【本編完結】死に戻りに疲れた美貌の傾国王子、生存ルートを模索する

とうこ

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呪われてる?

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 初夜で熟睡できたのは初めてだ。ソファからはミノムシが消えていた。
 いつもの初夜(おかしな表現だな)なら朝から再戦または夜通しでヘロヘロになってるところ。愛されるのはありがたいが、体力を考えてほしい。
 よく睡眠がとれた所で脳が動き出す。
 そもそも俺はなんで執拗に殺される?


 うだうだしながら基本に立ち返り思考する。嫉妬がなんでイコール殺す! になるのだろうか。起承転結の中間辺りが不自然にごっそり抜けている。舞台の脚本や小説なら有無を言わさず差し戻しだ。
 考えているとノックの音がして、マルタが入室してくる。
 護衛騎士のシェルダンと夫婦なので二人で来てもらった。シェルダンは乳母の息子、マルタは昔から俺に付いてくれている。
 どの巻き戻しにも一緒で、俺の巻き添えで亡くなってからは同行を強く止めるのだが聞いてくれない。
 嬉しいが二人は絶対助けなきゃ。
 マルタは未遂に終わった初夜には触れず、体調やどんな服が良いかを聞きながら手早く支度を整えてくれた。昨日の旦那様たちの態度にも大いに思うところアリだったろうに、言いつけ通り口は閉ざしてくれている。ありがたいよ。


 今日の旦那様は髪を整えて目に布を巻いている。変わったファッションセンスの持ち主だな。前見えるのか。
 しかしここの食事は美味しい。昨晩のディナーも朝食も、素材の味を生かした素朴ながら繊細な料理だ。
 今朝はコメを使った鶏ときのこのリゾットだ。塩味だが深い味わいで食べやすい。ジンジャーが効いてるな。


「体に良い薬膳粥です。これは胃腸の具合を整え滋養強壮に効きます。味変でこちらを散らしてみては」
 やくぜん? あじへん? 風味をかえるのか。ガーシュに木の実の皿を差し示され、試してみる。これもいい。
「グレイシアは食に妥協せず、は本当なんだな」
「初代からして食いしん坊なんですよ。他に何かお聞き及びで?」
 主人に対してはタメ口だったが一応俺には礼儀を尽くしている。
「触りだけ。時間もなかったしこれから学ぼうと思って。ところでガーシュ」
「なんでしょう」
「俺にも昨日旦那様に話してたみたいに気安くしてくれないかな、楽しそうだ」
「……滅相もございません」
「今は給仕してるけど従者? 執事? モードだからあんな話し方はしないよ」
 アレスターが説明する。モードって。従者ではないのか?


「ガーシュは好きな時に好きな役をこなすから、便宜上従者って呼んでるだけ。道化がお気に入りでよくやる」
「なるほど?」
 道化って王の傍にいて何を言おうと咎められないやつか。色々解らないがそのままに解釈しておこう。



「君さあ、呪われてるよね。だから君の兄は僕に押し付けたんだろ」
 食後のジャスミン茶をブーっと吹き出しかけたが王子として耐えた! 代わりに盛大に咽せた。
「ゲホゲホっ、の、の…?」
「時間かかるけど解呪はできる…」
「じ、実は!!」


「ふーん、巻き戻りねえ」
 秒で吐きました。専門家には全力でよっかかるぞ。旦那様だし。
「込み入った話になるね、場所を移そう」


 アレスターの執務室で話の続きをした。
「観た感じ誰に嫁いでも無理。君の呪いが相手をおかしくする、そういうやつ。可愛さ余って百回くらい殺る気になります」
「えっ、も、もしかして旦那様も……、」
「僕は耐性があるし呪いも一通り学んでるから対処できる。そもそも君に惚れ込まないと発動しない感じのやつだから僕には効かない。ただ呪いの発動条件、他にもあるな」
「分かるのか」
「だって皆、初めから君を溺愛してたんだろ。そんで最初は普通。死ぬのって結婚してどのくらい?」

 およそ一ヶ月以内、全部その範囲だ。早ければ一週間。意味はあるんだろうか。

「そして君が死ぬのは目的じゃない。ループしてるから」
「───」
「今のとこ考えられる犯人は、釣書の山にいる君を盲愛する順番待ちの誰か。選ばれるとしたらかなり後の方、爵位が低いのかも? 記憶が残るのは同じ人物に嫁がないようにじゃないかな」
「……なるほど」


