ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第4章 学園支配

第126話 知らねー奴が悪いんだよ

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『第78回、アカデミー魔法学園の競技会を開催いたします!』

 会場にアナウンスが流れ、2つの競技が同時に開始される。
 修斗が参加する競技『フォーハンドレッド・ショット』も開始されるようだ。
 この競技は100個のまとをより多く落としたチームの勝ちで、各チームから1人ずつ参加し、順番に現れる的を一斉に攻撃するのだ。
 場所もタイミングもランダムに現れるため、魔法の発生速度と正確性、反射神経が求められる競技だ。

「頑張ってねシュウト君!」

 選手控室から出て行く修斗を見送るポリン。
 修斗は軽く手を振って出て行くが、会場はすでに熱気に包まれていた。

 『フォーハンドレッド・ショット』の選手が、四角い透明度の高い1辺20メートルの箱の4方向に立つと、スタンバイのブザーが鳴らされる。
 一斉に手を前に構え、スタートの合図を待っているのだが、修斗は構える事なく腕を組んだままだ。

 スタートのブザーが鳴らされると、枠の中に10センチ程度の的が1つ現れ、同時に3つの魔法が一斉に的目がけて飛んで行く。
 しかし魔法が届く前に的がはじけ飛ぶ。

 3選手どころか会場にもどよめきが走り、何かのミスがあったのかと思われたが、各選手の背後にあるポイント表示板には、ある選手に1ポイント入っていた。
 修斗のポイントとして認められていたようだ。

 その後も次々に的が現れるのだが、3つの魔法が届く前に次々と的が破壊されていく。

「どういう事だ! シュウトめ、何か不正をしているのではないのか!?」

 生徒会の大男ローガスが控室でその様子を見ていたが、生徒会長フランチェスカがそれを否定する。

「いいえ、少なくとも魔法が発動されているのは間違いないようだわ。目に見えない魔法が的を破壊しているからこそ、判定機もシュウト君にポイントを入れているのよ」

「し、しかし目に見えない魔法だと? マジックアローでも小さいだけで見えるはずだ」

「……前に噂で聞いたのだけれど、ある冒険者が離れた2点の空間を繋ぎ、一瞬で移動をしたそうよ。その冒険者は空間魔法だと言ったそうだけれど、シュウト君もそれに近い魔法を使っているのだとしたら……」

「空間……魔法だと? 空間魔法は遠くを見るだけではないのか?」

「分からないわ。ひょっとしたら空間魔法は、私達が思っている物と違うのかもしれない。レンズの様な物ではなく、違う法則で遠くを見ているのだとしたら……」

 2人の目が会場に戻る。
 会場ではすでに修斗のポイントが51を超え、勝ちを確定させてしまっていた。
 本来ならば枠の中に現れる的はランダムなため、選手に近い場所に現れれば有利になるはずだった。
 しかし修斗が使っている魔法は、そんな距離という有利不利を完全に無視していたのだ。

 結局修斗が100ポイントとり、完勝で試合は終わった。
 他の3選手は疲労困憊ひろうこんぱいだが、修斗は汗一つかかずに控室へと戻る。

「シュウト君シュウト君! すごいね! なにあれ!?」

 ポリンが抱き付いて来そうな勢いで出迎えたが、早速質問攻めだ。

「あれは空間魔法を使って直接まとを破壊したんだよ。目視出来れば距離は関係ないから、どこに現れても不利にはならないからね」

 しきりに驚いているポリンだが、周囲の反応は少し違うようだ。
 ライバル心を燃やすもの、気に食わないと舌打ちする者、少ない情報で再現しようとする者。
 
 競技は進んでいき、生徒会長フランチェスカの番になる。
 フランチェスカは去年72ポイントを叩きだしており、今年は何ポイントになるかが注目されていた。
 大方の予想通りフランチェスカが圧倒的有利に進み、終わってみれば86ポイントというスコアを叩きだしていた。

 間違いなく修斗に対抗心を燃やしていたのだが、やはり現れる的の距離によっては落せない物があったようだ。
 それでも修斗を抜かせば過去最高であり、称賛される数字だ。

 午前中が終わった時点での各チームの点数は以下の通り。
 青龍チーム:628(修斗のチーム)
 朱雀チーム:619(生徒会長のチーム)
 玄武チーム:388
 白虎チーム:331
 となっていた。

 なんと精鋭を揃えた修斗の青龍チームと、落ちこぼれを集めた生徒会長の朱雀チームが近い点数なのだ。
 それもそのはず、生徒会長の朱雀チームは、生徒会長のクラスメイト全員が全種目に参加している。
 学園でトップのクラスが全員13種目に参加しているという、強硬手段ともいえる手を使っているのだが、それを責める事は出来ない。

 朱雀チームは各学年1クラスの合計3クラスしかおらず、他は4クラス参加しているため、人数が足りないのだ。
 しかも落ちこぼれクラスばかりであり、士気は低い。
 こうするしか勝てる目が無いのだ。




「ふ~。やっぱりシュウトがトップだね!」

「はっはっは! これでシュウト様の名声がうなぎのぼりです!」

「え? だって国王って事は伝わってませんよ?」

 パメラ・バーバラ・キャロラインが会話をしている傍らで、アイカとヴァージニアが興奮を抑えられないでいた。

「凄いね! 凄いねシュウト君!」

「ご主人様は最高……分かっていた事」

「ふえぇ~、お兄さんって凄いんスね~」

「キャー! ハニー! こっち向いて~!」

「なんだこれは。我が主が本気を出していないではないか」

 ラグズ・ラライラ・エルノヴァも楽しんで? いた。
 ちなみに魔族であるラライラとエルノヴァは、幻影魔法で普通の人間に見えている。
 そして昼休憩の時間になり、ザナドゥ王国の集団は修斗と一緒に食事をとろうと立ち上がるのだが、そこに立ちはだかる者が居た。

「皆さん、昼食の準備が出来ておりますので、ぜひ学園長と共にお願い致します」

 メガネをかけた長髪の男が、別の会場へと案内しようとしていた。
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