160 / 373
第4章 学園支配
第159話 救われた心と捨てられた体
しおりを挟む
「昨晩は済まない。すっかり寝過ごしてしまった」
「構わんさ。見張りは俺1人で大丈夫だからな」
朝食時にローガスがみんなに謝罪をしている。
目が覚めなかったのはローガスだけでなく、全員が寝坊するという不思議な事が起きていた。
まぁ女はやり過ぎただけだが。
ローガスは申し訳なさそうだが、ポリン、フランチェスカ、ルミナはバツが悪そうだ。
プリシラとメイドはとてもツヤツヤしている。
「昨日はオークターガースを出るのが遅かったから、到着は明日の昼過ぎになりそうだな。あと1泊あるが気を引き締めていくぞ」
道中は盗賊が出る事は無かったが、野犬や小型モンスターが襲ってくることがあった。
基本的に修斗は何もせず、他の4人に対処させているのだが、フランチェスカとポリンは全く問題なく迎撃できているし、ローガスとルミナも2回目には上手くやっていた。
「い、意外と襲われるもんだな」
「街道沿いはもっと安全だと思ってた……」
ローガスとルミナは連戦に疲れた様だ。
フランチェスカとポリンも連戦だが、こちらはスタミナが段違いにあるので問題は無さそうだ。
「大丈夫? 無理はしないでいいから、次は休んでいて?」
「そうですよ、私達で対処しますから、少し休んでいてください」
全然疲れていない2人に言われているが、フランチェスカはともかく、1年生のポリンに言われては立つ瀬がない。
そんな弱気なところは見せられないと、休むことなく戦闘に参加していった。
そして夜にはまたローガスを除いた6人で楽しみ、翌日の昼すぎにはザナドゥ王国へ到着した。
「さてザナドゥ王国へ到着したが、これで任務は完了か?」
「いえ、冒険者ギルドへ赴き、完了の報告をしたら完了となります」
入国手続きを終わらせ街の中に入りはしたが、どうやら任務完了はギルドに報告をしてからのようだ。
とは言えこの街にもギルドは有るので、精々数十分ていど伸びただけだが。
「久しぶりの冒険だったけれど、思ったよりも順調に終わりそうね」
「私は初めてだったけど、みんなこんな感じじゃないの?」
「私の最初の時なんて、薬草が見つからなくて丸1日かかったものだわ」
「え! そんなに?」
フランチェスカとポリンがはしゃいでいるが、薬草1つ探すにも慣れが必要で、似た形の草も沢山あるためやり直しを食らう冒険者も多い。
それでも初めての依頼を1日で終わらせたのならば、それはフランチェスカがかなり事前に情報を仕入れていたからだろう。
ザナドゥ王国の国内に入りさえしたら、後は街同士の移動はかなり安全になる。
街道は整備され、毎日冒険者や兵士が巡回しているからだ。
開国した当初からあるザナドゥ王国の領地内でも、すでに街が3つ増えたが、まだまだ開拓作業は続いている。
冒険者ギルドへの報告も終わり、いよいよプリシラ達と別れようとした時だった。
プリシラから1つの指輪を渡される。
「もしご入用な事ががございましたら、パーカー商会を是非ご利用ください。コレを見せればよい条件で取引できますので」
今まではめていた銀の指輪を修斗に渡すと、丁寧に頭を下げる。
指輪を見ると、内側に文字が掘ってあった。『プリシラ・パーカーの恩人に捧ぐ』と。
即席で作ったような物ではなく、最初から依頼が終わった段階で渡すつもりだったのだろう。
恩人というのは盗賊達から救った事で間違いないが、今となっては別の意味でも救ったため、この文字には更なる意味がこもっている。
指輪を眺めてポケットに放り込むと、修斗はまた頭を下げているプリシラの頭に手を乗せる。
「お前の全てを受け止められる男が現れたら、迷わずソイツの元へいけ。馬鹿な男から離れられたんだ、これからは良い人生が待っているさ」
「ねぇ、シュウト様のあの言葉、私は素直に受け止めてもいいのかしら」
修斗達と分かれ、馬車で父親の元へと向かうプリシラは、メイドにたずねる。
メイドは少し困ったような顔をするが、意を決したように口を開く。
「シュウト様のあのお言葉は真意でしょう。しかし……お嬢様がシュウト様の元へ行ってもよいかと言われると、違うと存じます」
「そうよね……シュウト様以外で、私の全てを知ってもなお受け入れてくださる男性が、果たしていらっしゃるかしら」
「もし現れない時は、私がお嬢様を慰めて差し上げますよ」
「あら、あなたは女性もいけるクチだったの?」
「そういう経験も、何度かございますので」
「ふふふ。その時はお願いするわね」
「お嬢様? 最後の手段ですからね?」
「何度かお見合いをして、何度もお断りされて、お父様が諦めたらシュウト様の元へ走って、それでもだめだった時の事よ」
「そうならないように、旦那様には沢山いい男性を紹介してもらうとしましょう」
