ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第3章 異世界召喚

第75話 勇者の装備は安物一式

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「さあ皆さん、こちらへお越しください。これからのご説明を行わせていただきます」

 リリーアムに連れられて来た場所は、倉庫のような場所だった。
 しかしよく見ると、武器や防具などが並べられており、服などもたくさん置いてある。
 湿っぽい石造りの部屋なので、少なくともいい品が置いてある場所では無いだろう。

「この部屋で皆さんの装備を整えてください。剣士でも魔法使いでも、一通りの装備が揃うはずでございます」

 6人が所狭しと詰め込まれた装備を見ているが、そもそも自分が何を持てばいいのか分かっていないものが居るようだ。
 女2人は戸惑うだけだし、モヒカンと優男やさおとこも戸惑っている。
 唯一、いや修斗を入れたら2人だが、ドレッドヘアーを後ろで纏めている男だけが迷わず装備を手にする。

「召喚して直ぐに確認したステータスで判断いたしますと、ウェズ様は弓兵アーチャー、ウィークエンド様は剣士ソードマン、ラングレン様は聖騎士パラディン、アイカ様は剣士ソードマン、ヴァージニア様は盗賊シーフ、シュウト様は魔法使いマジシャンでございます。参考までに」

 ウェズが細身の赤いモヒカン頭、ウィークエンドがタンクトップのドレッドヘアー、ラングレンは女の肩を抱いていた優男、アイカは黒縁メガネ黒髪短髪で泣いていた女、ヴァージニアは薄い金髪ロングの背の低い女だ。

 パッと聞いた感じだと前衛3後衛3だが、剣士2聖騎士1、弓兵1、盗賊1、魔法使い1なため、前衛寄りな組み合わせになる。

「武器を選ぶ際は皆さんで相談するとよいでしょう。6人で一緒に行動をする事になりますので」

 どうやら6人パーティーで行動するようだ。
 そういえば国王が『この街を拠点にして、訓練や武器を揃える』と言っていた。
 つまり今のステータスでは大魔王に勝てないと言う事だろう。

 本来であれば修斗1人で倒せる相手だろうが、修斗は今テンションが上がっている。
 勇者と言う名の奴隷を呼び出して、この国は本当に救いを求めているのか? 違うのならその目的は何か。
 都合のいい労働力なのかエサなのか。

 いつザマァ実行しようかと楽しみで仕方が無いのだ。

「それなら俺様は決まってんゼ。ボウガンを使い慣れてっからなァ……こんな風になァ!!!」

 置いてあったボウガンに矢を込めて、ブタ女のリリーアムへ向ける。
 このモヒカン頭、どうやら随分と短気なようだが、ボウガンを向けられたリリーアムは全く動揺していない。

「ほほほ、ご冗談はおやめください。わたくしを脅しても何も出ませんよ?」

「イッヒッヒッヒ、そりゃそーだ。脅してもな~んにもなんねェからなァ……死ねヤァァァァア!!!」

 ボウガンのレバーを握る手に力が入る。
 モヒカン……もとい、ウェズは本気で殺すつもりのようだ。
 だが一向に矢が射出されない。

「ん? あれ? なんだこりャ? 手が、手がうごかねェ!」

「ほほほ、当たり前でございます。召喚した相手に制限もつけず、行動させるとお思いでしょうか? イルメリータント国の王侯貴族おうこうきぞくには、手を上げる事は出来ないのでございますよ」

 ステータス画面上にはそんな項目は無い。
 であれば、状 態:国王命令絶対施行しこうが影響しているのだろうか。
 とにかく王侯貴族に対しては、殺したくても殺せないようになっているようだ。

「さぁさぁ、遊んでいる時間はございませんよ? 早く装備を決めて、ギルドに登録してもらわなくてはいけないのですから」

 手を2回たたき、6人をかし始める。
 各々が職種にあった武器を選び始めるが、修斗の魔法使いの装備はあまりにも粗末な物しか無かった。
 今にも折れそうな木の杖、木製のかたい靴、生地の薄いシャツとズボン、所々破れているマント。
 かろうじてまともなのは、古ぼけたベレー帽だけだった。

 ステータスを確認してみると、どの装備もあまりに安物で、街で売っている一般の服の方がマシな物が沢山あるだろう。
 しかし何も持たないわけにもいかず、渋々装備するのだが、何やら腰ベルトに沢山のポケットや、弾丸を差す様な輪が付いている。
 不思議そうに見ていると、リリーアムが声をかけてきた。

「その輪には試験管を差すのです。魔法を使う時には薬が必要でしょう?」

「薬だと? この世界では魔法に薬を使うのか?」

「ええ、シュウト様の世界では違ったのですか? ここでは薬を消費して、魔法を使うのです」

 よく見ると沢山の試験管が並んでおり、中には色とりどりの液体が入っている。
 どうやら使う魔法によって消費する薬が違うようだ。

「どれを持って行けばいいのか分からんな」

「よく使われるのはコレとコレ、後は……」

 言われるままにベルトに差していくと、あっという間にいっぱいになってしまった。
 魔法を使うのに薬を使うとは……魔法は技術というよりも、化学の分類なのだろうか。

 魔法使いの装備は他に無かったので、修斗の装備はこれで決定だ。
 他の者の装備だが、そちらも大して種類は無く、ほとんど好みで選んでも問題が無かった。

「さぁさぁ皆さん、準備が出来たら冒険者ギルドへ参りましょう。そこで登録をして、腕を磨き、大魔王討伐を成し遂げるのです」

 随分と嬉しそうに言っているが、大魔王討伐はこの国の悲願では無いのだろうか。
 まるで子供にお使いを頼んでいるような感覚だ。

「ふぅ。なれた装備に近いものがあって良かった。これなら何とか戦えそうだ」

 聖騎士の優男・ラングレンが騎士装備を纏い、一安心している。
 ドレッド頭の剣士・ウィークエンドは盾は持たず、大きな剣と肩・籠手・具足の3カ所のみ金属鎧を装備し、他は硬めの革鎧だ。

「ロクな物が無いな……」

 ろくなものが無いのは同意するしかない。
 本当にロクな物が無いく、初心者装備しか置いて無いのだ。
 これで大魔王を倒せとは……使い捨て勇者なのだろうか。

「それでは冒険者ギルドへ向かいましょう。ご案内いたします」
 
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