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第86話
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この声・・・二海・・・?
そう思って目を開いてみると、目の前には二海が息を切らしながら山崎くんから私を守るように立っていた。
「ふ、二海っ・・・!?」
「なんでこいつがいるんだよっ・・・!マドンナはどうした!?」
「二海くん!!」
その声と共に、こちらに走ってくる由紀の姿が見える。
なんで、由紀まで・・・?
「三島の様子もお前の様子もおかしかったから気になって来てみれば・・・辻本になにしてんだよ!!」
うらめしそうに二海を睨みつける山崎くんに、声を荒げた二海。
二海、かなり怒ってる・・・?
「なにって、告白だけど。君にそれを邪魔する権利なんてないだろ?」
「嫌がってる奴相手に無理矢理迫ってるのを見て無視できっかよ!」
バチバチと火花を散らしながら言い合いをする2人。
そんな2人の間に入るように、由紀が立ち止まった。
「・・・ごめん、山崎。二海くんのこと足止めできなかった。・・・本当にムカつく。目の前にいる私より、茉弘なんかのこと気にしちゃってさ」
「・・・由紀・・・?」
山崎くんもいつもと様子が違かったけど、それは由紀も同じだった。
いつもより声低いし、何より・・・口調が荒い。
「私の方が茉弘より可愛いはずなのに、二海くんは“辻本、辻本”って・・・!!私の方が二海くんのこと好きなのに!!なんで茉弘の事ばっかりみるの!?」
「三島・・・?」
今度は、二海が驚く番だったみたい。
由紀、好きな人はいないって言ってたはずじゃ・・・。
「アンタ、ほんとにムカつくんだよ!!アンタが腹立つって言って話してた二海くんの愚痴だって、私にとっては自慢話でしか無かった!!」
ヒートアップしていく由紀の愚痴。
それは、私に向けられたものだった。
「私の方が茉弘より可愛いでしょ!?なんで二海くんは私の方を見てくれないの!?私はこんなに二海くんの事が好きなのに!!アンタみたいな芋女にどーして二海くんを取られなきゃいけないのっ!?」
胸元に手を当てて、二海に言いよる由紀。
たまに、由紀がボソッと何かを言っていたのを思い出す。
もしかして、あの時も私に対する文句を言ってた・・・?
「そんな大声出してどうしたの!?」
私がショックを受けていると、遠くから茂木先輩が走ってくるのが見えた。
「・・・三島、俺らの負けだ。引くぞ」
「・・・チッ・・・!」
茂木先輩の姿をみて、2人はスタスタと離れていく。
それを見て、酷く安心してしまう自分がいた。
「・・・何かあったの?」
立ち去った由紀達を見つめながら私と二海に声をかける茂木先輩。
そりゃそうか、同じ部活の後輩が大声で言い合いしてたら何事かと思うよね。
「いや、コイツが絡まれてただけっす」
「・・・そっか、大変だったね。俺、ちょっと行くところあるから、今日は部活行けないって主将に伝えて」
「ウィッス」
そういうと、茂木先輩はその場から去っていく。
その場に二海と私だけが残り、沈黙が流れる。
これは・・・お礼、言った方がいいのかな。
それとも、あの2人の事については触れちゃいけないのかな?
「・・・なぁ、辻本」
「え、なに?」
そんなことを考えていると、二海から声をかけられる。
顔を上げると、二海も私の方を振り返りながら見ていて視線が合った。
「・・・お前・・・いつまで俺の服掴んでるつもり?」
「あっ・・・ゴメン!」
どうやら私は二海が現れてから今まで、彼の服を掴み続けていたらしい。
パッと手を離して、視線を逸らした。
ずっと握ってることに気付かないほど動揺してたってことかな。
「・・・部活行くか」
「・・・うん」
二海の言葉に素直に頷き、部活をするべく体育館の中へと入った。
だけど、その日・・・由紀は部活に来なかった。
そう思って目を開いてみると、目の前には二海が息を切らしながら山崎くんから私を守るように立っていた。
「ふ、二海っ・・・!?」
「なんでこいつがいるんだよっ・・・!マドンナはどうした!?」
「二海くん!!」
その声と共に、こちらに走ってくる由紀の姿が見える。
なんで、由紀まで・・・?
