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第4章 学園支配
第166話 ダンジョン最下層攻略
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ダンジョン第17階層。
新たな武具を手にした4人は素晴らしい働きをしていた。
戦闘経験を積み、アンダーヴァラヌスを倒した事で自信も付いたのだろう。
「そろそろダンジョン攻略も終わりそうですね。皆さん凄いです! 私以外では初めての攻略者になりそうですね!」
「ありがとうございますミュゼウス様。あなたのアドバイスがあったからこそ、私達はここまで来れたの……私以外?」
フランチェスカが礼を言いながら、ミュゼウスの言葉を反芻する。
強い強いとは思っていたが、どうやらミュゼウスがこのダンジョンの初攻略者らしいと知り、4人は驚きながらも納得している。
「みゅ、ミュゼウス様が攻略されたんですか。きっと仲間も凄いメンバーなんでしょうね」
「いえ? 私は1人でした」
4人の思考が止まる。
4人で戦い、しかも案内までされても苦労したのに、案内もなくこんな所まで攻略できてしまうミュゼウスは一体どうなっているのか……修斗を基準に考えれば納得も出来るが、ザナドゥ王国以外でもそんな人物がいるとは思っていなかったのだ。
「えっと、それじゃあこのダンジョンの攻略情報は、ミュゼウスさんが出したんですか?」
「そうですね、私が地図や襲ってくるモンスターの情報を提供して、冒険者ギルドがまとめた物が出回っています」
ダンジョンの情報はとても貴重だ。
冒険者が来るかどうかの指針にもなるし、何よりも正確性が高ければ国としての信頼度も上がる。
それは国同士で有利に働く事はもちろん、信頼できる国には人が集まりやすくなり、経済も回りやすくなる。
ソレはソレとして、4人は自分達よりも幼いはずの少女に敬意をはらいっぱなしな事に、そろそろ疑問をいだかなくなってきた。
ミュゼウスは自分達よりも圧倒的に先にいる。
いつからかそれを自覚してしまい、メナストーン国に対して恐怖心にも近い感情を持っていた。
もちろん自分たちが国の方針に対して口を出せる立場ではないし、怖いから手を打とうなどと言えるはずもない。
しかし万が一にも、自国がメナストーン国に対して敵対行動をとろうとしたならば、全力で止める事は出来るだろう、そう考えているようだ。
「あはははは、そうなんですよ~、その時はお父さまったら」
笑顔で気取ったところもなく、誰にでもフランクに接するミュゼウスを見ていると、まるで妹の様な、姉の様な、親密な関係になった事を修斗に感謝してもしきれない。
そして少し前までは『時間と共に滅びる国』だったメナストーン国を、ここまでの国にしてしまったザナドゥ王国に、そして修斗に畏怖していた。
「ん? なんだかデッカイのがいそうだな」
そろそろ攻略も終盤、修斗達の目の前には大きな黒い金属の扉が待ち構えていた。
両開きの扉で、ローガスが両手で体重をかけて押すと少し動く。
「うむ、簡単に動いたな。どうやら鍵はかかっていない様だ。どうする、このままいくのか?」
「進む前に準備をしておきましょう。体力や傷も全て治し、万全の状態で挑みたいわね」
「そうだよね、さっきから凄いプレッシャーだから、きっと中に居るのは凄い相手だと思う」
アドバイスはもう必要ないかもしれない。
意見を出し合いながら作戦を立てている4人を見て、ミュゼウスは微笑んでいた。
問題は中にいるモンスターなのだが……特に止めるそぶりもない。
「よし! それじゃあ行くわよ!」
ローガスが扉を押し、金属のきしむ音が鳴り響く。
中は薄暗いが、音が響く事から広い事が分かる。
「……何もいないわね」
気合いを入れて入ったものの、武器を構えたまま周囲を見回しても何も見えない。
