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第4章 学園支配
第146話 疑惑の判定
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「ふはーっはっはっは! 表情一つ変えずに人を攻撃するとわな! 何をされたのか知らないが、遠慮なく戦えそうだ!」
フラッグの守り3人、前衛3人、後衛4人で動いているが、後衛の修斗は魔法で敵前衛を片っ端から倒している。
前衛はかろうじて生き残った者の意識を奪うだけになっている。
相手が無表情で攻撃をするうえ、何をされても顔色一つ変えないため面白くなったようだ。
「しゅ、シュウト君? 楽しむのは構わないのだけれど、もう少し手加減をしないと大怪我をしてしまわないかしら!?」
「大丈夫だろ。一応制限はかかっているし、俺もその範囲で可能な攻撃しかしていない。もしも死んだら運営の不手際だ」
それは確かにそうだろうが、修斗だったら危険と分かっていても加減をしないだろう。
試合も終盤に入り、相手選手で無事なのは2人のみとなった。
他の選手は全て意識を奪っているため、自軍フラッグの防衛以外の者で敵フラッグの奪取へと移行する。
敵フラッグの設置範囲に入り、あちこちを探して範囲を狭めていくのだが、あと一歩という所でなぜか試合終了となってしまった。
なんと意識を奪ったはずの敵8人が、修斗達のフラッグを奪ってしまったのだ。
「え!? どういう事!? だって意識を奪ったし、死亡判定になるはずでしょ!」
珍しくポリンが言葉を荒げる。
正確に言うならば、意識を奪ってもペンダントが死亡判定を出していなければ、意識が回復したら競技に復帰が可能だ。
しかし意識が無くなった時点で死亡判定になる事がほとんどで、実質意識を奪えばOKとなっている。
担当の教師が抗議を行ったが、どうやら結果はくつがえらない様だ。
「ごめんなさいみんな。抗議したんだけど受け入れてもらえなくて……」
控室に帰ってきた教師は悔しそうにイスに座り、両手で顔を覆っている。
あの状態から負けるなど考えもせず、完全に勝ちムードだっただけにショックが大きいようだ。
「せ、先生お気になさらず。1試合負けただけですし、この後勝てば問題はありませんから」
選手の一人が教師をなだめようとするのだが、問題はそこではない。
「この後も同じことが続くかもしれないんだぞ? どうやって勝つつもりだ」
「え……? あ!」
ようやく気が付いたようだ。
更にいうと、意識が無くなった時に死亡判定になっていなければ、引き続き攻撃をしなくてなならず、無抵抗の者に攻撃をするという虐待をする事になる。
もしそれでも死亡判定にならなければ……。
更にいうと死亡判定になったにもかかわらず再び動き出し、その行動が有効と判断された場合、手の打ちようが無くなってしまうのだ。
ゾンビの行動を認めてしまえば、試合は破綻する。
「今回は選手が何者かに操られていたのだと思うけれど、今後もこれが続いた場合、私達は勝てなくなってしまうわね」
「そ、そんな! みんな一生懸命やってきたのに!」
7抗戦の優勝という肩書は、想像以上に恩恵を与えてくれる。
次世代の若者の優秀さと、それを教育できる環境を揃える事が出来るという事は、直接国力の向上につながり、複数回の優勝をしたとなれば、各国の貴族がこぞって子供を入学させようとする。
それだけ国に金が落ちるのだから、経済効果もバカにならない。
毎回大なり小なりトラブルがある様だが、今回は明らかに異常なのだろう。
その異常さを招いているのが、他ならぬ修斗だった。
「次は試合開始前に確認をしておこう。相手が正常なら問題ないが、同じ状態だったら俺が手を加える」
4試合目が始まった。
試合前の相手選手たちに異常は見られなかったが、始まって見ないと分からない。
今回はフラッグの防衛に5人を残し、残り5人で攻めている。
そして試合が始まってみると、相手選手は操られているような気配もなく、通常通りに行動しているように見えた。
見えたのだが……今相手にしている3人はどれだけ攻撃をしても意識を失わず、判定機のペンダントは死亡判定をださない。
「こっ、これはどういう事だ! 俺が全力で魔力を乗せた拳でも意識を失わないだと!?」
大男ローガスが魔力で籠手を作り、更に全力で腹を殴っているのだが、痛そうな顔をするものの怯まず襲い掛かってくる。
身体強化をされているのか? いや、体が吹き飛ばされる攻撃を食らっても構わず起き上がるなど、魔法で強化されていても出来ないだろう。
「コレは俺が受け持つ。お前達は先に進め」
「で、でもシュウト君一人じゃ……」
「大丈夫だポリン、すぐに合流する」
相手選手3人を石壁で囲んで閉じ込め、4人を先に行かせる。
石壁を解除すると、相手は迷わず修斗に襲い掛かってくるのだが、相手3人は男、手加減をするつもりはないようだ。
襲い掛かってくる相手を軽くかわし、1人はローキックで両足をへし折り、1人は両腕を握りつぶし、1人は頭を掴み直接脳に衝撃を与える。
頭を掴んだ相手は動きが止まったが、足と腕を折った奴はまだ襲い掛かろうとしてくる。
ペンダントは……3人とも死亡判定が出ていない。
