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第4章 学園支配
第127話 陣取りゲーム プリズナーズベース
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「お、危ない危ない、今から午後の部が始まる所だね」
「ふ~、お年寄りはいたわらなければいけませんが、シュウト様の御活躍を見逃すわけには行けませんからね!」
「年寄り……まあいいですけど」
学園長との昼食会を終え、観覧席に戻ってきたザナドゥ王国集団。
どうやらキャロラインは学園長が気に入らない様だ。
「キャロライン様、今はアレの事は気にせず、シュウト様の御活躍を楽しみましょうよ」
「そう……ですね。シュウトさんも気付いていると思いますし、私達が学園で何かをする必要は無いでしょうね」
レベッカ魔法兵長も何かに気付いているようだが、あえて考えないようにしているようだ。
もしも修斗が配下達に何かをさせたいのなら、何らかの指示があるはずだろう。
今後関りがあるかも分からない学園に対し、これ以上考える意味も無い。
さて、午後の部で修斗が出場する競技は『プリズナーズベース』。
いわゆる陣取りゲームの様なもので、幅10メートル、長さ30メートルのステージを取り合う競技だ。
ステージの両端には高さ2メートルほどの司令台があり、そこにはめられた水晶に魔力を流す事で徐々に自軍の色が相手側に向けて侵攻し、その色を相手の司令台に接触させれば勝ちだ。
この競技は1チーム3名で行われ、基本的に1、2、3年から1人ずつ参加する。
「それでは作戦通りにお願いします先輩方」
「ああ。だが本当に大丈夫なのか?」
「その作戦が通用するなら、今までも使われていたと思うが……」
「今までとは少し変えてあります。万が一ダメな場合は第2プランでやりましょう」
修斗が司令台の上で先輩たちと確認をしているようだ。
相手チームも高台で話し合いをしているようだが、なにやらとても焦っている。
司令台の上には水晶がはめられた棒が伸びており、両チームが水晶に手をかざした時点で……競技が開始された。
修斗チームの側からは赤い色がゆっくりとステージを侵攻し、相手チームは青色が侵攻してくる。
大体2~3メートルほど色が進んだあたりだろうか、両チームは1人を残してステージに降り、まだ色が届いていない場所を奪い合う。
修斗は司令台に残って水晶に魔力を送っている。
ステージに降りた選手が走った場所は線を引いたように色が変わり、自軍の色が侵攻した場所に戻ってくることで自陣を広げる事が出来る。
これを繰り返す事で、水晶の侵攻よりも早く陣地を広げる事が出来るのだが、自分の色に戻る前に相手が線を横切ると無効になってしまう。
ちなみに魔法の使用が出来るため、妨害行為は何でもアリだ。
アリなのだが、水晶に魔力を送る者は自分で魔法防御壁を展開しており、ステージの者は激しく動きながら魔法で牽制をしているため、中々決着がつかないのだ。
だが長々と試合をする気のない修斗は、ちょっとした裏技を使う事にした。
修斗は水晶に魔力を送ったまま防御魔法を展開しているが、更に攻撃魔法の火炎弾を使用して敵司令台に向けて発射する。
もちろん本来であれば魔法防御壁で防がれるのだが、火炎弾は横にそれてしまう。
「はっ! 魔法の3つ使用なんて出来るはずがない! 当たるわけガァ!?」
後頭部に火炎弾が命中し、意識を失って倒れてしまった。
そう、火炎弾を相手の背後で反射させ、後頭部に命中させたのだ。
水晶に魔力を送る、魔法防御壁を張る、この2つを同時にするだけでも大変なのに、攻撃魔法を使用し、更に反射までさせたのだ。
水晶に魔力を送らなくなった相手は、侵攻していた時と同じ速度で色が戻っていく。
「な!? ば、バカな! どうやって攻撃を当てたんだ!?!?」
「ダメだ意識を失ってる! 走れ! 敵司令台まで走るんだ!!!」
そう、相手の司令台にタッチ出来れば、敵司令台に色が到達した事になるため、その時点で勝敗が付く。
つまり中盤から終盤にかけては司令台に人が居る必要は無く、3人で攻める事も可能だ。
そう、中盤以降ならば、だが。
序盤の色の侵攻が進んでいない時にやると、長く伸びた線は簡単に切られてしまい、逆に不利になってしまうのだ。
しかし序盤で水晶に魔力を送る者が居なくなった今、自軍の色が無くなる前に突き進むしか手が無い。
敵の2人はステージの両端を全力で走っているが、こちらは急ぐ必要もない。
味方の2人は慌てる事なく進み、敵が司令台に近づいた時に悠々と敵の線をふみカット。
すでに敵が追いつけない場所まで進んでいる味方は、何の障害もなく敵司令台に触れ、開始からわずか数分で決着が付いてしまった。
「うおおおーーー! なんだアレ! なんで魔法が跳ね返ってきたんだ?」
「スゲー! あんな戦法初めて見たぜ!」
「え? え? 魔法の3つ同時使用? まさか4つ使用!?」
今回の試合に関しては、相手選手からしたらなぜ負けたのか理解できないだろうが、観客からは全てが見えていたため、不正や反則といった声は上がらなかった。
試合が終わり、修斗は歓声にこたえるように片手をあげ、ゆっくりと司令台を降りる……その時!
