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第3章 異世界召喚
第90話 要塞内の罠
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森を進むと大魔王軍の砦が見えてきた。
てっきり木で造られた簡易的な砦かと思ったが、小型の要塞の様な出で立ちだ。
「な、なんだこれは!? 以前来た時はもっと簡単な物だったぞ!」
騎士団はおろか、騎士団長も驚いている事から、どうやらこの要塞は最近建てられた物のようだ。
石を積み上げられた防壁、鉄でできた大きな門、両端には尖塔が建てられており、監視・攻撃どちらにも対応できる物だ。
そして防壁の上には、騎士団を待ち構える魔物たちで溢れかえっていた。
「ほぅ? 魔物たちを指揮する者が居るんだな。てっきりさっきのサキュバスだと思ったが、専用の者が居るようだ」
「っつ~こたぁ~よぉ? 敵さんは俺達を、手ぐすね引いて待ってたってぇ~こったなぁ?」
「どうやらその様だ。だが今回は騎士団は役に立たない、俺達が不利だ」
「何を弱気になっているんだ! 騎士たる者、薬の効果が切れたところで逃げも隠れもしないぞ!」
騎士団が役に立たない、それはヴァージニアの食事によるドーピング効果が切れているからだ。
昨晩は効果モリモリの食事のお陰で完勝したが、すでにその効果は切れており、今の騎士団は通常通りの能力しか発揮できない。
もちろん砦が以前のままで、魔物も偵察がメインの物ならば問題は無かった。
しかし今回は違う。昨日の事からもわかる通り、完全に戦闘員が配備されているのだ。
このまま戦うのは死にに行くようなもの……誰もがそう思っているハズ、だった。
しかしその考えは勇者たちだけだった。
騎士達は昨晩の圧勝の勢いのまま、自分達の能力を過信していたのだ。
「うむ、扉は開いているな、それならば気づかれる前に攻め込めば、一気に内部になだれ込み、制圧出来るだろう」
静かに指示を出し、いくつかの部隊に分けて突入するつもりのようだ。
修斗達は何も言わず見ているが、なぜ扉が全開で開いているのかが気がかりだった。
だがそれを好機ととらえている騎士団は、滞りなく部隊編成を終えた。
100人は5つの部隊に分けられ、騎士団長の号令と共に突撃を開始する。
まずは3部隊が突撃し、扉周辺の魔物を掃討する。
魔物はあっけなく後退し、3部隊全てが要塞の中に入ると、残りの2部隊も後に続いて突入を開始する。
しかし2部隊は要塞にたどり着くことが出来なかった。
砦から沢山の鳥の様な魔物が飛来し、頭サイズの石を無数に落としていたのだ。
空からの攻撃に騎士達はなすすべがなく、見る見るその数を減らしていく。
何とか数名が要塞にたどり着いたが、中の光景を見て絶句していた。
中は壁に覆われており、入った騎士達は壁の上から矢で撃たれ放題、壁の小さな穴からは魔法が飛んできていた。
1つだけ逃げ道の様な通路があるが道は狭く、そこに逃げ込んだ者は見るも無残な姿になっている。
この要塞は外敵を追い払うだけでなく、中に誘い込んだ敵を効率よく殺すための要塞だったのだ。
「ねぇシュウト君、流石に助けに入らない? このまま黙って見ていられないよ……」
「ご主人様……昨日振る舞った食事が、無駄になってしまいます」
アイカとヴァージニアは助けに入りたいようだ。
会ったばかりとは言え、共に戦った仲間という情が湧いているのだろう。
しかし修斗の一言で、勇者たちは助けに行くのをためらう事になる。
「砦の中にいる魔物たち、全員がお前達よりも強いが、行きたいのか?」
「「「「「え?」」」」」
「サキュバスのラライラ・ライラだが、アレはお前達の3倍以上強い。砦の中の奴らはそこまではいかないが、1.5倍以上は当たり前にいる」
「で、でも昨日の魔物はそんなに強くなかったよ!?」
「本来ならばあんな雑魚でも勝てる戦いだったんだろう。現にヴァージニアの食事が無ければ勝てなかったからな」
「じゃ、じゃぁよぅ、俺達もザコ相手に負けてたってぇ~事なのかぁ? あ~ん」
「昨日の雑魚になら勝てていたな。楽勝ではないが」
「え、だ、だって、ステータスって999までじゃないの?」
「それは人間らしき者だけのようだな」
「じゃあ私達……魔族と戦えないんですか?」
「無理だな。そもそも冒険者の中には800越えが何人かいたんだ、大魔王も999までなら、そいつらで討伐に行けばいいだろう?