「灯りの魔法で全体を照らしてみるね」
ポリンが魔法を唱えると、地面から沢山の小さな光源が浮かび上がり、部屋の中全体を明るくする。
部屋はバスケットコートが3面入るほどの大きさで、柱もなく楕円形に近い形をしていた。
その中央で、何かが起き上がるのが見えた。
「注意しろ、中央に何かがいるぞ」
ローガスの言葉で気合いを入れ直す3人。
中央で立ち上がったものがゆっくりと4本の足を動かし、近づいて来る。
その姿が徐々にハッキリと見えて来る……ライオンのようにも見えるが……。
「出たわね……キメラ」
頭と胴体はライオン、悪魔の様な翼を持ち、シッポはヘビで修斗達を見ている。
咆哮を上げ、翼で羽ばたきながら猛スピードで走りだすと、あっという間にポリン達4人に襲い掛かる。
ローガスが正面に立ち、魔法を使いながらも剣で突進を受け止める。
防御魔法が悲鳴を上げるように鳴り響き、何とかギリギリのところで受け止められたようだ。
動きを止めている間にポリンが攻撃をしようとするが、ローガスがもたなかった。
キメラは力強く1歩を踏み込むと、防御魔法は決壊、ローガスはキメラの突進を止めきれず吹き飛ばされてしまった。
「ローガス!? くっ! 今までの相手とは格が違いすぎるわ!」
何とか次の防御魔法が間に合い、キメラの動きを止める事が出来た。
ホッと胸をなでおろし、ポリンが魔法を発動させる。
魔法は雷、水、土の3種同時使用で、キメラの正面からは雷と水が、足元からは無数の土の槍が突き出してくる。
だがどうだろう、土の槍は砕け散り、水も雷も命中しているのにビクともしない。
そこで動いたのがルミナだ。
ルミナの杖には大量の魔法が封じ込めてあり、その中から各種属性の攻撃魔法を同時発動させた。
水も雷も土も効かない相手に、炎や空気、光や闇、無属性の魔法が同時に襲い掛かる。
光と無属性の攻撃は少し効果がある様だが、それも微々たるものだ。
そう、キメラは魔法自体への抵抗力が高く、ほとんどの魔法攻撃を無効化してしまうのだ。
最悪の相手である。
新たな武具を手にした4人は素晴らしい働きをしていた。
戦闘経験を積み、アンダーヴァラヌスを倒した事で自信も付いたのだろう。
「そろそろダンジョン攻略も終わりそうですね。皆さん凄いです! 私以外では初めての攻略者になりそうですね!」
「ありがとうございますミュゼウス様。あなたのアドバイスがあったからこそ、私達はここまで来れたの……私以外?」
フランチェスカが礼を言いながら、ミュゼウスの言葉を反芻する。
強い強いとは思っていたが、どうやらミュゼウスがこのダンジョンの初攻略者らしいと知り、4人は驚きながらも納得している。
「みゅ、ミュゼウス様が攻略されたんですか。きっと仲間も凄いメンバーなんでしょうね」
「いえ? 私は1人でした」
4人の思考が止まる。
4人で戦い、しかも案内までされても苦労したのに、案内もなくこんな所まで攻略できてしまうミュゼウスは一体どうなっているのか……修斗を基準に考えれば納得も出来るが、ザナドゥ王国以外でもそんな人物がいるとは思っていなかったのだ。
「えっと、それじゃあこのダンジョンの攻略情報は、ミュゼウスさんが出したんですか?」
「そうですね、私が地図や襲ってくるモンスターの情報を提供して、冒険者ギルドがまとめた物が出回っています」
ダンジョンの情報はとても貴重だ。
冒険者が来るかどうかの指針にもなるし、何よりも正確性が高ければ国としての信頼度も上がる。
それは国同士で有利に働く事はもちろん、信頼できる国には人が集まりやすくなり、経済も回りやすくなる。
ソレはソレとして、4人は自分達よりも幼いはずの少女に敬意をはらいっぱなしな事に、そろそろ疑問をいだかなくなってきた。
ミュゼウスは自分達よりも圧倒的に先にいる。
いつからかそれを自覚してしまい、メナストーン国に対して恐怖心にも近い感情を持っていた。