足と腕が無くても魔法は使えるため、このまま放置しておけば背後から襲われてしまう。
なので仕方なく、3人をそこらにある木に縛り付け、動けなくしてから味方の後を追う事にした。
フラッグの守り3人、前衛3人、後衛4人で動いているが、後衛の修斗は魔法で敵前衛を片っ端から倒している。
前衛はかろうじて生き残った者の意識を奪うだけになっている。
相手が無表情で攻撃をするうえ、何をされても顔色一つ変えないため面白くなったようだ。
「しゅ、シュウト君? 楽しむのは構わないのだけれど、もう少し手加減をしないと大怪我をしてしまわないかしら!?」
「大丈夫だろ。一応制限はかかっているし、俺もその範囲で可能な攻撃しかしていない。もしも死んだら運営の不手際だ」
それは確かにそうだろうが、修斗だったら危険と分かっていても加減をしないだろう。
試合も終盤に入り、相手選手で無事なのは2人のみとなった。
他の選手は全て意識を奪っているため、自軍フラッグの防衛以外の者で敵フラッグの奪取へと移行する。
敵フラッグの設置範囲に入り、あちこちを探して範囲を狭めていくのだが、あと一歩という所でなぜか試合終了となってしまった。
なんと意識を奪ったはずの敵8人が、修斗達のフラッグを奪ってしまったのだ。
「え!? どういう事!? だって意識を奪ったし、死亡判定になるはずでしょ!」
珍しくポリンが言葉を荒げる。
正確に言うならば、意識を奪ってもペンダントが死亡判定を出していなければ、意識が回復したら競技に復帰が可能だ。
しかし意識が無くなった時点で死亡判定になる事がほとんどで、実質意識を奪えばOKとなっている。
担当の教師が抗議を行ったが、どうやら結果はくつがえらない様だ。
「ごめんなさいみんな。抗議したんだけど受け入れてもらえなくて……」
控室に帰ってきた教師は悔しそうにイスに座り、両手で顔を覆っている。
あの状態から負けるなど考えもせず、完全に勝ちムードだっただけにショックが大きいようだ。
「せ、先生お気になさらず。1試合負けただけですし、この後勝てば問題はありませんから」
選手の一人が教師をなだめようとするのだが、問題はそこではない。
「この後も同じことが続くかもしれないんだぞ? どうやって勝つつもりだ」
「え……? あ!」
ようやく気が付いたようだ。
更にいうと、意識が無くなった時に死亡判定になっていなければ、引き続き攻撃をしなくてなならず、無抵抗の者に攻撃をするという虐待をする事になる。
もしそれでも死亡判定にならなければ……。
更にいうと死亡判定になったにもかかわらず再び動き出し、その行動が有効と判断された場合、手の打ちようが無くなってしまうのだ。
ゾンビの行動を認めてしまえば、試合は破綻する。
「今回は選手が何者かに操られていたのだと思うけれど、今後もこれが続いた場合、私達は勝てなくなってしまうわね」
「そ、そんな! みんな一生懸命やってきたのに!」
7抗戦の優勝という肩書は、想像以上に恩恵を与えてくれる。
次世代の若者の優秀さと、それを教育できる環境を揃える事が出来るという事は、直接国力の向上につながり、複数回の優勝をしたとなれば、各国の貴族がこぞって子供を入学させようとする。
それだけ国に金が落ちるのだから、経済効果もバカにならない。
毎回大なり小なりトラブルがある様だが、今回は明らかに異常なのだろう。
その異常さを招いているのが、他ならぬ修斗だった。
「次は試合開始前に確認をしておこう。相手が正常なら問題ないが、同じ状態だったら俺が手を加える」
4試合目が始まった。
試合前の相手選手たちに異常は見られなかったが、始まって見ないと分からない。
今回はフラッグの防衛に5人を残し、残り5人で攻めている。
そして試合が始まってみると、相手選手は操られているような気配もなく、通常通りに行動しているように見えた。
見えたのだが……今相手にしている3人はどれだけ攻撃をしても意識を失わず、判定機のペンダントは死亡判定をださない。
「こっ、これはどういう事だ! 俺が全力で魔力を乗せた拳でも意識を失わないだと!?」
大男ローガスが魔力で籠手を作り、更に全力で腹を殴っているのだが、痛そうな顔をするものの怯まず襲い掛かってくる。
身体強化をされているのか? いや、体が吹き飛ばされる攻撃を食らっても構わず起き上がるなど、魔法で強化されていても出来ないだろう。
「コレは俺が受け持つ。お前達は先に進め」
「で、でもシュウト君一人じゃ……」
「大丈夫だポリン、すぐに合流する」
相手選手3人を石壁で囲んで閉じ込め、4人を先に行かせる。
石壁を解除すると、相手は迷わず修斗に襲い掛かってくるのだが、相手3人は男、手加減をするつもりはないようだ。
襲い掛かってくる相手を軽くかわし、1人はローキックで両足をへし折り、1人は両腕を握りつぶし、1人は頭を掴み直接脳に衝撃を与える。
頭を掴んだ相手は動きが止まったが、足と腕を折った奴はまだ襲い掛かろうとしてくる。
ペンダントは……3人とも死亡判定が出ていない。
足と腕が無くても魔法は使えるため、このまま放置しておけば背後から襲われてしまう。
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