「構わんさ。見張りは俺1人で大丈夫だからな」
朝食時にローガスがみんなに謝罪をしている。
目が覚めなかったのはローガスだけでなく、全員が寝坊するという不思議な事が起きていた。
まぁ女はやり過ぎただけだが。
ローガスは申し訳なさそうだが、ポリン、フランチェスカ、ルミナはバツが悪そうだ。
プリシラとメイドはとてもツヤツヤしている。
「昨日はオークターガースを出るのが遅かったから、到着は明日の昼過ぎになりそうだな。あと1泊あるが気を引き締めていくぞ」
道中は盗賊が出る事は無かったが、野犬や小型モンスターが襲ってくることがあった。
基本的に修斗は何もせず、他の4人に対処させているのだが、フランチェスカとポリンは全く問題なく迎撃できているし、ローガスとルミナも2回目には上手くやっていた。
「い、意外と襲われるもんだな」
「街道沿いはもっと安全だと思ってた……」
ローガスとルミナは連戦に疲れた様だ。
フランチェスカとポリンも連戦だが、こちらはスタミナが段違いにあるので問題は無さそうだ。
「大丈夫? 無理はしないでいいから、次は休んでいて?」
「そうですよ、私達で対処しますから、少し休んでいてください」
全然疲れていない2人に言われているが、フランチェスカはともかく、1年生のポリンに言われては立つ瀬がない。
そんな弱気なところは見せられないと、休むことなく戦闘に参加していった。
そして夜にはまたローガスを除いた6人で楽しみ、翌日の昼すぎにはザナドゥ王国へ到着した。
「さてザナドゥ王国へ到着したが、これで任務は完了か?」
「いえ、冒険者ギルドへ赴き、完了の報告をしたら完了となります」
入国手続きを終わらせ街の中に入りはしたが、どうやら任務完了はギルドに報告をしてからのようだ。
とは言えこの街にもギルドは有るので、精々数十分ていど伸びただけだが。
「久しぶりの冒険だったけれど、思ったよりも順調に終わりそうね」
「私は初めてだったけど、みんなこんな感じじゃないの?」
「私の最初の時なんて、薬草が見つからなくて丸1日かかったものだわ」
「え! そんなに?」
フランチェスカとポリンがはしゃいでいるが、薬草1つ探すにも慣れが必要で、似た形の草も沢山あるためやり直しを食らう冒険者も多い。
それでも初めての依頼を1日で終わらせたのならば、それはフランチェスカがかなり事前に情報を仕入れていたからだろう。
ザナドゥ王国の国内に入りさえしたら、後は街同士の移動はかなり安全になる。
街道は整備され、毎日冒険者や兵士が巡回しているからだ。
開国した当初からあるザナドゥ王国の領地内でも、すでに街が3つ増えたが、まだまだ開拓作業は続いている。
冒険者ギルドへの報告も終わり、いよいよプリシラ達と別れようとした時だった。
プリシラから1つの指輪を渡される。
「もしご入用な事ががございましたら、パーカー商会を是非ご利用ください。コレを見せればよい条件で取引できますので」
今まではめていた銀の指輪を修斗に渡すと、丁寧に頭を下げる。
指輪を見ると、内側に文字が掘ってあった。『プリシラ・パーカーの恩人に捧ぐ』と。
即席で作ったような物ではなく、最初から依頼が終わった段階で渡すつもりだったのだろう。
恩人というのは盗賊達から救った事で間違いないが、今となっては別の意味でも救ったため、この文字には更なる意味がこもっている。
指輪を眺めてポケットに放り込むと、修斗はまた頭を下げているプリシラの頭に手を乗せる。
「お前の全てを受け止められる男が現れたら、迷わずソイツの元へいけ。馬鹿な男から離れられたんだ、これからは良い人生が待っているさ」
「ねぇ、シュウト様のあの言葉、私は素直に受け止めてもいいのかしら」
修斗達と分かれ、馬車で父親の元へと向かうプリシラは、メイドにたずねる。
メイドは少し困ったような顔をするが、意を決したように口を開く。
「シュウト様のあのお言葉は真意でしょう。しかし……お嬢様がシュウト様の元へ行ってもよいかと言われると、違うと存じます」
「そうよね……シュウト様以外で、私の全てを知ってもなお受け入れてくださる男性が、果たしていらっしゃるかしら」
「もし現れない時は、私がお嬢様を慰めて差し上げますよ」
「あら、あなたは女性もいけるクチだったの?」
「そういう経験も、何度かございますので」
「ふふふ。その時はお願いするわね」
「お嬢様? 最後の手段ですからね?」
「何度かお見合いをして、何度もお断りされて、お父様が諦めたらシュウト様の元へ走って、それでもだめだった時の事よ」
「そうならないように、旦那様には沢山いい男性を紹介してもらうとしましょう」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる