺らを馬鹿にするだろ!?何でお前は俺らを馬鹿にしないんだよ!!」
と言い、逆に怒られてしまい、少し頭に来て、カラルの頭に思いっきり拳骨を食らわし
「そんなもん知らん。だがな俺を他のクズ共と一緒にするな。良いか?」
と俺が聞くと、カラルは何故か立ち上がり
「はいっ!!」
と返事をして座る。


「よしっ、これで俺の秘密は話したんだし今度はカラルのその痣のこと教えろよ?………誰にやられた?」
と俺が聞くと、カラルはさっき前とは打って変わって少し表情が暗くなり
「シーザー バクストンとその分家のアルベルト達」
と苦しそうに言うカラル、それを見て俺は心底自分が嫌になった
(カラルが……ここまで苦しんでたのに俺は………クソッ)
「あいつらはいつからお前に危害を加えてたんだ?」
と聞くと、また苦しそうに
「入学式からずっとやられてた。……初めは……抵抗したけどその後……家族に……手出されて……それ以来……反撃も出来………なくて」
と言い、静かに泣き出すカラルの肩に手を置き、俺は
「そうか。今まで気が付かなくて悪かった」
と頭を下げるが
「いやっ、アルは悪くねぇよ」
と言ってくれ、改めて俺はカラルの懐の深さを思い知った。


「俺さ、メリーが自称婚約者に迷惑してるからって理由できたんだよ。それでその相手がシーザー何だ」
と俺が言うと、カラルは
「アイツ、メアリー様にまでそんなことしてんのか」
と言い、怒りの炎の燃やしていた。


「それにしても、今度から俺、お前の事なんて呼べば良いんだ?アル?アルカ?どっちだ?」
とさっきまでの暗い雰囲気は無くなっているカラルに聞かれ
「この部屋に居る時はルークでその他の時はアルで良いんじゃないか?」
と俺が言うと
「そっか。分かったアルカ………後……秘密話してくれてありがとな。おやすみ」
と1人で勝手に恥ずかしがってカラルはベットについて眠りにつく
「勝手な奴だな………でもっ、お前の事も俺が何とかするからな」
ともう寝息を立てているカラルに言い、俺も眠りについた。
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