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第2章 ザナドゥ王国
第62話 軍事政権の隣国
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メナストーン国の開発のため必要な物を揃えている最中、メナストーン国の懐事情が色々と分かってきた。
まずミュゼウスだが、金がないため場末の宿の1室に滞在していた。
いくら子供でも女の子、そんな危険な場所に停めてはおけないという事で、城が完成するまで使っていた屋敷の1室を使わせることにした。
1室といっても高級ホテルのVIPルーム並の広さがある。
屋敷は倉庫として使われていたのだが、今後は小国の仮の大使館として使われるようになる。
それ以外にもミュゼウスを見てわかる通り、14歳にもかかわらず10歳程度の体つきをしている。
単純に栄養が足りていないのだ。
それは国全体の問題で、国民どころか国王もやせ細っているらしい。
子供が王子・王女の2人しかいないのも、食い扶持を最小限にとどめるためだ。
なので暫らくは修斗達と打ち合わせと称して共に食事をする事になる。
これはキャロル内政・人事担当の希望でもあった。
準備を整えている中、何やら不穏な空気が漂ってくる。
建国式典に来なかった国が、ザナドゥ王国に攻め込もうとしているらしいのだ。
すでにスパイは世界各国に送り込まれているため、かなり早い段階での報告があったようだ。
ザナドゥ王国は広大な魔の森を背にしており、そこからの侵略はあり得ない。
直接接している国は5ヶ国あり、その内の1国が侵略を企てているようだ。
その国の名はゲーベルク軍国家。ザナドゥ王国周辺は小国が固まっているが、その中では大きめの国だ。
現在ザナドゥ王国の兵力は3千ほど。対してゲーベルク軍国家は4万以上と10倍以上の差がある。
これだけの差があれば、軍事政権の国ならば攻めないはずがない。
しかしザナドゥ王国の、メナストーン国への支援の準備が滞る事は無かった。
逆にミュゼウスなどが心配するほどに。
「心配する必要はありませんよレディ。兵士はいつも通りに訓練し、僕たちもいつも通りに生活していればいいのですから」
フローレンス都市開発長が、ミュゼウスの髪に櫛を入れながら落ち着かせる。
イスに座っているミュゼウスの髪はかなり痛んでいたらしく、フローレンスがそれを気にして頻繁に手入れをしているようだ。
「でもフローレンスさん、ゲーベルク軍国家といえばこの辺りではかなりの強国です。いくら皆さんが強くても、圧倒的な数の前には……」
「ふふふ、ご安心を。きちんと手は打ってありますから」
「そうさミュゼウス姫。アタシの魔法兵団はもちろん、ウィリアムが率いる騎士団も強いからね。心配しなさんな」
レベッカ魔法兵長はミュゼウスの肌の手入れをしている。
保湿液を優しく肌に塗り、爪の手入れまでしていた。
「ありがとうございます皆さん。皆さんにこんなにして頂いて、私、とても恐縮で……」
「なぁ~に気にする事は無いよ。こんなに可愛らしいお嬢さんに構うなって言う方が無理だからね」
実際の所、ミュゼウスは重鎮たちに可愛がられていた。
国が貧しい事が関係しているのかとても控えめで、姫様なのに家事全般がとても上手で、チョコマカ動き回る姿は愛らしい。
そんなミュゼウスを放っておくはずが無かったのだろう。
しばらくすると、ゲーベルク軍国家が本格的に行動を開始した。
軍隊を国境沿いに大量に配備し、いつ攻め込んでもおかしくない状況だ。
「随分とのんびりしているな。さっさと宣戦布告して、さっさと攻めて来ればいいのに」
「シュウト様、アレは我々を威嚇しているのです。いま降伏したら許してやるぞ、と」
「つまり俺をなめてるのか?」
「その通りです」
城の1室で、ゆっくりとお茶を飲んでくつろいでいる修斗とウィリアム騎士団長の会話がだ、間違ってはいないが正解でもない。
ゲーベルク軍国家は圧倒的な兵力差を見せつけて、相手国が怖気づいた所で自分に優位な交渉をしようと考えているのだ。
戦争とはいえ金をかけ過ぎたく無い、しかし金は欲しい、そんなせめぎ合いの結果の行動だ。
「メナストーン国への支援の準備はどうなっている?」
「は。メナストーン国への支援の準備は9割がた完了しており、あと数日で全て完了する予定でございます」
「そうか。なら明日にでもこちらから攻め込むか。メナストーンへの移動の邪魔をされては困るからな」
「ザナドゥ王国の最初の危機って訳だね? ワクワクしてくるじゃないか」
「おお! 考えてみればコレは侵略される危機でした! ならば全力で受けて立ちましょう!」
「言われてみれば。兵力差10倍以上なんて、本来なら降伏しかありませんものね」
「はぁ、ウチの姉さん方はどうしてこう、世間とのズレが大きすぎるかね」
「気にするな。魔の森開拓の時から分かっていた事だ」
「あはははは、魔の森にクラベたら、ヒトのアイテってかんたんデス」
「その感覚に付いていけている自分が恐ろしくなってくるよ。僕も染まってしまったかな」
「ほほほほ。国難のはずなのに喜んでいるなんて、皆さんもなかなかの趣味でございますですな、ハイ」
「私にはまだ、その感覚が理解できないのだが……」
9人の重鎮たちは、自分たちの感覚が正常なのかどうなのか分からないだろう。