「解呪で問題なくなるから、そしたら離婚で」とのお言葉頂きました。
 白い結婚にするから安心して、だって。
「だから旦那様はやめて」
「じゃあアレスター様」
「様いらない」
「アレス」
「……まあ、いいよ」


 男で白も黒もあるかって思うが、気にするヤツ割といるんだよ。
 だから教会で調べる。白黒ちゃんという謎の機械で。(これもグレイシア家製。特許いくつ持ってるかよく分からないらしい)
 他にも、親子関係調べるのとか。


 お近づきになりたいが色々コワイ、と遠巻きにされる一族で更に魔術師だもんなあ。そりゃ縁遠くもなるよ。
 けど悪い奴じゃない。


「あのさ」
「…何」
 俺が口開く度に警戒すんのやめて。
「友達にならない?」

 何故か絶句するアレスター。
「伴侶にならなくても友達ならいいだろ」
 うん、なんでまた後ずさるの。

「屈託のないリア充が……! 何が狙いだ」
「いや、俺友達いないから」
「ぼっち!? 見るからリア充の癖に、実は違うと……?」


 嫌味に思われるから人には言えないがアレスなら大丈夫だろう。はなから俺に対する評価は最底辺のようだし。


「誰かと親しくなろうとすると友情でなく恋情を抱かれるからな……」
 納得した様子で顎に手をやり頷いている。


「確かに君はひどく美しいが、呪いの一部に魅了が入ってる。惚れさせ狂わせ殺させる。んー、これ愛情がそのまま憎しみに転化するのかな? 術師は性格悪い奴だなあ」
 美しい!? 日常的に聞き慣れてたがアレスの口から言われると意外だ。


「あと、一つ頼みたい事がある」
「内容によるね」
「俺の騎士と侍女、マルタとシェルダンなんだけど。巻き添えで死なないように保護して貰えないか。今度は俺が死んで終わりになるかもしれないだろ。大事な人たちなんだ」
「───」


「アレス?」
 返事をしないのに焦れて顔を近づければ、ビクッとして仰け反りソファの背に引っ付いた。
「接近禁止! 君の顔は心臓に悪い!」
「人を化け物みたいに」
「それよかタチが悪い!」


「……いいよ、頼まれた。少しびっくりしたけど」
「良かった。死んでもこれで安心だ」
「待って!? だいたい君なんで何回も死んでそんな平然としてんの!? おかしいだろ!」
「慣れた、かな」
 そうとしか言えない。



「どの夫もすごく俺を愛してくれて、でも結局は殺す。夫が大丈夫でも、彼を好きな女に殺される。不義の疑いで勾留中、牢番に犯されかけて舌を噛み切った事もあった。痛いし苦しいし疑われて辛いけど、仕方ないと考えるしかないだろ」
「………」


 諦めるしかなかったんだな、とアレスが呟く。
「でも! アレスがなんとかしてくれるんだろ、すごい嬉しい」
「…出来ない事は引き受けないから、安心してくれていい」



 白い結婚と解呪の件を書類で残そうと言いアレスターが指を鳴らせば、証書に使う高級紙が出てきた。
 文章をしたため先にサインを済ませるとこちらに渡してくる。
 


「ちょっと、ちゃんと読んだ? ダメだよ簡単にサインしちゃ」
「読んだよ、速読は得意」
 さらさらペンを走らせれば、途中で止まって書けなくなる。
「サインが違う」
「ツェーレン・グレイシア・フォックスじゃない?」
「ツェーレン・グレイシアンだよ」
「苗字がフォックスじゃないんだ?」
「ああ、それはだな、──まあいいか。一応夫婦だし」


「ファミリーネームはグレイシア。血縁ない配偶者はグレイシアンになる。最後の名は憑いてるものを表してて、うちの家族はみんな様々。ちなみに家系由来でこの世界のじゃない、いわゆる霊獣てか精霊です」
「へ?」
「守護獣とも眷属とも言う。僕にとっては友達」


