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第5章 世界大戦
第203話 とある都市に現れたフランチェスカ
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フローレンス都市開発長の戦いは、思ったよりも普通だった。
土を操る魔法を得意としており、都市防衛でもその力は発揮されている。
防壁の外側に土で壁を作ると、一番上は外側に反り返っており、防壁に乗り移れないようになっていた。
扉があちこちにありそこから攻撃が出来るのだが、危なくなったら扉を閉めて攻撃を防ぐのだ。
単純ではあるが、防衛戦においては非常に有効な時間稼ぎだった。
「無茶な事はしなくてもいいんだ。基本をしっかりと守り、交代しながらやればいいのだから」
その小さな体で、屈強な兵士を手足のように操っている。
まるで子供が大人に命令しているようだ。。
「フローレンス様! そろそろあちこちで扉近くまで登ってきています!」
その言葉を聞いて、フローレンスは目をつむって防壁に手を当てる。
「うん……そうだね、防壁の4割近くが敵兵で埋め尽くされているから、頃合いかもしれないね。やるよ」
その言葉を聞いて、副長らしき人物が大声を上げる。
「全員内側へ退避しろ! フローレンス様が動かれるぞー!」
防衛隊は土壁の扉を閉め、慌てて土壁から離れていく。
全員が土壁から離れると、地響きが起こって土壁が崩れ始めていった。
大量の土砂が崩れ落ちると、壁をよじ登っていた敵兵たちはガケ崩れに飲み込まれていく。
想像以上の土が積み上げられていたようで、ガケ崩れは壁から数百メートル以上も流れていた。
収まった、そう思った時、土砂は再度土壁となって防壁を覆いつくしていったのだ。
そう、ガケ崩れに巻き込まれた敵兵ごと壁にしたため、土壁のあちこちから手足が飛び出し、苦しんで死んだ顔がそこかしこから出ていた。
これに近づいたら自分もこうなる。
恐怖に足がすくみ、指揮官からの命令が耳に入らなくなっていた。
「キャロル様! 敵兵が現れました!」
森に面した都市を守備していたのはキャロル内政・人事担当だ。
豊満な胸を揺らしながら、小さなビキニの様な衣装で階段を駆け上っていた。
「ドレドレ……あーいっぱいイルんデスね」
森の中には数えきれないほどの敵兵がいるようで、木を伐りながら進んでいるようだ。
森が近い為、木が邪魔で中々進めないのだろう。
「ダメですよ、自然はタイセツにしなきゃデス!」
上を向いて両手を上げると、森の木々がざわめき始める。
枝が伸び、ツルがヘビのように動き出すと、あちこちから悲鳴が上がりだす。
ベフラウィングの兵士たちは枝に絡まれ、ツルで縛り上げられ、足が根から抜けなくなる。
「な、なんだこれ!?」
「ぐ、ぐるじ……これ以上しめ、しめつけると……!」
「足が! 足が抜けねぇ!?」
兵士たちが逃げようとすると、森は道を塞ぐように枝を伸ばす。
森の中に沢山の兵士が閉じ込められ、もう勝負はついたかと思ったその時、森が燃え始めた。
身動きの取れない兵士たちは生きたまま焼かれてしまうのだった。
「モリはまた作ればいいデス」
ビリー雑用係は適当に上手く戦っていた。
アイカは特別な能力という物が無い為、単純に剣技での戦いをしていた。
その戦い方はウィリアム騎士団長とは正反対で、敵の間をすり抜けるように倒している。
「柳生新陰流の神髄は、敵の攻撃に向かって行く事! ってね」
相手の攻撃に対してあえて突っ込み、かわすと同時に攻撃を行う。
敵の攻撃に対して1歩を踏み込めるかどうか、それがキモだとか。
なので前進する事が防御であり攻撃なのだ。
ただアイカの場合、その前進する速度が速すぎる。
相手がアイカを認識する前に倒しており、隣にいた仲間が何故か倒れた、あれ? 俺も倒れてる、といった感じだ。
攪乱という戦いには向かないが、対処されにくい戦いなため、気が付いたら……数万の兵士が倒れていた。
「おっかしいな、私の所に来ると思ったんだけど、ヴァージニアの所かな」
アイカの疑問はヴァージニア・ルルナラのコンビが遭遇する事となる。
この2人は単純な戦闘は得意ではないが、苦手分野を補填し合うという点で相性がいい。
「私……指揮には向いてない」
「大丈夫でございますよ、私達の役目はこの都市を護る事ですから、守りに徹すれば問題はありません」
身体能力は高いが口数の少ないヴァージニア、口は達者だが身体能力の低いルルナラ。
しかもルルナラはエルフであり、修斗の精液を摂取する事で能力も上がっているため、頭は回る。
「さあ皆様! 防壁は強化されておりますし、まずは弓と魔法による迎撃を開始いたしましょう!」
大都市を完全に包囲する数の敵兵が、一斉に走って来る。
その後方には攻城兵器があり、魔法による攻撃も開始された。
「その距離では当たりませんわね。高さという物を理解してくださいまし」
高所からの矢は射程距離が延び、魔法による攻撃も物理的なモノを使えば威力も上がる。
相手の攻撃が届かない距離から攻撃をし、先頭集団が次々と倒されていく。
だがその中に、矢も魔法もはじかれる場所があった。
「やっぱりここに来たんだね……フランチェスカ」