「三島の様子もお前の様子もおかしかったから気になって来てみれば・・・辻本になにしてんだよ!!」
うらめしそうに二海を睨みつける山崎くんに、声を荒げた二海。
二海、かなり怒ってる・・・?
「なにって、告白だけど。君にそれを邪魔する権利なんてないだろ?」
「嫌がってる奴相手に無理矢理迫ってるのを見て無視できっかよ!」
バチバチと火花を散らしながら言い合いをする2人。
そんな2人の間に入るように、由紀が立ち止まった。
「・・・ごめん、山崎。二海くんのこと足止めできなかった。・・・本当にムカつく。目の前にいる私より、茉弘なんかのこと気にしちゃってさ」
「・・・由紀・・・?」
山崎くんもいつもと様子が違かったけど、それは由紀も同じだった。
いつもより声低いし、何より・・・口調が荒い。
「私の方が茉弘より可愛いはずなのに、二海くんは“辻本、辻本”って・・・!!私の方が二海くんのこと好きなのに!!なんで茉弘の事ばっかりみるの!?」
「三島・・・?」
今度は、二海が驚く番だったみたい。
由紀、好きな人はいないって言ってたはずじゃ・・・。
「アンタ、ほんとにムカつくんだよ!!アンタが腹立つって言って話してた二海くんの愚痴だって、私にとっては自慢話でしか無かった!!」
ヒートアップしていく由紀の愚痴。
それは、私に向けられたものだった。
「私の方が茉弘より可愛いでしょ!?なんで二海くんは私の方を見てくれないの!?私はこんなに二海くんの事が好きなのに!!アンタみたいな芋女にどーして二海くんを取られなきゃいけないのっ!?」
胸元に手を当てて、二海に言いよる由紀。
たまに、由紀がボソッと何かを言っていたのを思い出す。
もしかして、あの時も私に対する文句を言ってた・・・?
「そんな大声出してどうしたの!?」
私がショックを受けていると、遠くから茂木先輩が走ってくるのが見えた。
「・・・三島、俺らの負けだ。引くぞ」
「・・・チッ・・・!」
茂木先輩の姿をみて、2人はスタスタと離れていく。
それを見て、酷く安心してしまう自分がいた。
「・・・何かあったの?」
立ち去った由紀達を見つめながら私と二海に声をかける茂木先輩。
そりゃそうか、同じ部活の後輩が大声で言い合いしてたら何事かと思うよね。
「いや、コイツが絡まれてただけっす」
「・・・そっか、大変だったね。俺、ちょっと行くところあるから、今日は部活行けないって主将に伝えて」
「ウィッス」
そういうと、茂木先輩はその場から去っていく。
その場に二海と私だけが残り、沈黙が流れる。
これは・・・お礼、言った方がいいのかな。
それとも、あの2人の事については触れちゃいけないのかな?
「・・・なぁ、辻本」
「え、なに?」
そんなことを考えていると、二海から声をかけられる。
顔を上げると、二海も私の方を振り返りながら見ていて視線が合った。
「・・・お前・・・いつまで俺の服掴んでるつもり?」
「あっ・・・ゴメン!」
どうやら私は二海が現れてから今まで、彼の服を掴み続けていたらしい。
パッと手を離して、視線を逸らした。
ずっと握ってることに気付かないほど動揺してたってことかな。
「・・・部活行くか」
「・・・うん」
二海の言葉に素直に頷き、部活をするべく体育館の中へと入った。
だけど、その日・・・由紀は部活に来なかった。
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