しかし自分たちがする準備はすべて完了しているあたり、油断という言葉は当てはまらない様だ。
翌朝、3千のザナドゥ王国軍と4万のゲーベルク軍国家が対峙する事となった。
まずミュゼウスだが、金がないため場末の宿の1室に滞在していた。
いくら子供でも女の子、そんな危険な場所に停めてはおけないという事で、城が完成するまで使っていた屋敷の1室を使わせることにした。
1室といっても高級ホテルのVIPルーム並の広さがある。
屋敷は倉庫として使われていたのだが、今後は小国の仮の大使館として使われるようになる。
それ以外にもミュゼウスを見てわかる通り、14歳にもかかわらず10歳程度の体つきをしている。
単純に栄養が足りていないのだ。
それは国全体の問題で、国民どころか国王もやせ細っているらしい。
子供が王子・王女の2人しかいないのも、食い扶持を最小限にとどめるためだ。
なので暫らくは修斗達と打ち合わせと称して共に食事をする事になる。
これはキャロル内政・人事担当の希望でもあった。
準備を整えている中、何やら不穏な空気が漂ってくる。
建国式典に来なかった国が、ザナドゥ王国に攻め込もうとしているらしいのだ。
すでにスパイは世界各国に送り込まれているため、かなり早い段階での報告があったようだ。
ザナドゥ王国は広大な魔の森を背にしており、そこからの侵略はあり得ない。
直接接している国は5ヶ国あり、その内の1国が侵略を企てているようだ。
その国の名はゲーベルク軍国家。ザナドゥ王国周辺は小国が固まっているが、その中では大きめの国だ。
現在ザナドゥ王国の兵力は3千ほど。対してゲーベルク軍国家は4万以上と10倍以上の差がある。
これだけの差があれば、軍事政権の国ならば攻めないはずがない。
しかしザナドゥ王国の、メナストーン国への支援の準備が滞る事は無かった。
逆にミュゼウスなどが心配するほどに。
「心配する必要はありませんよレディ。兵士はいつも通りに訓練し、僕たちもいつも通りに生活していればいいのですから」
フローレンス都市開発長が、ミュゼウスの髪に櫛を入れながら落ち着かせる。
イスに座っているミュゼウスの髪はかなり痛んでいたらしく、フローレンスがそれを気にして頻繁に手入れをしているようだ。
「でもフローレンスさん、ゲーベルク軍国家といえばこの辺りではかなりの強国です。いくら皆さんが強くても、圧倒的な数の前には……」
「ふふふ、ご安心を。きちんと手は打ってありますから」
「そうさミュゼウス姫。アタシの魔法兵団はもちろん、ウィリアムが率いる騎士団も強いからね。心配しなさんな」
レベッカ魔法兵長はミュゼウスの肌の手入れをしている。
保湿液を優しく肌に塗り、爪の手入れまでしていた。
「ありがとうございます皆さん。皆さんにこんなにして頂いて、私、とても恐縮で……」
「なぁ~に気にする事は無いよ。こんなに可愛らしいお嬢さんに構うなって言う方が無理だからね」
実際の所、ミュゼウスは重鎮たちに可愛がられていた。
国が貧しい事が関係しているのかとても控えめで、姫様なのに家事全般がとても上手で、チョコマカ動き回る姿は愛らしい。
そんなミュゼウスを放っておくはずが無かったのだろう。
しばらくすると、ゲーベルク軍国家が本格的に行動を開始した。
軍隊を国境沿いに大量に配備し、いつ攻め込んでもおかしくない状況だ。
「随分とのんびりしているな。さっさと宣戦布告して、さっさと攻めて来ればいいのに」
「シュウト様、アレは我々を威嚇しているのです。いま降伏したら許してやるぞ、と」
「つまり俺をなめてるのか?」
「その通りです」
城の1室で、ゆっくりとお茶を飲んでくつろいでいる修斗とウィリアム騎士団長の会話がだ、間違ってはいないが正解でもない。
ゲーベルク軍国家は圧倒的な兵力差を見せつけて、相手国が怖気づいた所で自分に優位な交渉をしようと考えているのだ。
戦争とはいえ金をかけ過ぎたく無い、しかし金は欲しい、そんなせめぎ合いの結果の行動だ。
「メナストーン国への支援の準備はどうなっている?」
「は。メナストーン国への支援の準備は9割がた完了しており、あと数日で全て完了する予定でございます」
「そうか。なら明日にでもこちらから攻め込むか。メナストーンへの移動の邪魔をされては困るからな」
「ザナドゥ王国の最初の危機って訳だね? ワクワクしてくるじゃないか」
「おお! 考えてみればコレは侵略される危機でした! ならば全力で受けて立ちましょう!」
「言われてみれば。兵力差10倍以上なんて、本来なら降伏しかありませんものね」
「はぁ、ウチの姉さん方はどうしてこう、世間とのズレが大きすぎるかね」
「気にするな。魔の森開拓の時から分かっていた事だ」
「あはははは、魔の森にクラベたら、ヒトのアイテってかんたんデス」
「その感覚に付いていけている自分が恐ろしくなってくるよ。僕も染まってしまったかな」
「ほほほほ。国難のはずなのに喜んでいるなんて、皆さんもなかなかの趣味でございますですな、ハイ」
「私にはまだ、その感覚が理解できないのだが……」
9人の重鎮たちは、自分たちの感覚が正常なのかどうなのか分からないだろう。
しかし自分たちがする準備はすべて完了しているあたり、油断という言葉は当てはまらない様だ。
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