もちろん自分たちが国の方針に対して口を出せる立場ではないし、怖いから手を打とうなどと言えるはずもない。
しかし万が一にも、自国がメナストーン国に対して敵対行動をとろうとしたならば、全力で止める事は出来るだろう、そう考えているようだ。
「あはははは、そうなんですよ~、その時はお父さまったら」
笑顔で気取ったところもなく、誰にでもフランクに接するミュゼウスを見ていると、まるで妹の様な、姉の様な、親密な関係になった事を修斗に感謝してもしきれない。
そして少し前までは『時間と共に滅びる国』だったメナストーン国を、ここまでの国にしてしまったザナドゥ王国に、そして修斗に畏怖していた。
「ん? なんだかデッカイのがいそうだな」
そろそろ攻略も終盤、修斗達の目の前には大きな黒い金属の扉が待ち構えていた。
両開きの扉で、ローガスが両手で体重をかけて押すと少し動く。
「うむ、簡単に動いたな。どうやら鍵はかかっていない様だ。どうする、このままいくのか?」
「進む前に準備をしておきましょう。体力や傷も全て治し、万全の状態で挑みたいわね」
「そうだよね、さっきから凄いプレッシャーだから、きっと中に居るのは凄い相手だと思う」
アドバイスはもう必要ないかもしれない。
意見を出し合いながら作戦を立てている4人を見て、ミュゼウスは微笑んでいた。
問題は中にいるモンスターなのだが……特に止めるそぶりもない。
「よし! それじゃあ行くわよ!」
ローガスが扉を押し、金属のきしむ音が鳴り響く。
中は薄暗いが、音が響く事から広い事が分かる。
「……何もいないわね」
気合いを入れて入ったものの、武器を構えたまま周囲を見回しても何も見えない。
「灯りの魔法で全体を照らしてみるね」
ポリンが魔法を唱えると、地面から沢山の小さな光源が浮かび上がり、部屋の中全体を明るくする。
部屋はバスケットコートが3面入るほどの大きさで、柱もなく楕円形に近い形をしていた。
その中央で、何かが起き上がるのが見えた。
「注意しろ、中央に何かがいるぞ」
ローガスの言葉で気合いを入れ直す3人。
中央で立ち上がったものがゆっくりと4本の足を動かし、近づいて来る。
その姿が徐々にハッキリと見えて来る……ライオンのようにも見えるが……。
「出たわね……キメラ」
頭と胴体はライオン、悪魔の様な翼を持ち、シッポはヘビで修斗達を見ている。
咆哮を上げ、翼で羽ばたきながら猛スピードで走りだすと、あっという間にポリン達4人に襲い掛かる。
ローガスが正面に立ち、魔法を使いながらも剣で突進を受け止める。
防御魔法が悲鳴を上げるように鳴り響き、何とかギリギリのところで受け止められたようだ。
動きを止めている間にポリンが攻撃をしようとするが、ローガスがもたなかった。
キメラは力強く1歩を踏み込むと、防御魔法は決壊、ローガスはキメラの突進を止めきれず吹き飛ばされてしまった。
「ローガス!? くっ! 今までの相手とは格が違いすぎるわ!」
何とか次の防御魔法が間に合い、キメラの動きを止める事が出来た。
ホッと胸をなでおろし、ポリンが魔法を発動させる。
魔法は雷、水、土の3種同時使用で、キメラの正面からは雷と水が、足元からは無数の土の槍が突き出してくる。
だがどうだろう、土の槍は砕け散り、水も雷も命中しているのにビクともしない。
そこで動いたのがルミナだ。
ルミナの杖には大量の魔法が封じ込めてあり、その中から各種属性の攻撃魔法を同時発動させた。
水も雷も土も効かない相手に、炎や空気、光や闇、無属性の魔法が同時に襲い掛かる。
光と無属性の攻撃は少し効果がある様だが、それも微々たるものだ。
そう、キメラは魔法自体への抵抗力が高く、ほとんどの魔法攻撃を無効化してしまうのだ。
最悪の相手である。
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