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第4章 学園支配
第162話 冒険者は貴族の息抜き
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「さあ皆さん、今日はお疲れさまでした。食事の準備をしていますから、お風呂にでも入って来てください」
今日の冒険が終わりミュゼウスに付いて行くと、当たり前だが城に案内された。
修斗が居るのだから修斗はミュゼウスの部屋に泊まる、と100%信じて疑わない。
しかしそれ以前に他のメンバーが戸惑っている。
「あ、あのミュゼウス様、私達は今、冒険者として活動していますので、特別扱いはなさらないようにお願いしたいのですが」
「あらフランチェスカさん、シュウト様とそのお連れの方に、一介の宿屋を案内する訳には参りません。あなた方の国ほどではありませんが、我がメナストーンも随分と裕福になりましたので、ぜひくつろいでくださいませ」
自分達よりも年下の少女に言われ、中々断る理由が見つからない。
もちろん修斗は城に泊まるつもりだったが、どうやら他のメンバーは別の理由で宿に泊まりたいようだ。
「そうだな、ミュゼウス、こいつらはいま冒険者気分を味わっているんだ、それが城に泊まっては冒険者らしくないだろう?」
「冒険者……気分? は! すみません私ったら、ついついお客様をもてなす事しか考えていなくって!」
どうやら通じた様だ。
まぁ修斗が来てくれて舞い上がり、いつもより気合いが入っていたのだろう。
しかしそういう事ならばと、よく冒険者が利用する宿に案内をする。
「こちらの宿でしたら、言ってしまえばどこにでもある宿ですので、冒険者もよく利用していますよ」
安宿という訳でもないが、木造の3階建ての宿で、1階は食事処になっている。
帰ってきた冒険者が酒を飲んで賑やかだ。
「す、すごく賑やかなのね」
「わ、あの人すっごく大きい、冒険者って色んな人が居るんだね」
「飲んでいるのはお酒ですか? 知らない匂いですが」
「あの厚切りステーキ美味そうだな、俺もあれにしようか」
などなど、4人は普段とは違う食事風景を楽しんでいる。
流石に宿屋に来るのでミュゼウスは変装し、どこにでもいる美少女な町娘に見える。
紫がかった銀髪なのだが、思ったよりも目立っていない。
それ以上に冒険者達のクセが強いのだ。
食事はよくある味だったが、貴族であるフランチェスカ達にとってはジャンクフードに近く、ちょっと悪い事をしている感覚で楽しんでいる。
ワザと調味料を沢山かけたり、家では出来ない口いっぱいにほお張って食べたり、友達とはしゃぎながらの食事など、学園でも出来なかった事だ。
そういう意味では冒険者としての身分は、本来の自分を忘れさせてくれるのだろう。
その晩は相も変わらずローガスを部屋で眠らせ、女部屋で5Pを楽しむのだった。
翌朝からもミュゼウスを含めた6人でダンジョンに潜り、昨日は1階層しか探索できなかったが、今日はすでに3階層まで進んでいる。
どうやら戦い慣れて来た様で、修斗とミュゼウスはピクニック気分で楽しんでいる。
「お、また何か来たな」
目の前にはドロドロに解けた黒い液体の様なものがうごめいている。
「あれはヘルベドですね。一見スライムのように見えますが――」
戦っている4人はすでにフォーメーションが出来ており、ローガスとポリンが前衛、ルミナが中衛、フランチェスカが後衛だ。
ローガスが警戒しながら近づき、ポリンは詠唱が完了し、ルミナとフランチェスカは能力向上及び防御魔法を使用する。
ポリンが大地の魔法でヘルベドの中心を大地の槍で貫き、ローガスが炎の魔法を併用して剣で斬りかかる。
中々に連携が取れているのだが、いかんせん相手が悪かった。
黒いスライムかと思いきや、大地の槍はその体で溶かされ、炎の魔法で体が燃え盛り、剣で斬りつける処ではなくなってしまったのだ。
「スライムのように見えますが、地獄の炎の様によく燃える体で、体にまとわりついたら最後、ベドベドで取れる事なく燃え尽きてしまいます」
「そ、そういう事は早く言ってくれ!」
ローガスとポリンが慌てて距離を取る。
幸いあまり大きくない個体なので、精々大きなキャンプファイヤ―程度で収まっている。
「ほらほら、次はどうした? このままだと酸欠になっちまうぞ?」
狭い空間でキャンプファイヤーなどしようものなら、あっという間に空気が無くなってしまう。
後衛のフランチェスカが吹雪の魔法で炎を消し止めた。
「ほらほら2人とも、新しい敵の場合はいつも以上に警戒をっていったでしょ?」
「す、すまんフラン」
「ごめんなさい」
しかし炎を消すために使った吹雪の魔法、ヘルベドは意外な事に寒さに弱い様で、硬くなって動かなくなってしまった。
慎重に近づいて剣でヘルベドを叩いてみると、硬い音がする。
なので追加で温度を奪う魔法を使うと、更に固くなり、しまいには砕け散ってしまった。
「わあ流石ですね! ヘルベドの正しい対処方法を見つけてしまうなんて!」
どうやら怪我の功名で倒せてしまった様だ。
「ちなみにヘルベドの体は金属や色々な物の加工で使うので、それなりの値段で売れますよ」
どうやらヘルベド、金属すら溶かしてしまうようだが、逆に金属の加工に使え、よく燃えるため火種にも使える。
ガラス瓶に入れてお持ち帰りだ。