修斗は胸を押さえ、血を吐きだしそして……階段を転げ落ちていく。
観客や審判も何があったのか理解が出来ず、いつまでも起きて来ない修斗に異変を感じ、誰かの悲鳴をきっかけに会場は騒然となるのだった。
「ふ~、お年寄りはいたわらなければいけませんが、シュウト様の御活躍を見逃すわけには行けませんからね!」
「年寄り……まあいいですけど」
学園長との昼食会を終え、観覧席に戻ってきたザナドゥ王国集団。
どうやらキャロラインは学園長が気に入らない様だ。
「キャロライン様、今はアレの事は気にせず、シュウト様の御活躍を楽しみましょうよ」
「そう……ですね。シュウトさんも気付いていると思いますし、私達が学園で何かをする必要は無いでしょうね」
レベッカ魔法兵長も何かに気付いているようだが、あえて考えないようにしているようだ。
もしも修斗が配下達に何かをさせたいのなら、何らかの指示があるはずだろう。
今後関りがあるかも分からない学園に対し、これ以上考える意味も無い。
さて、午後の部で修斗が出場する競技は『プリズナーズベース』。
いわゆる陣取りゲームの様なもので、幅10メートル、長さ30メートルのステージを取り合う競技だ。
ステージの両端には高さ2メートルほどの司令台があり、そこにはめられた水晶に魔力を流す事で徐々に自軍の色が相手側に向けて侵攻し、その色を相手の司令台に接触させれば勝ちだ。
この競技は1チーム3名で行われ、基本的に1、2、3年から1人ずつ参加する。
「それでは作戦通りにお願いします先輩方」
「ああ。だが本当に大丈夫なのか?」
「その作戦が通用するなら、今までも使われていたと思うが……」
「今までとは少し変えてあります。万が一ダメな場合は第2プランでやりましょう」
修斗が司令台の上で先輩たちと確認をしているようだ。
相手チームも高台で話し合いをしているようだが、なにやらとても焦っている。
司令台の上には水晶がはめられた棒が伸びており、両チームが水晶に手をかざした時点で……競技が開始された。
修斗チームの側からは赤い色がゆっくりとステージを侵攻し、相手チームは青色が侵攻してくる。
大体2~3メートルほど色が進んだあたりだろうか、両チームは1人を残してステージに降り、まだ色が届いていない場所を奪い合う。
修斗は司令台に残って水晶に魔力を送っている。
ステージに降りた選手が走った場所は線を引いたように色が変わり、自軍の色が侵攻した場所に戻ってくることで自陣を広げる事が出来る。
これを繰り返す事で、水晶の侵攻よりも早く陣地を広げる事が出来るのだが、自分の色に戻る前に相手が線を横切ると無効になってしまう。
ちなみに魔法の使用が出来るため、妨害行為は何でもアリだ。
アリなのだが、水晶に魔力を送る者は自分で魔法防御壁を展開しており、ステージの者は激しく動きながら魔法で牽制をしているため、中々決着がつかないのだ。
だが長々と試合をする気のない修斗は、ちょっとした裏技を使う事にした。
修斗は水晶に魔力を送ったまま防御魔法を展開しているが、更に攻撃魔法の火炎弾を使用して敵司令台に向けて発射する。
もちろん本来であれば魔法防御壁で防がれるのだが、火炎弾は横にそれてしまう。
「はっ! 魔法の3つ使用なんて出来るはずがない! 当たるわけガァ!?」
後頭部に火炎弾が命中し、意識を失って倒れてしまった。
そう、火炎弾を相手の背後で反射させ、後頭部に命中させたのだ。
水晶に魔力を送る、魔法防御壁を張る、この2つを同時にするだけでも大変なのに、攻撃魔法を使用し、更に反射までさせたのだ。
水晶に魔力を送らなくなった相手は、侵攻していた時と同じ速度で色が戻っていく。
「な!? ば、バカな! どうやって攻撃を当てたんだ!?!?」
「ダメだ意識を失ってる! 走れ! 敵司令台まで走るんだ!!!」
そう、相手の司令台にタッチ出来れば、敵司令台に色が到達した事になるため、その時点で勝敗が付く。
つまり中盤から終盤にかけては司令台に人が居る必要は無く、3人で攻める事も可能だ。
そう、中盤以降ならば、だが。
序盤の色の侵攻が進んでいない時にやると、長く伸びた線は簡単に切られてしまい、逆に不利になってしまうのだ。
しかし序盤で水晶に魔力を送る者が居なくなった今、自軍の色が無くなる前に突き進むしか手が無い。
敵の2人はステージの両端を全力で走っているが、こちらは急ぐ必要もない。
味方の2人は慌てる事なく進み、敵が司令台に近づいた時に悠々と敵の線をふみカット。
すでに敵が追いつけない場所まで進んでいる味方は、何の障害もなく敵司令台に触れ、開始からわずか数分で決着が付いてしまった。
「うおおおーーー! なんだアレ! なんで魔法が跳ね返ってきたんだ?」
「スゲー! あんな戦法初めて見たぜ!」
「え? え? 魔法の3つ同時使用? まさか4つ使用!?」
今回の試合に関しては、相手選手からしたらなぜ負けたのか理解できないだろうが、観客からは全てが見えていたため、不正や反則といった声は上がらなかった。
試合が終わり、修斗は歓声にこたえるように片手をあげ、ゆっくりと司令台を降りる……その時!
修斗は胸を押さえ、血を吐きだしそして……階段を転げ落ちていく。
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