「長男ノエル・グレイシア・リュウ、いわゆるドラゴンだけどこっちのとは全然違うよ。次兄カズサ・グレイシア・ヴォルフィ。犬神──、ニホンオオカミだね。僕のは尻尾がたくさんあるキツネ」
 ニホンオオカミ? ああ、異世界由来とか言ったっけ。見たい。動物は好きだ。人間と違い好かれないよう気を張る必要もない。
「君もつける?呪いなら憑けてるし。ツェーレン・グレイシアン・カース。悪くない」
「やだよ」


「しかし巻き戻りか。すぐ解呪できると思ったけど、すこし慎重にやるね」
 腕組みするアレスターに俺は首を傾げる。


「戻る原因がまだ不明だからだよ、仮の犯人を求婚者としたがあくまで仮説だ。ループの発動条件はきみの死だろう。だが何のために戻るのか。単に救済したい? 再度苦しめたい? または術師の本来の目的、──例えば君と結ばれる──、が果たされていない? 悪意か善意か、はたまた恋情ゆえか。前提で間違うと君に影響が出る恐れあり」

「そっか、俺はてっきり───」

「え、ちょ……、」
 何慌ててるんだろうと思う間もなく顔に袖を押し付けられた。
「止めて! それ凶悪だから! なんで泣く時まで綺麗な顔してんの。これ巻いててもキレイって分かっちゃうじゃん!」
 アレスターの上衣の袖がぐしゃぐしゃと頬を行き来する。そうか、泣いてんのか俺。


 昔から懸想されやすかった。よほど俺に隙があるのか、知らずに誘惑するような真似をしてるのか。
 結婚してからこんなに殺されるのは自分の何かが悪いんじゃないかと思った。俺のせいで相手がおかしくなったのかも。そんな自責の念をずっと背負ってた。

 呪いが原因なら、少なくとも俺が人を狂わせてるんじゃない。

「お、俺、自分が悪いと思ってて……、」

「百葉」

 空間から漆黒のキツネが顕現したかと思えば、顔面がモフッと埋まる。首に襟巻きのように巻きつかれ、ペロリと顔を舐められ涙が止まった。
 
「おまえ顔のいい人間好きだからな…ツェーレンの魔力おいしいって? そうか」
「……かわいいな」
 わしゃわしゃ撫でさせてもらう。一緒に寝てくれないかな。
「アレスの代わりに添い寝してくれるか?」
「添い寝!?」
 え、なんかダメだった?
「あー、僕から離れたら顕現できないからムリかな。うん」
 なんか百葉が不満げに見えるけど……、そういうもんか。


「この件は兄のカズサに聞いてみる。なんか知ってそうだし」
「優しいな、アレスは」
「それはどうも」
「い、いや別に───、ってガーシュ! いつからいた!? 代わりに答えるなっ」
「場所を移そう、からですね」
「最初じゃん!!」
 いつの間にか控えていたガーシュに驚いたが、やり取りが面白すぎる。


 いいなあこの二人。すごい仲良し。


「しかしまだ気づきませんか?」
「何を」
 やれやれ、とわざとらしく溜息をつくガーシュ。
「その程度の思いでしたか」
「だから何だよ!?」


 アレスは優しいし面白い。なんか今までの夫に対するのと違う感情が動きそうになる。
 離婚するし育てちゃいけないものだ。


「悪いが今日はこれで、僕は魔法塔に───」
「ツェリって呼んでくれよ」
 初めての友達がくれた大切な呼び名だけど。
「…………ツェ、リ?」
 アレスターが何故かすごく怪訝な顔だ。
「そう。昔、妖精の悪戯で知らない場所に飛ばされたんだ。髪をピンクにされて女の子の格好で。その時に会った子につけてもらった。俺、小さかったからツェーレンって言えなくて」
「──────」
「帰されるのも唐突だったからどこの誰かも知らない。その時は目の色も変えられたせいかよく見えなかったんだ。けど初めての友達ですごい嬉しくて。アレスにもそう呼んでほしい、二番目の友達だから。……? アレス?」 


 机に突っ伏してる。なんだ。
「俺なんか変なこと言った?」
「いえお気になさらず。自分の不甲斐なさと観察力不足、軽挙に打ちのめされているのです。私は常々言い聞かせているんですよ、軽々にサインなどはしないよう」
「ガーシュ!!」
「ツェーレン様は読書はお好きで? 図書室に案内させましょう」


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