さて、そろそろ3階層も終わりが近づいてきた。
しかしまだ時間的には昼を過ぎたくらいなので、このまま4階層へと向かうようだ。
今日の冒険が終わりミュゼウスに付いて行くと、当たり前だが城に案内された。
修斗が居るのだから修斗はミュゼウスの部屋に泊まる、と100%信じて疑わない。
しかしそれ以前に他のメンバーが戸惑っている。
「あ、あのミュゼウス様、私達は今、冒険者として活動していますので、特別扱いはなさらないようにお願いしたいのですが」
「あらフランチェスカさん、シュウト様とそのお連れの方に、一介の宿屋を案内する訳には参りません。あなた方の国ほどではありませんが、我がメナストーンも随分と裕福になりましたので、ぜひくつろいでくださいませ」
自分達よりも年下の少女に言われ、中々断る理由が見つからない。
もちろん修斗は城に泊まるつもりだったが、どうやら他のメンバーは別の理由で宿に泊まりたいようだ。
「そうだな、ミュゼウス、こいつらはいま冒険者気分を味わっているんだ、それが城に泊まっては冒険者らしくないだろう?」
「冒険者……気分? は! すみません私ったら、ついついお客様をもてなす事しか考えていなくって!」
どうやら通じた様だ。
まぁ修斗が来てくれて舞い上がり、いつもより気合いが入っていたのだろう。
しかしそういう事ならばと、よく冒険者が利用する宿に案内をする。
「こちらの宿でしたら、言ってしまえばどこにでもある宿ですので、冒険者もよく利用していますよ」
安宿という訳でもないが、木造の3階建ての宿で、1階は食事処になっている。
帰ってきた冒険者が酒を飲んで賑やかだ。
「す、すごく賑やかなのね」
「わ、あの人すっごく大きい、冒険者って色んな人が居るんだね」
「飲んでいるのはお酒ですか? 知らない匂いですが」
「あの厚切りステーキ美味そうだな、俺もあれにしようか」
などなど、4人は普段とは違う食事風景を楽しんでいる。
流石に宿屋に来るのでミュゼウスは変装し、どこにでもいる美少女な町娘に見える。
紫がかった銀髪なのだが、思ったよりも目立っていない。
それ以上に冒険者達のクセが強いのだ。
食事はよくある味だったが、貴族であるフランチェスカ達にとってはジャンクフードに近く、ちょっと悪い事をしている感覚で楽しんでいる。
ワザと調味料を沢山かけたり、家では出来ない口いっぱいにほお張って食べたり、友達とはしゃぎながらの食事など、学園でも出来なかった事だ。
そういう意味では冒険者としての身分は、本来の自分を忘れさせてくれるのだろう。
その晩は相も変わらずローガスを部屋で眠らせ、女部屋で5Pを楽しむのだった。
翌朝からもミュゼウスを含めた6人でダンジョンに潜り、昨日は1階層しか探索できなかったが、今日はすでに3階層まで進んでいる。
どうやら戦い慣れて来た様で、修斗とミュゼウスはピクニック気分で楽しんでいる。
「お、また何か来たな」
目の前にはドロドロに解けた黒い液体の様なものがうごめいている。
「あれはヘルベドですね。一見スライムのように見えますが――」
戦っている4人はすでにフォーメーションが出来ており、ローガスとポリンが前衛、ルミナが中衛、フランチェスカが後衛だ。
ローガスが警戒しながら近づき、ポリンは詠唱が完了し、ルミナとフランチェスカは能力向上及び防御魔法を使用する。
ポリンが大地の魔法でヘルベドの中心を大地の槍で貫き、ローガスが炎の魔法を併用して剣で斬りかかる。
中々に連携が取れているのだが、いかんせん相手が悪かった。
黒いスライムかと思いきや、大地の槍はその体で溶かされ、炎の魔法で体が燃え盛り、剣で斬りつける処ではなくなってしまったのだ。
「スライムのように見えますが、地獄の炎の様によく燃える体で、体にまとわりついたら最後、ベドベドで取れる事なく燃え尽きてしまいます」
「そ、そういう事は早く言ってくれ!」
ローガスとポリンが慌てて距離を取る。
幸いあまり大きくない個体なので、精々大きなキャンプファイヤ―程度で収まっている。
「ほらほら、次はどうした? このままだと酸欠になっちまうぞ?」
狭い空間でキャンプファイヤーなどしようものなら、あっという間に空気が無くなってしまう。
後衛のフランチェスカが吹雪の魔法で炎を消し止めた。
「ほらほら2人とも、新しい敵の場合はいつも以上に警戒をっていったでしょ?」
「す、すまんフラン」
「ごめんなさい」
しかし炎を消すために使った吹雪の魔法、ヘルベドは意外な事に寒さに弱い様で、硬くなって動かなくなってしまった。
慎重に近づいて剣でヘルベドを叩いてみると、硬い音がする。
なので追加で温度を奪う魔法を使うと、更に固くなり、しまいには砕け散ってしまった。
「わあ流石ですね! ヘルベドの正しい対処方法を見つけてしまうなんて!」
どうやら怪我の功名で倒せてしまった様だ。
「ちなみにヘルベドの体は金属や色々な物の加工で使うので、それなりの値段で売れますよ」
どうやらヘルベド、金属すら溶かしてしまうようだが、逆に金属の加工に使え、よく燃えるため火種にも使える。
ガラス瓶に入れてお持ち帰りだ。
さて、そろそろ3階層も終わりが近づいてきた。
しかしまだ時間的には昼を過ぎたくらいなので、このまま4階層へと向かうようだ。
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