ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

文字の大きさ
167 / 373
第4章 学園支配

第166話 ダンジョン最下層攻略

しおりを挟む
 ダンジョン第17階層。
 新たな武具を手にした4人は素晴らしい働きをしていた。
 戦闘経験を積み、アンダーヴァラヌスを倒した事で自信も付いたのだろう。

「そろそろダンジョン攻略も終わりそうですね。皆さん凄いです! 私以外では初めての攻略者になりそうですね!」

「ありがとうございますミュゼウス様。あなたのアドバイスがあったからこそ、私達はここまで来れたの……私以外?」

 フランチェスカが礼を言いながら、ミュゼウスの言葉を反芻はんすうする。
 強い強いとは思っていたが、どうやらミュゼウスがこのダンジョンの初攻略者らしいと知り、4人は驚きながらも納得している。

「みゅ、ミュゼウス様が攻略されたんですか。きっと仲間も凄いメンバーなんでしょうね」

「いえ? 私は1人でした」

 4人の思考が止まる。
 4人で戦い、しかも案内までされても苦労したのに、案内もなくこんな所まで攻略できてしまうミュゼウスは一体どうなっているのか……修斗を基準に考えれば納得も出来るが、ザナドゥ王国以外でもそんな人物がいるとは思っていなかったのだ。

「えっと、それじゃあこのダンジョンの攻略情報は、ミュゼウスさんが出したんですか?」

「そうですね、私が地図や襲ってくるモンスターの情報を提供して、冒険者ギルドがまとめた物が出回っています」

 ダンジョンの情報はとても貴重だ。
 冒険者が来るかどうかの指針にもなるし、何よりも正確性が高ければ国としての信頼度も上がる。
 それは国同士で有利に働く事はもちろん、信頼できる国には人が集まりやすくなり、経済も回りやすくなる。

 ソレはソレとして、4人は自分達よりも幼いはずの少女に敬意をはらいっぱなしな事に、そろそろ疑問をいだかなくなってきた。
 ミュゼウスは自分達よりも圧倒的に先にいる。
 いつからかそれを自覚してしまい、メナストーン国に対して恐怖心にも近い感情を持っていた。

 もちろん自分たちが国の方針に対して口を出せる立場ではないし、怖いから手を打とうなどと言えるはずもない。
 しかし万が一にも、自国がメナストーン国に対して敵対行動をとろうとしたならば、全力で止める事は出来るだろう、そう考えているようだ。

「あはははは、そうなんですよ~、その時はお父さまったら」

 笑顔で気取ったところもなく、誰にでもフランクに接するミュゼウスを見ていると、まるで妹の様な、姉の様な、親密な関係になった事を修斗に感謝してもしきれない。
 そして少し前までは『時間と共に滅びる国』だったメナストーン国を、ここまでの国にしてしまったザナドゥ王国に、そして修斗に畏怖していた。

「ん? なんだかデッカイのがいそうだな」

 そろそろ攻略も終盤、修斗達の目の前には大きな黒い金属の扉が待ち構えていた。
 両開きの扉で、ローガスが両手で体重をかけて押すと少し動く。

「うむ、簡単に動いたな。どうやら鍵はかかっていない様だ。どうする、このままいくのか?」

「進む前に準備をしておきましょう。体力や傷も全て治し、万全の状態で挑みたいわね」

「そうだよね、さっきから凄いプレッシャーだから、きっと中に居るのは凄い相手だと思う」

 アドバイスはもう必要ないかもしれない。
 意見を出し合いながら作戦を立てている4人を見て、ミュゼウスは微笑んでいた。
 問題は中にいるモンスターなのだが……特に止めるそぶりもない。

「よし! それじゃあ行くわよ!」

 ローガスが扉を押し、金属のきしむ音が鳴り響く。
 中は薄暗いが、音が響く事から広い事が分かる。

「……何もいないわね」

 気合いを入れて入ったものの、武器を構えたまま周囲を見回しても何も見えない。

「灯りの魔法で全体を照らしてみるね」

 ポリンが魔法を唱えると、地面から沢山の小さな光源が浮かび上がり、部屋の中全体を明るくする。
 部屋はバスケットコートが3面入るほどの大きさで、柱もなく楕円形に近い形をしていた。
 その中央で、何かが起き上がるのが見えた。

「注意しろ、中央に何かがいるぞ」

 ローガスの言葉で気合いを入れ直す3人。
 中央で立ち上がったものがゆっくりと4本の足を動かし、近づいて来る。
 その姿が徐々にハッキリと見えて来る……ライオンのようにも見えるが……。

「出たわね……キメラ」

 頭と胴体はライオン、悪魔の様な翼を持ち、シッポはヘビで修斗達を見ている。
 咆哮を上げ、翼で羽ばたきながら猛スピードで走りだすと、あっという間にポリン達4人に襲い掛かる。

 ローガスが正面に立ち、魔法を使いながらも剣で突進を受け止める。
 防御魔法が悲鳴を上げるように鳴り響き、何とかギリギリのところで受け止められたようだ。
 動きを止めている間にポリンが攻撃をしようとするが、ローガスがもたなかった。

 キメラは力強く1歩を踏み込むと、防御魔法は決壊、ローガスはキメラの突進を止めきれず吹き飛ばされてしまった。

「ローガス!? くっ! 今までの相手とは格が違いすぎるわ!」

 何とか次の防御魔法が間に合い、キメラの動きを止める事が出来た。
 ホッと胸をなでおろし、ポリンが魔法を発動させる。

 魔法はいかづち、水、土の3種同時使用で、キメラの正面からは雷と水が、足元からは無数の土の槍が突き出してくる。
 
 だがどうだろう、土の槍は砕け散り、水も雷も命中しているのにビクともしない。
 そこで動いたのがルミナだ。

 ルミナの杖には大量の魔法が封じ込めてあり、その中から各種属性の攻撃魔法を同時発動させた。
 水も雷も土も効かない相手に、炎や空気、光や闇、無属性の魔法が同時に襲い掛かる。
 光と無属性の攻撃は少し効果がある様だが、それも微々たるものだ。

 そう、キメラは魔法自体への抵抗力が高く、ほとんどの魔法攻撃を無効化してしまうのだ。
 最悪の相手である。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

処理中です...