「で、ではシュウト君、君はどうして魔族の砦を攻めようなんて言ったんだい?」
「俺なら勝てるからだが?」
「ちなみに、お前のステータスはどうなっている?」
「教えてやってもいいが、誰にも言うなよ?」
5人が激しく首を上下させる。
「少なくともすべて1万は超えている」
動きが止まる。恐らくは5千や6千くらいだと思っていたのだろうが、それを簡単に上回ってしまったのだ。
しかも『少なくとも』という言葉が付いている。
実際は110万なのだが。
「そ……それじゃあシュウト君1人で魔族を壊滅できるの?」
「可能だ。しかし俺はあまり目立たないようにしているからな、お前達の武器と防具に手を加えておいた。騎士団を助けたいのなら、今の装備ならば問題は無いはずだ」
そういうと自分たちの武器を手にする。
まじまじと眺めているが、見た目の変化は見当たらない。
「行くんなら俺も行くが、俺を当てにするな。本当に手に負えない奴が出てきたら、その時は俺がやる」
「う、うん。お願いね」
そうして勇者一行は騎士団を助けるために動き出した。
てっきり木で造られた簡易的な砦かと思ったが、小型の要塞の様な出で立ちだ。
「な、なんだこれは!? 以前来た時はもっと簡単な物だったぞ!」
騎士団はおろか、騎士団長も驚いている事から、どうやらこの要塞は最近建てられた物のようだ。
石を積み上げられた防壁、鉄でできた大きな門、両端には尖塔が建てられており、監視・攻撃どちらにも対応できる物だ。
そして防壁の上には、騎士団を待ち構える魔物たちで溢れかえっていた。
「ほぅ? 魔物たちを指揮する者が居るんだな。てっきりさっきのサキュバスだと思ったが、専用の者が居るようだ」
「っつ~こたぁ~よぉ? 敵さんは俺達を、手ぐすね引いて待ってたってぇ~こったなぁ?」
「どうやらその様だ。だが今回は騎士団は役に立たない、俺達が不利だ」
「何を弱気になっているんだ! 騎士たる者、薬の効果が切れたところで逃げも隠れもしないぞ!」
騎士団が役に立たない、それはヴァージニアの食事によるドーピング効果が切れているからだ。
昨晩は効果モリモリの食事のお陰で完勝したが、すでにその効果は切れており、今の騎士団は通常通りの能力しか発揮できない。
もちろん砦が以前のままで、魔物も偵察がメインの物ならば問題は無かった。
しかし今回は違う。昨日の事からもわかる通り、完全に戦闘員が配備されているのだ。
このまま戦うのは死にに行くようなもの……誰もがそう思っているハズ、だった。
しかしその考えは勇者たちだけだった。
騎士達は昨晩の圧勝の勢いのまま、自分達の能力を過信していたのだ。
「うむ、扉は開いているな、それならば気づかれる前に攻め込めば、一気に内部になだれ込み、制圧出来るだろう」
静かに指示を出し、いくつかの部隊に分けて突入するつもりのようだ。
修斗達は何も言わず見ているが、なぜ扉が全開で開いているのかが気がかりだった。
だがそれを好機ととらえている騎士団は、滞りなく部隊編成を終えた。
100人は5つの部隊に分けられ、騎士団長の号令と共に突撃を開始する。
まずは3部隊が突撃し、扉周辺の魔物を掃討する。
魔物はあっけなく後退し、3部隊全てが要塞の中に入ると、残りの2部隊も後に続いて突入を開始する。
しかし2部隊は要塞にたどり着くことが出来なかった。
砦から沢山の鳥の様な魔物が飛来し、頭サイズの石を無数に落としていたのだ。
空からの攻撃に騎士達はなすすべがなく、見る見るその数を減らしていく。
何とか数名が要塞にたどり着いたが、中の光景を見て絶句していた。
中は壁に覆われており、入った騎士達は壁の上から矢で撃たれ放題、壁の小さな穴からは魔法が飛んできていた。
1つだけ逃げ道の様な通路があるが道は狭く、そこに逃げ込んだ者は見るも無残な姿になっている。
この要塞は外敵を追い払うだけでなく、中に誘い込んだ敵を効率よく殺すための要塞だったのだ。
「ねぇシュウト君、流石に助けに入らない? このまま黙って見ていられないよ……」
「ご主人様……昨日振る舞った食事が、無駄になってしまいます」
アイカとヴァージニアは助けに入りたいようだ。
会ったばかりとは言え、共に戦った仲間という情が湧いているのだろう。
しかし修斗の一言で、勇者たちは助けに行くのをためらう事になる。
「砦の中にいる魔物たち、全員がお前達よりも強いが、行きたいのか?」
「「「「「え?」」」」」
「サキュバスのラライラ・ライラだが、アレはお前達の3倍以上強い。砦の中の奴らはそこまではいかないが、1.5倍以上は当たり前にいる」
「で、でも昨日の魔物はそんなに強くなかったよ!?」
「本来ならばあんな雑魚でも勝てる戦いだったんだろう。現にヴァージニアの食事が無ければ勝てなかったからな」
「じゃ、じゃぁよぅ、俺達もザコ相手に負けてたってぇ~事なのかぁ? あ~ん」
「昨日の雑魚になら勝てていたな。楽勝ではないが」
「え、だ、だって、ステータスって999までじゃないの?」
「それは人間らしき者だけのようだな」
「じゃあ私達……魔族と戦えないんですか?」
「無理だな。そもそも冒険者の中には800越えが何人かいたんだ、大魔王も999までなら、そいつらで討伐に行けばいいだろう?
「で、ではシュウト君、君はどうして魔族の砦を攻めようなんて言ったんだい?」
「俺なら勝てるからだが?」
「ちなみに、お前のステータスはどうなっている?」
「教えてやってもいいが、誰にも言うなよ?」
5人が激しく首を上下させる。
「少なくともすべて1万は超えている」
動きが止まる。恐らくは5千や6千くらいだと思っていたのだろうが、それを簡単に上回ってしまったのだ。
しかも『少なくとも』という言葉が付いている。
実際は110万なのだが。
「そ……それじゃあシュウト君1人で魔族を壊滅できるの?」
「可能だ。しかし俺はあまり目立たないようにしているからな、お前達の武器と防具に手を加えておいた。騎士団を助けたいのなら、今の装備ならば問題は無いはずだ」
そういうと自分たちの武器を手にする。
まじまじと眺めているが、見た目の変化は見当たらない。
「行くんなら俺も行くが、俺を当てにするな。本当に手に負えない奴が出てきたら、その時は俺がやる」
「う、うん。お願いね」
そうして勇者一行は騎士団を助けるために動き出した。
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