ベフラウィングの兵の中に修斗のお気に入りであり、学園の元生徒会長であるフランチェスカの姿があった。
姿を消した時のままの装備で、ザナドゥ王国に刃を向けたのだ。
土を操る魔法を得意としており、都市防衛でもその力は発揮されている。
防壁の外側に土で壁を作ると、一番上は外側に反り返っており、防壁に乗り移れないようになっていた。
扉があちこちにありそこから攻撃が出来るのだが、危なくなったら扉を閉めて攻撃を防ぐのだ。
単純ではあるが、防衛戦においては非常に有効な時間稼ぎだった。
「無茶な事はしなくてもいいんだ。基本をしっかりと守り、交代しながらやればいいのだから」
その小さな体で、屈強な兵士を手足のように操っている。
まるで子供が大人に命令しているようだ。。
「フローレンス様! そろそろあちこちで扉近くまで登ってきています!」
その言葉を聞いて、フローレンスは目をつむって防壁に手を当てる。
「うん……そうだね、防壁の4割近くが敵兵で埋め尽くされているから、頃合いかもしれないね。やるよ」
その言葉を聞いて、副長らしき人物が大声を上げる。
「全員内側へ退避しろ! フローレンス様が動かれるぞー!」
防衛隊は土壁の扉を閉め、慌てて土壁から離れていく。
全員が土壁から離れると、地響きが起こって土壁が崩れ始めていった。
大量の土砂が崩れ落ちると、壁をよじ登っていた敵兵たちはガケ崩れに飲み込まれていく。
想像以上の土が積み上げられていたようで、ガケ崩れは壁から数百メートル以上も流れていた。
収まった、そう思った時、土砂は再度土壁となって防壁を覆いつくしていったのだ。
そう、ガケ崩れに巻き込まれた敵兵ごと壁にしたため、土壁のあちこちから手足が飛び出し、苦しんで死んだ顔がそこかしこから出ていた。
これに近づいたら自分もこうなる。
恐怖に足がすくみ、指揮官からの命令が耳に入らなくなっていた。
「キャロル様! 敵兵が現れました!」
森に面した都市を守備していたのはキャロル内政・人事担当だ。
豊満な胸を揺らしながら、小さなビキニの様な衣装で階段を駆け上っていた。
「ドレドレ……あーいっぱいイルんデスね」
森の中には数えきれないほどの敵兵がいるようで、木を伐りながら進んでいるようだ。
森が近い為、木が邪魔で中々進めないのだろう。
「ダメですよ、自然はタイセツにしなきゃデス!」
上を向いて両手を上げると、森の木々がざわめき始める。
枝が伸び、ツルがヘビのように動き出すと、あちこちから悲鳴が上がりだす。
ベフラウィングの兵士たちは枝に絡まれ、ツルで縛り上げられ、足が根から抜けなくなる。
「な、なんだこれ!?」
「ぐ、ぐるじ……これ以上しめ、しめつけると……!」
「足が! 足が抜けねぇ!?」
兵士たちが逃げようとすると、森は道を塞ぐように枝を伸ばす。
森の中に沢山の兵士が閉じ込められ、もう勝負はついたかと思ったその時、森が燃え始めた。
身動きの取れない兵士たちは生きたまま焼かれてしまうのだった。
「モリはまた作ればいいデス」
ビリー雑用係は適当に上手く戦っていた。
アイカは特別な能力という物が無い為、単純に剣技での戦いをしていた。
その戦い方はウィリアム騎士団長とは正反対で、敵の間をすり抜けるように倒している。
「柳生新陰流の神髄は、敵の攻撃に向かって行く事! ってね」
相手の攻撃に対してあえて突っ込み、かわすと同時に攻撃を行う。
敵の攻撃に対して1歩を踏み込めるかどうか、それがキモだとか。
なので前進する事が防御であり攻撃なのだ。
ただアイカの場合、その前進する速度が速すぎる。
相手がアイカを認識する前に倒しており、隣にいた仲間が何故か倒れた、あれ? 俺も倒れてる、といった感じだ。
攪乱という戦いには向かないが、対処されにくい戦いなため、気が付いたら……数万の兵士が倒れていた。
「おっかしいな、私の所に来ると思ったんだけど、ヴァージニアの所かな」
アイカの疑問はヴァージニア・ルルナラのコンビが遭遇する事となる。
この2人は単純な戦闘は得意ではないが、苦手分野を補填し合うという点で相性がいい。
「私……指揮には向いてない」
「大丈夫でございますよ、私達の役目はこの都市を護る事ですから、守りに徹すれば問題はありません」
身体能力は高いが口数の少ないヴァージニア、口は達者だが身体能力の低いルルナラ。
しかもルルナラはエルフであり、修斗の精液を摂取する事で能力も上がっているため、頭は回る。
「さあ皆様! 防壁は強化されておりますし、まずは弓と魔法による迎撃を開始いたしましょう!」
大都市を完全に包囲する数の敵兵が、一斉に走って来る。
その後方には攻城兵器があり、魔法による攻撃も開始された。
「その距離では当たりませんわね。高さという物を理解してくださいまし」
高所からの矢は射程距離が延び、魔法による攻撃も物理的なモノを使えば威力も上がる。
相手の攻撃が届かない距離から攻撃をし、先頭集団が次々と倒されていく。
だがその中に、矢も魔法もはじかれる場所があった。
「やっぱりここに来たんだね……フランチェスカ」
ベフラウィングの兵の中に修斗のお気に入りであり、学園の元生徒会長であるフランチェスカの姿があった。
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