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第68話
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由紀side
私は中学時代から、二海くんと同じ学校だった。
バスケ部にすごいイケメンがいるって話題になるぐらいには、二海くんはモテてた。
最初は興味なんて全くなかった彼だったけど、みんなの話を聞いているうちに、私も少しずつ興味を持つようになった。
モテるはずなのに、彼女を作らない彼を目で追ってるうちにいつの間にか好きになっていた。
高校も、同じ学校へと進んだ。
男子の比率が多くて、最初こそ戸惑ったけど好きな人と同じ学校に行きたかった私にとっては、どうでもいいことだった。
二海くんに好きになってもらいたい。
そんな気持ちで、私は自分の素を隠すために猫を被り始めた。
誰にでも優しく、口調も優しく、皆の憧れのマドンナと呼ばれるほどに。
2年に進級したら、二海くんと同じクラスになれた。
チャンスだと思った。
隣の席になれたら、もっと仲良くなれる。
私の魅力を、もっと伝えられる。
だけど、彼の隣の席は茉弘だった。
しかも、私の時とは違った態度で話をしていた。
最初は、嫌いなタイプだからあんな話し方をするんだと思ってた。
でも、違った。
茉弘が何かを言うと、決まって嬉しそうにしながら口喧嘩をするのだ。
愛おしいものを見るかのような目で、茉弘を見つめながら。
ずっと見てきたから分かる。
二海くんは茉弘のことが好きだ。
じゃなきゃ、あんな目で茉弘を見つめない。
私の方が先に彼に出会って好きになってるのに。
・・・ムカつく。
茉弘から二海くんが腹立つことばかりしてくる、と報告を受けるけど私にとってはその事が腹立たしかった。
なにそれ、自慢?
1番最初に手伝いに来た時だって、二海くんのTシャツ着ちゃってさ。
何食わぬ顔で借りた、なんて言うし。
ボトル作りしてる時だって、毎回茉弘にドリンク頼むし。
私の方が二海くんの好みに合わせて作ってるはずなのに。
そんな、嬉しそうな顔しないでよ。
私の方、見てよ。
ねぇ、二海くん・・・!!
「由紀?」
隣から発せられた茉弘の声に、ハッとする。
だけど、今は取り繕うひまなんてなかった。
「・・・嬉しそうな顔、してるなーと思って。いつも不味いって言いながらさ」
これ以上は、ダメだ。
そう思っていても、口が勝手に動く。
「二海くんって、天邪鬼だったりする?」
心から否定して欲しい、そんな願いを込めて。
でも、帰ってきたのは口先だけの言葉。
知ってる、好きだからこそいじめたくなるんでしょ。
私なんて、眼中にないんでしょ?
「ふぅん・・・そっか」
でも、大丈夫。
いつか絶対、私の事好きになってもらうから。
私は中学時代から、二海くんと同じ学校だった。
バスケ部にすごいイケメンがいるって話題になるぐらいには、二海くんはモテてた。
最初は興味なんて全くなかった彼だったけど、みんなの話を聞いているうちに、私も少しずつ興味を持つようになった。
モテるはずなのに、彼女を作らない彼を目で追ってるうちにいつの間にか好きになっていた。
高校も、同じ学校へと進んだ。
男子の比率が多くて、最初こそ戸惑ったけど好きな人と同じ学校に行きたかった私にとっては、どうでもいいことだった。
二海くんに好きになってもらいたい。
そんな気持ちで、私は自分の素を隠すために猫を被り始めた。
誰にでも優しく、口調も優しく、皆の憧れのマドンナと呼ばれるほどに。
2年に進級したら、二海くんと同じクラスになれた。
チャンスだと思った。
隣の席になれたら、もっと仲良くなれる。
私の魅力を、もっと伝えられる。
だけど、彼の隣の席は茉弘だった。
しかも、私の時とは違った態度で話をしていた。
最初は、嫌いなタイプだからあんな話し方をするんだと思ってた。
でも、違った。
茉弘が何かを言うと、決まって嬉しそうにしながら口喧嘩をするのだ。
愛おしいものを見るかのような目で、茉弘を見つめながら。
ずっと見てきたから分かる。
二海くんは茉弘のことが好きだ。
じゃなきゃ、あんな目で茉弘を見つめない。
私の方が先に彼に出会って好きになってるのに。
・・・ムカつく。
茉弘から二海くんが腹立つことばかりしてくる、と報告を受けるけど私にとってはその事が腹立たしかった。
なにそれ、自慢?
1番最初に手伝いに来た時だって、二海くんのTシャツ着ちゃってさ。
何食わぬ顔で借りた、なんて言うし。
ボトル作りしてる時だって、毎回茉弘にドリンク頼むし。
私の方が二海くんの好みに合わせて作ってるはずなのに。
そんな、嬉しそうな顔しないでよ。
私の方、見てよ。
ねぇ、二海くん・・・!!
「由紀?」
隣から発せられた茉弘の声に、ハッとする。
だけど、今は取り繕うひまなんてなかった。
「・・・嬉しそうな顔、してるなーと思って。いつも不味いって言いながらさ」
これ以上は、ダメだ。
そう思っていても、口が勝手に動く。
「二海くんって、天邪鬼だったりする?」
心から否定して欲しい、そんな願いを込めて。
でも、帰ってきたのは口先だけの言葉。
知ってる、好きだからこそいじめたくなるんでしょ。
私なんて、眼中にないんでしょ?
「ふぅん・・・そっか」
でも、大丈夫。
いつか絶対、私の事好きになってもらうから。
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